今年中に済ませておきたいことのひとつである秋季例大祭戦利品レビュー、残り2冊!
・ご自由にお選びください 後編(ニセキノコモドキ)
 紅楼夢にて頒布された「ご自由にお選びください 前編」に続く後編は、問題編に続く解決編。
 旧地獄での花見の席でのさとり急襲事件。その犯人探しをすることになった勇儀は、一連の事件が複数の要因で発生した事故であることを突き止めます。しかし、さとりとかわした約束は「犯人を連れてくること」。犯人のいないこの事件を、勇儀はどうやって決着させるのか?
 「解決編」とは書きましたが、実は一連の事件の真相というか仕組みは前編ですでに明かされてるんですね。では後編ではなにをするのかと言うと、事件現場からの逃走を試みるヤマメたちとそれを阻止しようとするお燐との大バトル。
 わたくし人形使いはこのサークルさんの東方本はすべて読んでいますが、本作のこのバトルはこれまでの作品の中で間違いなく最大規模かつもっとも尺を割かれたものだと言えるでしょう。
 そもそも大ボリュームの同人作品というだけで特別感がありますが、本作におけるこのたくさんのキャラクターが入り乱れる大バトルには、さらなる特別感を覚えました。で、この特別感なーんか覚えがあるなあと思ってたらアレだ、ドラゴンボールとか幽遊白書とかの劇場アニメだ。
 原作では直接的な接点がなかったキャラクターが一堂に会したり、原作では描写のなかった技や能力を発揮したりというのはノスタルジーを伴うストレートな特別感があって良かった。
 そしてそのバトル内容も良い。東方キャラにはそれぞれ「〇〇程度の能力」が設定されていますが、本作のバトルはそれらの能力をフル活用して、あるいは独自に拡大解釈して描写されているのが好き。特に正邪の「何でもひっくり返す程度の能力」が決め手となる前提としてお燐の武器が「回転カッター」になってるのに、非常に高い物語構成力(ものがたりこうせいぢから)を感じます。そして青娥娘々が実にすっとぼけたいいキャラになってるのでぜひとも再登場していただきたい。
 そしてこの大バトルのあとの展開がまだあるのが大ボリュームのいいところ。本作は前編・後編に分かれていますが、それぞれがかなりのボリュームになってます。前編のあとがきで「ページ数が増える場合は締切が前倒しになると知って慌てて前後編にした」と書かれていましたが、それもそのはずと納得できるボリュームでした。
 では後編におけるボリュームを占めているのはなにかというと、勇儀の救出パートです。さとりが勇儀に提示したのは「犯人を探してくること」。つまり「犯人の有無」は関係ない。約束を違えたと判断された勇儀は、その代償としてお空が作った手のひら大の太陽を飲み込むことを要求されます。
 このあまりにもとんでもない条件に、そばにいたヤマメとキスメは勇儀を止めようとしますが、彼女はこれを固辞。さとりとの契約通り太陽を飲み込みます。
 結果、勇儀は度を越した重傷を負うことに鬼である勇儀を復活させるのは鬼の構成要素の一部とも言える酒です。みんなは協力して酒をかき集めようとしますが、いかんせん数と量が少ないし、なにより勇儀が重症を追ったことでその求心力は失われつつある。
 困ったところに現れたのが正邪。そう、彼女の能力は何でもかんでもひっくり返す程度のもの。園に漂っていた「もう無理だ」の空気を反転させ、一気に人身を掌握します。
 それでも絶対的な量が足りない! 最後の一押しが足りない! そんなときに助けてくれるのが魔法のアイテム「打ち出の小槌」! たくさんの酒を集めたキスメの桶を最大限にデカくすることで大量のお酒をゲット! そして勇儀姐さん見事復活! この流れのスムーズさと美しさよ。前段で本作を劇場版ドラゴンボールに例えましたが、最後まで読んだ後の読後感は大長編ドラえもんでした。
 本当にストーリーテリングがうまいんですよねこのサークルさん。
 今日はここまで。
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第11回秋季例大祭戦利品レビューその4
初公開日: 2024年12月02日
最終更新日: 2024年12月03日
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