「……で、どこなんすかここ」
「私にわかるわけないだろう。それに君こそ、いったいどうやってここに来たんだ」
「いやなんか、部長がごそごそやってたあたりを探してたらいきなり床が抜けたみたいになって、それで……」
「私にはさっき、そこの天井がいきなり開いて君が落ちてきたように見えたが……」
 見上げてもそこには、他の場所と同じ黄色い壁紙に覆われた天井があるだけで、穴などどこにもない。
「部長はいつからここに?」
「あー……もうスマホのバッテリーも切れてしまってるから正確な時間はわからないが、少なくとも2時間以上はここにいると思う」
「え、2時間も? じゃあその間、食事とかは?」
「ああ、そういえば口にしてないな……。なにせこの異常事態だったから、それどころじゃなくて……」
「じゃあこれ、どうぞ」
 後輩が背負っていたリュックから、ペットボトルを取り出した。ひとつは後輩がよく飲んでいるミネラルウォーター、もうひとつは部長が好きな黄色いラベルの炭酸飲料だった。後輩が差し出した黄色いラベルのペットボトルを受け取り、一口飲む。
 馴染み深い味が口の中に広がったことで、少しずつ気持ちが落ち着いてきた。
「さて……」
 さっきまで体重を支えることも忘れていた両足でしっかり立ち上がって、周囲を見回す。
「そもそもここはどこなんだ? さっきまでいたリアル脱出ゲームの会場じゃないよな」
「さあ……ふたりして夢見てるわけでもないでしょうし……」
 床に手を触れると、たしかに毛羽立ったカーペットの感触がある。夢などではない。
「部長はここに来てから、自分以外の誰かに会いました?」
「いいや。幸いにしてゾンビにも怪物にも会っていないな」
「あー……ここがいったいどこなのかはともかくとして、どうにかして脱出しないとですね。部長はどのくらい移動したんですか?」
「わからないな、随分歩いたけれど……ここはこの通りずっとこの黄色い空間が広がっていて、自分が最初にいた場所もわからない。同じ場所をぐるぐる回っているだけなのか、どこまでも歩き続けてるだけなのか、それも……」
「うーん……なんか役に立ちそうなものあったかな……」
 後輩がリュックサックをおろして中身を探っているあいだ。部長は考えを巡らせていた。
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後輩へのお誕生日SSを書いていきます。
初公開日: 2025年02月11日
最終更新日: 2025年02月11日
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