クラウドが配達の仕事から帰ってくるとセフィロスが珍しく愛刀の正宗の手入れをしていた。正宗はセフィロスが英雄と呼ばれていた時代からずっと使っている刀で、その時代は今から数百年も昔の話だ。
セフィロスとクラウドはジェノバ細胞によって不老不死の身体になってしまいお互い歳を取ることなく現在まで生きている。そして、どのタイミングでどういうきっかけがあったかは忘れてしまったが、気付けばセフィロスとクラウドはひとつ屋根の下で暮らすようになった。
共に暮らすようになって百年経つかどうかだが、セフィロスが自分の愛刀を手入れするところを見た事がないクラウドは、珍しく真剣な目で刃を見つめるセフィロスに物珍しさを感じ、部屋を開けた状態のまま固まってジッと見ているとセフィロスと目が合い「入るなら早く入れ」と言われ我に返ったクラウドは一言謝りながら部屋に入った。
普段のセフィロスなら、クラウドが帰ってくると浮気してなかったか等クラウドを揶揄う一言を言ってくるのに、クラウドが部屋に入ったのを見届けるとそのまま手入れに集中した。ほとんど無視されてる状態だが珍しいセフィロスの姿にクラウドも邪魔にならない位置で手入れする姿を見ることにした。
打ち粉をはたき、それを布で拭き取るという簡単な手入れだが正宗は非常に刀身が長い刀である為どうしても時間がかかるのだが、セフィロスは一切妥協することなく手入れを行った。一方のクラウドは、始めは興味深そうに手入れする姿を見ていたが飽きてきて段々と暇を持て余してきた。だが流石に今のセフィロスにちょっかいをかけようと気は起こらず、暇潰しを兼ねて二人分のコーヒーを淹れてセフィロスの邪魔にならない所で視界に入りやすそうな位置に置きながら「淹れたぞ」と言うが最後まで手入れをしたいようでチラリとコーヒーのカップを視界に入れるが、カップに手を伸ばさなかった。
これ以上居たら邪魔になるのではと思うが、ここから出ようと思ったらまたセフィロスの前を通らなければならない。系統こそ違うが同じ刃を使う武器を扱うクラウドだからこそ、集中して愛刀の手入れをするセフィロスの邪魔を出来ないのは理解出来る。だから今クラウドに出来ることはこのままセフィロスの手入れが終わるまで待つことだが…
『昨日あんまり寝てなかったから眠くなってきた…』
昨日の夜眠れなくて何か眠れそうな本を探してセフィロスが読み終わって放置してる本の一つを手に取るとそれは推理小説で、普段小説を読まないクラウドでさえ面白いと思える程非常に面白い本だった。眠くなればいいと思って開いた本なのに気付けば全部読んでいたし太陽も上り始めようとしていて、クラウドはほぼ眠ってないまま一日中バイクを走らせてあちこちの土地へ配達したせいでクラウドに睡魔が襲ってきた。一度眠いと自覚してしまうとクラウドの瞼は重くなり『セフィロスが動いたら気配で起きるだろう』と自分を信じてそのままクラウドは瞼を閉じた。
約二時間後、セフィロスは愛刀の手入れを終わらせた。普段からクラウドが居ない時を見計らって手入れしていて今日は手入れしようという気になりセフィロスは愛刀の手入れを始めたのが始まりだ。
途中でクラウドが帰ってきても手入れを優先し終わり、クラウドの方を見るとソファに身を沈めて深い眠りに就いていた。
眠っているクラウドを見てセフィロスはクラウドを抱えると寝室へ連れていきそっとベッドへ寝かせると「おやすみ」と優しく呟いてクラウドの額に口付けを落とすと部屋を静かに出ていった。