2025年8月20日(水)
おはようございます。さっそくですが、本題に入ります。
東京国立近代美術館「記録をひらく 記憶をつむぐ」に行った
 先日、いま開かれている企画展「記録をひらく 記憶をつむぐ」(@東京国立近代美術館)に行った。
 わたしは普段、美術展に足を運ぶことはあまりない。調べてみたら、最後に行ったのは「テート美術館展 光」(@国立新美術館、2023年)だった。美術に対して造詣も何もなく、ド素人の感想であることをご承知いただきたい。
 そのわたしが珍しく興味を持ったのは、「記録をひらく 記憶をつむぐ」が戦争記録画の展示と聞いたからだ。
 さらに、チラシ、SNSの告知、図録がない、異例の企画展だという。
 ふだんわたしは1930~1990年代の戦争や紛争、内紛に興味を持っていて、NHK「映像の世紀」をはじめ、ドキュメンタリーを進んで観たり、本を読んだりしている。今回、満州事変から太平洋戦争、ベトナム戦争を描いた絵画が一堂に会する美術展であると聞いて、それはぜひ行きたいと思った。
 一部撮影が許可されている展示だったが、一枚も撮らずに出てきた。見ている間ずっと、「これ」を今、このスマートフォンで撮影することが善いことなのか、考えざるを得なかった。
 入ってみると、すぐに「これは今のSNSで告知できないだろうな」と思わされた。万国博覧会が国への帰属意識を高め、民族協和を掲げて日本はさらに大きな戦争に乗り出していく。兵士となった男性たちと、銃後として描かれる女性たち。そして戦闘機、飛行機の美しい絵画。絵画のよいところは、映像や写真と違って誇張表現や視覚操作がしやすいところだ。人が死ぬ爆撃はものすごく小さなスケールで描き、それを落とした飛行機のフォルムの美しさを強調する。突撃していく兵士たちへ向ける盃はスポットライトのように照らされて、死体が見えることはほとんどない。
 そう、わたしが普段観ていたドキュメンタリーは戦後のものだ。だから死体が映ったり、人を殺す人の残忍さが見えたりする。けれど、それは起きているさなかでは隠されること、美化されることだった。絵画の中で流れる血は本当に少ない。出てもそれは栄誉、名誉のものである。
 そうして進んでいくと、日本の敗色が濃くなり、やがて原爆が落ちていよいよ降伏する。こうなると絵柄がグッと暗くなっていく。藤田嗣治が何枚も描いた美しい立派な兵士たち、軍が出していった綺麗な広告、その世界が一気に遠くなる。
 丸木夫妻の「原爆の図」が見られたのは本当によい機会だった。
(丸木美術館のホームページより引用。https://marukigallery.jp/hiroshimapanels/
 ここに画像を貼ってもまったく伝わらないのだが、とにかく巨大な絵である。折り重なる人々、何も知らずに見ても「地獄」を描いていることが伝わってくる。
 これを背にし進んでいくと、市民たちが描いた原爆の日のことが展示されている。その絵が藤田嗣治などと並ぶことは「戦争記録画」の軸を通さなければ、まずないだろう。正直言って、そのちがいには少々面食らった。
 でも、画家にも一般市民にも、「戦争」は一緒に降りかかってきたもので、その点でこれはおなじ部屋に並べる価値があるものなのだ。きっとそう言いたいのだな、とわたしは解釈した。
 近代史はもちろん現代史に繋がるものだ。ベトナム戦争に対して「殺すな」と広告を打った岡本太郎の力強い筆跡も展示されていたが、その背景にある冷戦の話がごっそり抜けていた(もしかしたら解説にはあるのかもしれないが、どうだろう)のは驚いた。
 また、皇国としての日本についても触れずに通り過ぎて行った。太平洋戦争の話をするときに、皇国の話をしないで行けることがある……!? 実際、展示物の中には靖国神社の遊就館から持ってきているものもあるのだ。そこを「美術」の枠で見ると通り過ぎることが可能である、ということが、わたしにはおそろしく感じた。
 この展示が歴史的な観点からどう位置づけられるのか、すごく気になるところだった。その解釈をするために、図録がほしい。先述のとおり、図録のない展示である。これを「本」にしたら「絵画」というメディアではなくなってしまい、意味が替わってくるのかもしれない。それでもこれを資料/史料として役立たせるために、図録がほしいな―― わたしは結局本の世界に戻っていきたがる。それでも行ってよかったと、逃したらもう同じ企画は見られなかったかもしれないと、そう思わされる展示だった。

こんなところか。うまく書けたかは分からないけれど、勢いよく書けたので、noteとかに移してもいいかもしれないですね!
TxT Liveはやっぱり楽しい。また機会があればぜひ、書きにきます。
見て下さった方、読んで下さった方、本当にありがとうございました。
「いいね!」も見えていましたよ。ありがとう!
それじゃあ、またね!
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2025/08/20 田村真夏のフリーライティング
初公開日: 2025年08月20日
最終更新日: 2025年08月20日
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内容:東京国立近代美術館「記録をひらく 記憶をつむぐ」に行った