夏コミ原稿がやばいって話はもういいですよねいつものことなので。
それでは上巻のほうの感想がようやく終りが見えてきたペンギンSFアンソロジー感想をやっていきます。もうカレンダーは見たくない。
・コンスタンティノープルのドンペンコーデ(萬朶継基氏)
脳のどこらへんを使えば「ペンギンSF」ってお題から「地雷コーデ系女子がChatGBTの暴走によって騎士道物語の方のドン・キホーテの作中世界に取り込まれて色々あった結果オオウミガラスが復活する」とかいう話が出てくるんだよ。
本作から感じるペンギンイメージは「歴史の分岐点」。
タイトルにある「ドンペンコーデ」ってなんじゃいと思って調べてみたらディスカウントショップの方のドン・キホーテのマスコットキャラがプリントされたTシャツコーデのことらしいですね。
本作はなんかもう最初から最後まで「お、おう……」と言った感じで突っ込む間もなく終始ふざけ倒したノリと勢いにひき逃げされた感じですね。
しかしそんなノリと勢いの中に、創作作品への真摯な思いも感じられるのも事実。騎士道物語の方のドン・キホーテの主人公であるドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ、本名アロンソ・キハーノが愛する騎士道物語の本を燃やされてしまったところに転送されてきた主人公るなてゃが怒りのメイアルーアジコンパッソを放つシーンは涙なくしては見られません。「創作物への愛を創作物の登場人物と共有する」という二重構造の愛ですよ。
そしてるなてゃとコンスタンティノープル皇女カルマジーナとのガール・ミーツ・ガール要素もそっち方面のリビドーを満たしてくれました。高貴な身分の子女は庶民と服を取り替えっ子しなくてはいけないことはタブラ・スマラグディナにも記されています。
そしてこの衣服とりかえっこが、絶滅したオオウミガラスの歴史の転換点となるとは見抜けなかった、この海のリハクの目を持ってしても。
創作物、すなわち虚構が現実を書き換えたというこのラスト、最高の虚構への賛美だと思います。
今日はここまで。