怒涛の勢いの塚口の上映スケジュールについていくには1日1本じゃとても足りやしません。というわけで今回は豪華2本立て!
まずはこの作品!
先日見てきたOVA版「デビルマン」の2本目、今回はデビルマン史上最大の名勝負とも言える妖鳥シレーヌ編です。
その前に、恒例の待合室を見てみましょう。
兄貴ィィィィィィーーーーーーッ!!
兄貴ィィィィィィーーーーーーッ!!
カッコよすぎるぜ兄貴ィィィィィィーーーーーーッ!!
はぁはぁ。(息切れ)
もうポスターを見た段階でこれなので上映が始まってしまったら、そしてマサラ上映のときにはどうなってしまうのか。そしてマサラ上映前の待合室ではどのくらいの量の石炭が交換されるのか。(石炭が交換されること前提)
そんなワクワクを胸に、まずはデッビーーーール!!
いやあもうこの時代のOVAからしか摂取できない栄養素は確実に存在しますよね。やはりセルアニメと透過光は魂の故郷……。
今回は妖鳥シレーヌ編となっていますが、その前に当時のちびっこたちにトラウマを植え付けたかの悪名高きvsジンメン戦があります。
ジンメンの声は青野武さんが担当。この怪演がまたジンメンの不気味さと悪辣さを引き立てていてたまらん。この「亀の甲羅に食ってきた人間のデスマスクが浮かび上がる」っていうデザイン、ほんと天才的に怖い。
今では確実に放送コードに引っかかるであろう文字通り血みどろの戦いの中に、デビルマンの物語に通底する哀しみがしっかりと根づいているのが感じられました。
そしてメインバトルであるシレーヌ戦。
前回の誕生編は文字通りデビルマン誕生の話だったので、デビルマンとしてのバトルシーンは実はそんなに多くなかったんですが、今回はもう全編バトルメイン。
そして印象的だったのがその戦闘描写。ジンメン戦は殴る蹴るの肉弾戦がメインでしたが、シレーヌ戦ではサイコキネシス、パイロキネシスといった超能力がメインのサイキックバトルだったのが印象的。
さらに夜の都会を眼下に激しい空中戦を繰り広げるというビジュアルには問答無用のワクワク感がありました。あの頃のサイキックブームを思い出してノスタルジー。
そしてカイムとの合体からの決着、あまりにも凄惨かつ美しい……。あとこの戦いを盛り上げてくれるBGMもいいんだよな川井憲次っぽくて……って思ってたらほんとにBGM担当川井憲次じゃねーか!
そして次はこの作品!
本作も塚口で知った作品。なんかもうポスターからじわじわと厭な空気がにじみ出てるので早速見てきました。ルーマニアの映画なんですねこの作品。
舞台はルーマニア・モルドヴァ地方の閑散とした村。そこで暮らす警察官のイリエは、平和ながらも何の変化もない日常と自分の人生に鬱屈とした思いを抱いていました。
そんな中、ある日村の中で斧で殺害されたと思しき惨殺死体が見つかります。それをきっかけに、イリエは平和で退屈な場所だったはずの村に潜む闇に直面することになり――。
本作は自然豊かではあるものの閑散としていてどこか落ち着かない感じのあるルーマニアの村の雰囲気がとてもいい反面、前半部分は事件という事件が惨殺死体の発見からなかなか事態が発展せず、かなりもどかしい感じを覚えました。そもそも一連の事件のスタートとなる惨殺死体発見までもけっこう長い。
しかし見終わって思うにこの前半のもどかしさも計算のうちだったんだろうなあと思います。こういう作品って、たいていは外部から来た訪問者が主人公になるものだと思うんですが、本作の主人公のイリエは昔から村に住んでおり、人生の折り返し地点に来ています。なので、イリエはすでにこの村の環境と人間関係に絡め取られていると言えるでしょう。前半部分のこの話がなかなか進まないもどかしさは、イリエが自身の人生とともにあったこの環境の中でもがいている感覚そのものだったとも思えます。
反面、外部からの訪問者である新人警官のヴァリは、一連の事件の捜査を独自に行うものの越権行為としてそれをイリエに止められます。そして彼は結局、暴行を受けて死亡してしまうという。
一連の事件の裏には、「村での生活は村長や司祭が行っていた密輸によって成り立っていた」といいう真相が隠されていました。イリエはその真相にたどり着きはするものの――。
本作はショッキングな描写はあるものの、全体としては大きなどんでん返しや派手なアクションといったスペクタクルはなく、淡々と……というよりは、風光明媚なロケーションであるにも関わらず鬱々とした空気感の中で話が進んでいきます。
ラストでは密輸が発覚した村長とイリエとのあいだの銃撃戦が発生しますが、これがアクション映画のそれとは程遠いもだもだしたもの。しかしこのなんとも迫力のない銃撃戦もまた、この村の中でいっぽうは警官としてまともに働くことがなかったイリエと他方は誰にも知られず知られても丸め込んで密輸を続けてきた村長というこの環境に腐らされてきたがゆえのあの銃撃戦だったんだと思います。直接的な諸悪の根源は村長の密輸ではあったものの、その密輸によって構築された村の闇は、誰も彼もを飲み込んで絡め取っていたという。
あの最終的に死体だけが残ったラストは、腐敗し切った村が最終的にくされ落ちてしまった、というラストだったように思えました。