今年の春、やっと僕は高校の2年目のシーズンを迎える。普通に単位を取って、普通に進級した。普通といえば、だいぶ前、一緒の帰り道だった友達にこんなことを言われた。
「全部普通なんだよね、ダメなんかじゃなくてさ。」
僕は時々、友達に自分のダメなところアピールをしてしまう癖があった。あの時がそうだった。僕が散々マイナスな方向に進みすぎたせいで、友達に気を遣わせるようなことを言わせる。
「そんなこと言われたってどうしようもないよ。」
「知らないよ。」
僕の気だるそうな言葉の返事は、もっと気だるそうだった。返事はいっつも、誰に話してもそんなもんで、パターン化していた。なのにも関わらず、僕はまた癖を直さず、マイナスな方向へと踏み出して、また新しい友達にもそれを言ってしまった。
でもその友達は違かった。いや、正しく言えば、全員が気だるそうに話す事なんてなかったのだが、なんというか、その友達の返事には「せめて」というような感じがしなかった。
「全部、普通なんだよ、ダメなんかじゃない。」
初めてのパターンに、僕は少し心を掴まれたような感覚を覚えた。びっくりした。気だるそうでもなく、むしろ、頭をたくさんひねるようにして答えを出してくれたんだ。
知らねえよって言われてもまあ仕方ないよなって思っていたし、1から自分のダメなところ、嫌なところを丁寧に説明しているときに、何かいい返事が来ることなんて何も期待していなかった。
そんな僕に、普通。ダメじゃないとずいぶん贅沢で丁寧な回答をくれた友達。今でもたくさん遊ぶ仲だが、どれだけ遊んだ回数や時間が増えたとしても、僕はずっと「普通」を忘れない。
普通であるなら、一安心だ。
あれから少しだけ、自信が持てるようになった気がするな。
もう少しで始まる新学期と、新しいクラスに震えてはいるけど、それでもまだ「普通」を掲げながら、その時間を静かに待つ。
あとちょっとだけ踏み出せば、普通以上になれるんだからね。