購入・プレイしたのは去年なんですが、レビューを書くのがすっかり遅くなってしまいました。
本作は以前レビューを書いた「夢核-yumecore-」を制作したサークル「鷹館」さんの作品。
「夢核-yumecore-」と同じくベルトスクロールアクションなんですが、よりストーリーや設定を重視してボリュームアップしたゲームとなっています。
まず特筆すべきはその操作系のシンプルさ。
「とっつきにくいゲーム(≠難しいゲーム)」の「とっつきにくさ」の理由は色々ありますが、そのひとつに「操作が複雑」があると思います。
コントローラーのボタン全部を使うだけでなく同時押しや押し込みの強弱などを使い分けて多彩なアクションを行うゲームはしばしば操作が複雑化しすぎて操作がわからなくなってしまうもの。
その点本作での操作は、スティックとボタン一つというシンプルさ。ジャンプや攻撃といった操作すらも廃して、敵への攻撃は体当たりのみと操作を限界まで単純化しています。
ここまで操作を単純化するとゲームプレイ自体までも単調になってしまいそうなものですがさにあらず。キャラの操作がシンプルな反面、登場する敵キャラは豊富。特定の攻撃が効かなかったり近距離攻撃・遠距離攻撃を使い分けてきたりとさまざまな種類の敵が登場するので、プレイヤーはシンプルな操作で戦略を組み立てていく楽しみがあります。
「シンプルで飽きさせない」と言うのは簡単ですが、これを実現するのはそう簡単なことではないでしょう。
本作の持つ「飽きさせない」理由としてはボスキャラの豊富さもあるでしょう。個性豊かなキャラクターたちはそれぞれ「アウターアート」という特殊能力を持っています。ボス戦はこのアウターアートを掻い潜りつつ攻撃を当てていくというスタイルになるんですが、これがまた他のゲームでは見たことがないような独特の個性に満ちた攻撃ばかり。
単に弾を撃ってくるとかではなく、エアコンの室外機を飛ばしてきたりシャッターで攻撃してきたりと言った見た目にもインパクトのある攻撃は、特殊な世界観と相まって面食らうと同時に本作の個性を遺憾なく発揮していると感じました。
そしてボス戦と言えば、キャッチコピーにもあるダンス。ダウンしたボスに接触することで強制的にダンスに巻き込み、リズムゲーの要領でタイミングよくボタンを押して大ダメージを与えることができるこのシステムは、本作のボス戦を唯一無二のものにしていると言えるでしょう。ダンス! ダンス! ダンスしかなし!
もちろんダンスの振り付けやポーズはボスによって全部違うので、個性豊かなダンスも本作の大きな楽しみとなっています。ボスによってはリズムが変則的でリズムを取るのが難しかったりもするのがまた面白いところ。
このシステムが「攻撃手段は体当たりのみ」というシンプルなシステムの中の良いスパイスとなっているので長丁場になりがちなボス戦を飽きさせないものにしていますし、なによりゲームにおけるボス戦の大きな盛り上がりポイントである「トドメ感」が違う。
そして一見コミカルな見た目とは裏腹に、ストーリーはかなりハードSFに振ったものになっているのも意外性がある+そういうのが好きな人にはおすすめのポイント。現実の世界だと思っていたのが実は……というのはSFのお約束ではありますが、そのへんをしっかりストーリーに組み込んでいるので後半に行くに従って緊迫感を増していくストーリーが楽しめます。
個人的に良かったのが簡略化されたグラフィック。本作ではメインキャラ意外のモブは「人」と描かれた四角形で表現されています。これは単にグラフィックの簡略化だと思ってたんですが、ストーリーを進めていくうちにここにも仕掛けがあることが明かされます。こういう「一見ゲーム上の都合のように見えてストーリー上の仕掛けがある構成」大好き。
ストーリーもクリアしてみれば短編から中編といったくらいのボリュームなんですが、設定と展開が非常に濃密なのでクリア後には十分な充実感を得られました。