シグナー達との戦いの末、Z-OENは敗れた。アーククレイドルは現代から消失し、ネオ童実野シティは救われた。 その戦いから2年。私の中にはとある燻りがあった。それの消し方が、未だに分からない。
あの戦いの後、遊星は言った。
「もう恐れるものはない。ずっと一緒だ」
その一言が、どれ程私を安堵させてくれるだろう。彼はいつだって,私を安心させる言葉をくれる。この心地良い言葉に酔いしれていれば、私の世界は安泰だ。けれどなぜ、何故だろう。私の心にあるこのわだかまりにも似た燻りは。
ジャックは既に己の道を決めた。みんなが自分の進む道を模索して進んでいる中、私だけ1人足踏みをしている。それが情けなくて恥ずかしくて、いつも俯いてばかりいた。
自分たちの進むべき未来を探すための遊星とジャックのデュエル。遊星も自身の目標を定めた。生まれ故郷に残り、ここを誇れる街にしていくと。皆の帰る場所になると。
あぁ。私の停滞を破ってくれたのは、やはり遊星だった。
ジリジリと心の燻りが滾っていく。
そして、それは決意の炎へと変わった。
『遊星、私も決めたよ』
それぞれの将来に向けてシティを旅立つ仲間達を見送り、私も遊星に向き直る。
『私、旅に出る』
「……そうか」
確かにここにずっといたい。その気持ちはある。でも自分の中に灯ったこの火種は、どうしても消えない。 もう俯かないし、迷わない。
『広い世界を見て、貴方から教わってことをいろんな人に広めたい』
この世に不要なものなどないこと。絆があればどこでだってわっていけること。当たり前の日々が愛おしいこと。自分の道は自分で切り開くこと。
これらを信じて胸に留めて、私は行きたい。
「……正直なことを言うと、俺は行ってほしくない」
『え……?』
てっきり応援してもらえるものだと思っていた。遊星なら、私の決めた将来を、背中を押してくれるとばかり。
「いや、お前の決めた道を否定する気はない。……だが。俺は、少し寂しい」
『遊星……』
伏せられた瞳につい、前言を撤回したくなってしまう。けれど、それを奥歯を噛んでグッと堪える。 そして私は伝えた。素直に、嘘偽りない気持ちを。
『貴方がここにいてくれるから、私は道に迷わず帰って来られるの』
いつだって、私の帰るべき場所はここにある。
大切で、大好きな貴方の側。 私の道導。
ここで伏せられた瞳が大きく開いた。
「……わかった。 行ってこい! お前の進む道へ」
『ありがとう、遊星。 大好きよ。私が貴方を想っていることを忘れないで』
「あぁ。俺もだ。 ずっと想ってる」
『じゃあ、行ってきます』
さあ旅立とうか。 私の、始まりの場所へと。