この猛暑をどうにかしてしのぐためにいろいろやってますが、最近の避暑方法としては、先日めでたく刊行された「ペンギンSFアンソロジー」がなかなかいい感じ。
本作はカクヨム上で開催された同名のアンソロジー作品を、九頭見灯火氏(銀経文庫)によって文庫本上下巻にまとめた大ボリュームの作品集。総勢52名によるさまざまな角度から書かれた、ペンギンをテーマにした作品を収録しています。
せっかくだから俺はこのアンソロの感想を書くぜ!と息巻いていたものの、作品数52本にページ数は上巻524ページ+下巻520ページの合計1044ページという大ボリューム。なので全部読み終わってから書くのでは夏が終わってしまうどころか今年が終わってしまう可能性も。
しかし別に全部読み終わってからでないと感想を書いてはいけないというわけでもないので、読み進めるのに合わせて書いていこうと思います。全何回になるのかはゴッドミソスープ。
・ペンギンの方舟(淡島かりす氏)
記念すべき第1作目。遥かな未来世界における、人間に埋め込まれたペンギンの遺伝子を巡る戦いを描いた作品。
本作から感じる個人的ペンギンイメージは「人間の隣人」。多くの動物がサプリメントや薬の形でしか「方舟」に乗せられなかったのに対し、なぜペンギンだけが遺伝子を人間に埋め込まれ、かつまた護身用ロボットとして身近に置かれたのかというと、それはやはりペンギンが人間にとって近しい生き物だからでしょう。だからこそ主人公であるイーリスは「次の惑星でもペンギンが見たかった」という理由で自身にペンギンの遺伝子を埋め込むことを承諾したのでは。
あと最初にミミズの遺伝子を埋め込むことを提唱してきたクローマ博士のセンスはどうかと思います。
・人鳥ゲームリプレイ(葉月氷菓氏)
小説には「話者の姿形をビジュアルとしてまったく見せずに話を進行できる」というメリットがあるんですが、本作はそのメリットを十全に活かした作品。
本作の元ネタとも言える「人狼ゲーム」は人間の中に混じっている人狼を探し出すゲームなわけですが、本作では人狼ならぬ人鳥=ペンギンを探し出す話となっています。
本作の登場人?物は全員、肉体を持たない意識体のみの存在で、名前すらもその場その場で便宜的に着けられたもの。集まった意識体たちは、かつて存在したという「ペンギンという飛べない鳥」について話し合います。
こういう話は最後まで読んでからネタバレした状態でもう1回読むのが楽しいですね。確かに読み直してみるとたしかに随所にヒントがしっかりと散りばめられているのがわかります。今思ったんですが、本作のタイトルはそれも含めての「リプレイ」なのかも。
今日はここまで。