短いのが書きたい。クトゥルフっぽいのかバイオハザードっぽいのかハリポタっぽいのかの三種類の構想がぼんやり頭の中にあるけどどれにしようかな。クトゥルフっぽいので書くか
前回レオと友達になる話書こうと思っていつのまにか流れ変わったな……になったからまたレオと友達になる話に挑戦するか。
人外主人公で、見た目を人間に寄せようと頑張ってる転生者にすっかな
名前……ネーミングセンスがないので主人公の名前を考えるのに一番時間がかかる
いつも通り書きやすいとこから書こうかな~序盤はまあまあ書きやすいから頭っからで……
日本人にするかどうか迷い ニューヨーク舞台だからなんとなくいつも白人をイメージしてんだけど別に人種のサラダボウルだし日本人で書いてもいいな
ダイアンズダイナーをメイン舞台にしたいような気がする
いつも記憶喪失にさせたい気持ちとTSさせたい気持ちと戦ってんだけど今回は誘惑に勝ちてえ
柔らかめの口調にするかどうか 一人称僕の男にしよかな あ~でも書きやすいのは俺 結局俺になっとる
ニューヨークってなにあったっけな
時計塔みたいなんあんだっけ、それロンドンか
(ニューヨークの観光名所15選を読んでいる)
自由の女神ってニューヨークなんだっけ~へ~~
エンパイア ステート ビルディング
ブルックリン橋
セントラル パーク
ハイラインも見おぼえある
タイムズ スクエア
あ~~~スパイダーマンのゲームやった時の記憶がよみがえってきた
自由の女神って視界に入る位置にあんのかな
いやニューヨーク旅行記を書く気はないのでざっくりでいいな
ここまできてようやくはい! 主人公の名前どうしよう問題に立ち返らなきゃいかん
ああ~~~~名前~~~~~~~
もうアルファベットとかでいいか、Jとかにしようかな、ジョンとか純一郎とかの頭文字をとってJって呼ばれているぜ、よろしくな! みたいな感じにしよかな
KKと被りますか……??? いや……? そんなことな……ないか?
モブとの会話書こうと思ったけどそうしたらモブの名前も考えなきゃいけな……いけないのか!?
外国人名前メーカーでも探してこようかな(探しています) ヨシ
人外って絶対バレたくないんだからね! という主人公で書こうと思ってたのだがなんか割とバレてもはい次々っていきそうなかんじのヤツになってしまったな トライアンドエラーは大事なのでそれはそれでまあ……
あるいはトライアンドエラーをし続けてきたにも関わらず今回のJという人間には妙に執着してしまう、という流れにするか
Jをどういうタイプの人間として演じているかについて、うーん、ザップにたかられがちの小金持ちみたいなのにしよかな ニューヨークと言う街の小金持ち、どういうのなの~!? まあここHLだからいいか…… 小金持ちじゃねえ~~~~~~大金持ちになっちゃった~~~~~~~~
全然序盤なのにもう4000字になっとる~~~~ウワァ~~~ ここから爆速で追い上げられるのか
まあ往々にして最初考えていたものからは外れていくからね、しょうがねえな
仲良しエピソードはあとからいくらでも足せそうだから先に起承転結の転と結を書いておきたいが
人外であることがバレるを転とするなら結をどうするかなんだが、まあハッピーな路線で行くか
これまで人外であることがバレるたびにリセットして別の人間として振る舞いなおしてきたのをやめて、バレてなおこのまま過ごすというハッピーな感じ……?
人外であることがバレる流れは血界戦線らしく戦闘描写かな、バトルの流れにこう……
ブラッドブリード出すか~? 原作で詳しくわかってないからふんわり描写しかできねんだけど
いつのまにか配信して2時間たっとる~~普通に書くより全然集中力が持つ 助かる
いうてもう6000字くらいかいてるから急にたたんでもよさそうだな
主人公にバトルをする気がないならバトル終盤から書き始めてもいいか
敵対してるBBについてなんもかんがえてね~~
大体高飛車なイメージあるしそんな雰囲気でいいかな
CV鈴村健一だったBBみたいな雰囲気でこう……
最終的に封印するかどうかどうしようかな、その場合はやめにクラウスに来てもらわないといけないんですけど
普段会話文ばっかかいてるから地の文ばっか書いてるの変な感じ
あんまグロイ描写したくないようなしたいような
あ~クラウスとスティーブンあたりを出すかどうかも微妙に悩み
最後にちょっと出すか……? う~~~~~~~ん
この世界がかつての生で読んだ血界戦線という漫画に酷似しているということにはなんとなく気づいているが、読んだのがあまりに昔過ぎてぼんやりとしか思い出すことができない。ざっと一万年は昔のような気がする。これはオタク特有の誇張表現ではなく、マジで一万年くらい経っているだろうなと控えめに言っている。
死んだ後、たぶん人間じゃない何かに生まれ変わった自分は、宇宙を漂い彷徨っていた。いろんな銀河の創成を眺めながら幾星霜、数多の時間を過ごしても意外と発狂しねんだなワハハとか呑気に構えていたが、かつて人間であった記憶がある以上耐えがたい欲求に悩まされ続けた。
つまり、暇! なのである。
退屈なのだ。ここには自分しか意識を持った生命体がおらず、会話をすることもできない。
そこで俺は宇宙を自分の意志で漂えるように自己改造を施し、かつての故郷・地球を探す旅に出た。
時間の間隔をとうに失っていたため、その発見にどれほどの時間がかかったのかはわからないが、俺は地球そっくりの惑星を発見した。というか多分地球だと思う。家に地球儀があるタイプのご家庭ではなかったため、大陸の位置の細かいところまで覚えていない。
とにかく地球を見つけて大歓喜したこの俺だったが、見つけた瞬間に問題があることに気がついた。
今の俺、全然人間じゃねえ! ということである。
悠久の時を過ごし始めた序盤、そこにあるものが己の体しかなかったため、その時に観察しつくしてしまったからこそ、ここにくるまで改めて思考に登らなかった。
かつて人間だったころの俺が今の俺を見たら、モンスターとかクリーチャーだとか、そういう類の分類をするであろう醜い姿なのである。というか、まあ邪神とか言われそうな風体なのだ。宇宙から来てるし、クトゥルーな感じの、見たらSAN値が1d10/1d100で失われそうな、平易に言えば視界に入れた瞬間正気を一瞬で失う可能性のある、非常にやっべえ感じの異形なのである。
しかしやっぱり今の自分は人間ではないので、人間にはできないことができる。
つまり身体改造、人間に見た目を寄せる、いやマジで人間そのものにもなれそうな万能感、それだけはあった。というわけで俺は相変わらず時間間隔と言うものを失っていたので、何秒何時間何千年かけたのかは一向に不明だが、こうして人間に擬態する能力を手に入れたというわけである。
今にして思えば、ちゃんと地球のことをリサーチして、どういう言語を使っているのかとか、ちゃんとかつての俺が知っている人間の形をした生命体が暮らしているのかとか、そういったことを調べてからやったほうがよかっただろ、とは思うのだが、何せ俺は時間間隔を失っていた。時間間隔を失うということはつまり、効率について考える力を失うということに等しい。そうした方が早いじゃん、という思考はないのだ。やれるからとりあえずやっておくのだ。
人間に完全に擬態した俺は、とりあえずかなり人口密度が多そうな地域にひょいと降り立った。
もちろん人間はサイヤ人のように宇宙からきゅいーんと飛来しないことは覚えていたので、誰もいない路地裏に瞬間移動してきた。サイヤ人のように。見られなければサイヤ人であることはバレねんだ。
俺は生粋の日本人であったので、そこが日本でないことはすぐに思い出せた。
何か多分……アメリカ! アメリカっぽい! 海外といえばアメリカだからだ。
俺は自分が本当にちゃんと人間になれているか若干不安だったが、そんな不安を持っていることがバレたら当然普通の人間には見えないので、全然普通なフリをしてその辺を練り歩いた。
そうして歩くうちに、やっぱりここはアメリカ、そしてニューヨーク(めっちゃ聞いたことがあるので俺は安心した)であることを理解した。これは通行人が話しているのが英語であることがわかり、そのうえで英語という言語を覚えたからだ。人間じゃないので覚えが異様にいいのだ。人間だったら天才と言われるやつだ。人間じゃないので化け物とか言われるやつだった。
人間についてよく観察し、自分の人間らしさをさらに磨こう、社会体制とか勉強しなおそう、と道行く人々の会話から学習していた最中のことである。
俺が人間だった頃の常識にあわせて考えた場合、ありえないことが起きた。
これはのちにNY大崩落と呼ばれる未曽有の災害であったことが判明するのだが、当時の俺はあまりピンと来ていなかった。人々が叫び逃げまどい、建物が崩壊しては宙を飛び交い、霧がどんどんと濃くなり続ける中、とりあえず人間の真似をしておくかという浅い考えで、とりあえず真顔で走っていたくらいだ。
そうして一晩が経ち、覚えたての街の様子がすっかり変わり、人間ではないものがすっかりなじんで生活しているのを目の当たりにして、ようやく俺はこの状況に既視感を覚えたのである。
なんか、漫画で読んだことあるかもォ……。
しかし今となってはそんなことは些末なことであった。
人間とそうでないものが入り混じる街は、俺にとってメリットとデメリットが両方あった。
人間でないものが当然存在している街で、己が人間でないことがバレてもそこまで問題がない、というのがメリットだとすれば、デメリットは、人々が人間でないものを見慣れているせいで、己が人間でないとすぐに看破されてしまうということである。
しかし俺は強い子であるので、デメリットもすぐにメリットに変えることができた。つまり、俺は学べるのである。こういうふるまいは人間でないと思われる行為だということを。
というわけで俺がこのNY――今は名を変えヘルサレムズ・ロットに降り立ってからたったの数年(一年を数えることができるようになった、この進歩を見てほしい)で、この俺はもうすっかり人間としての立ち振る舞いを完璧なものにしていた。
完璧なものにしていたはずなのであった。
「はい、いつもの」
「ありがとう」
いつもの、で通じるメニューを受け取る。
俺はいつも来ているダイアンズダイナーというカフェで食事をとっていた。
すっかり人間的な振る舞いを習得していた俺だが――というか一番最初の記憶は人間であった頃なので、人間的な振る舞いを思い出したと言った方が正確なのかもしれない――食事のたびに妙な感動を覚えていた。これほど頻繁に食事をとらなければ死んでしまう生物たちが毎日しっかり生をつないでいることへの感動とか、別に食わなくても死なないんだけどこの食事を楽しいと思えている自分に対する感動とか、そういうものである。
「相変わらずおいしそうに食べてますね、J」
ハンバーガーにかぶりついていたところ、馴染の声か聞こえたので、俺はハンバーガーを持ったまま振り向いた。ちなみにJというのは今の俺のニックネームである。これが結構気に入っているのだ。
「うん、ふぁんふぁんふぇね」
「食べ終わってからにしろよ汚ぇな」
俺はこのカフェの常連だが、彼らもそうと言って差し支えない。
いつも丁寧な物腰のツェッドと、いつもチンピラのような振る舞いのザップである。
見るたびに面白い組み合わせだなあと思うのだが、彼らの交友関係がどのようなものから始まったのかについては未だ聞けていない。
俺は今のJという人間としては、勤勉・素直を心掛けているため、言われたとおりにハンバーガーを咀嚼して飲み込んでからもう一度言った。
「うん、おいしいからね」
「オレも同じの」
「はーい」
「今日はレオはいないのかい?」
「後から来ますよ」
レオ――レオナルド・ウォッチは彼らと同じくこのカフェの常連で、彼らの友人、あるいは同僚である。
「借りていたゲームの感想を話そうかと思っていたんだ。それならよかった」
そして俺自身の友人でもある。
俺が今のJという人間を気に入っているのは、交友関係がうまくいっているという自負があるからでもあるのかもしれない。レオやツェッド、ザップに限らず、結構友人が多いように思う。少なくとも前回の人間のフリよりは。
「オタクくんどものグルーミングに俺を巻き込むんじゃねえぞ」
ザップがオエーっという顔をしながらそう言ったのに、俺とツェッドが返事をしようとする前に、ダイアンズダイナーのドアが開いた。
開いたというのは適切ではなかった。正しくはドカンという大きな音とともに蹴破られたのである。
「強盗だー!!!!」
急展開、というわけでもなかった。
カフェの中でキャー、という悲鳴を上げたのが数名、他ほとんどの客はまたか、という顔をしている。これは常連に限らず、つまりHLの住民であれば、食事時に「強盗だ!」とドアが蹴破られるような体験は何度もしてきているという証明であった。
ツェッドは席から立ち上がろうとしたが、俺は「まあまあ」と彼を席に戻した。代わりに俺が強盗の元へ行く。
「なんだあんちゃん、正義の味方でも気取るつもりか?」
「いやいや、そんなつもりは毛頭なく」
笑って手を振る。正義の味方をやるつもりなら、先のツェッドを止めはしないだろう。
「欲しいのはお金?」
「あたりまえのことを聞くのがテメーのブームなのか?」
「いや、欲しいのは命だって言われたら大人しく悲鳴を上げて逃げるつもりだっただけだよ」
そういうタイプの殺人者も結構この街には多いのだ。そうでなくてよかった。
「このくらいでどうだろう」
俺はポケットから札束を取り出して、強盗の手にポンと乗せた。
強盗は一瞬ひるんだが、再び口を開こうとしたのが見えたので、俺はさらに札束を一束乗せた。
「どうだ」
ここらで客席の方からザワッという雰囲気を感じる。こういうのはアレだ、ちょうどオークション会場なんかで感じるような空気感である。
強盗が再び口を開こうとしたので、俺はその前に、もう一束札束を乗せた。
「どう?」
強盗が再び口を開こうとしたので、俺は札束をもう一つ乗せようとポケットに手を突っ込んだところで、後ろからの奇襲を受けた。
「アホがァ! こんなヤローに渡すならオレに寄越せよ!」
ザップである。
「いつも驕ってあげているじゃないか」
「それでハンバーガー何個買えんのか計算してんのか!?」
「ザップ、そういう計算ができないとね、これだけの札束を持てないんだよ」
「おかしいこと言ってんのはオレか?」
ザップが客席を煽る。客たちはザップの剣幕に押されたのか、皆一様に首を振った。
「オレはおかしいこと言ってんのかって聞いてんだよ、ア!?」
「俺ェ!?」
急に絡まれた強盗は素っ頓狂な声を上げた。
「強盗だっつってこんなに札束が出てきたことあんのかオメー」
「いや銀行だったらあるけどよ」
「そういうこと聞いてんじゃねえだろ!」
「すんません!」
強盗が恐喝されている。ちょっと可哀想だ。
「つーわけでJちゃんよ、オレが強盗を退けたらこの札束をオレにくれるっつー話はどうだ」
俺が口を開こうとしたところで、強盗が入ってきたドアに向かって吹っ飛んでいった。振り向けば、俺が座らせたツェッドが、先ほどまで持っていなかったトライデントを構えて憤慨している。
「駄目に決まっているでしょう」
「おい邪魔すんな、後一秒あればこいつうんかああを言ってただろうが」
「ツェッドさんナイス!」
ツェッドを褒めたのは、いつの間にか崩壊したドアから顔を出していたレオである。
「レオ、こんにちは」
「普通に挨拶してる場合か?」
このツッコミはダイアンズダイナーの看板娘、ビビアンから飛んできたものである。
俺は確かに、と頷いて、強盗が落としていった札束の一つをビビアンに積んだ。
「ドアはこれで直すと良い」
「あのさ、やっぱアンタ数を数えられないんじゃないの? ドアの値段はこんなに高くないって」
しっかり者のビビアンは札束から数枚の紙幣を抜いて俺に返した。
俺としても行きつけのカフェのドアがいつまでも解放されていては困るので、これに納得して札束を受け取る。
カフェの常連客は事態の解決におざなりな拍手をして、「よっJ!」「金持ちのボンボン!」「俺にも金くれー!」と適当なヤジを飛ばした。俺はそれに応えて、札束を手に取ったが、レオに手を叩かれて「コラァッ!」と言われた。
「貨幣制度が壊れるでしょうが!」
凄い突っ込みだったので俺は感心して、大人しく札束を懐にしまった。
「レオ、君を待ってたんだ。こないだ借りたゲームの感想を言いたくて……」
「その前に改めて、どうしてそういう金銭感覚で生きてこれたのか聞いていいですか?」
「本当に欲しいものには値段がつかないからだよ、レオ」
俺が適当なことを言ったので、レオはあきらめてビビアンに「いつもの!」と常連の注文をした。
「カツアゲされてもなくならねえ資金っつーのは想像もできねえけどよ、想像したら最高だよな」
「それカツアゲをする側で考えていますよね?」
ザップを制するツェッドだが、俺は首を振る。
「実際体感しているから想像するまでもないんじゃないのかい?」
「コラッ! カツアゲされてるなら言いなさい!」
「冗談だよ、レオ」
ということにしておいた。
俺が冗談だと適当に濁したのがわかったのか、レオは深いため息をついた。
「それだけお金があったらゲームを借りる必要もない気がしますけど」
「まったく君は何もわかっていないな」
ゲームを借りられる友達がいるという尊さとか、そういう話をしようかと思ったが、ちょっとクサすぎるかなと思い直して、俺はやっぱり適当なことを言った。
「ゲームソフトを買う分のお金は、そのソフト開発会社の株を買うのに使っているんだよ」
「規模が違ェー!」
俺はレオやツェッド、ザップと友人である、と思っていたが、彼らの生活のすべてに踏み込むことはしなかった。なんとなく、結構大変そうなことをしていそうだなという雰囲気は感じ取っていたが――そして、この俺が本当は人間ではないことを利用すれば、その詳細のすべてを調べ上げることも容易であったが――改めて、彼らが何者であるかを知ることはしなかった。
それは彼らに配慮したわけではない。俺が、人間であることを優先したからだ。
この地球に降り立とうと決めた時から、俺の指針はぶれていない。人間らしく振る舞って、人間のように、人間と仲良くしようという、そういう自己満足からスタートして、ずっとそのままだ。
なぜこんなことになったのか、ふと思い返すと、そんな暇はないことに気がつく。
俺は人間を模すことに心血を注いでいるので、人間の知覚とそれ以外をわけている。普段はできる限り、人には感知できない感覚については、考えないようにしているのだが、やはり俺も未だ未熟である故、完全に考えないようにするのは無理だった。
あえて人間の感覚に落とし込むのなら、それは背骨がバチバチと電気であぶられるような感覚。これは処理してはいけない、人類の感覚に存在しないことを理解する前に、隣にいたレオの首根っこを掴んで、Jとして想定していたはずの筋力を大幅に上回る腕力で、彼を放り投げた。
人間の知覚の中だけでの話をすると――俺は一瞬にして瓦礫にまみれていた。
この瓦礫がかつてダイアンズダイナーだったことはすぐに想像できた。だが、その瓦礫の下に埋まってしまったかもしれない友人たちのことは想像したくない。
ただ模しているだけの心臓が早くなる。俺は人間のフリがうまいなあと、自画自賛なのだか自虐なのだかわからない感覚を覚えながら、自分の体の上に乗っていた瓦礫をうんとこしょと除けて立ち上がる。
たぶん、脳みそが揺れすぎて使い物にならなくなっていたか、あるいは鼓膜が破けていたとか、そういうことだったのだろうけれど、当時の俺は人間のフリに執心していたので、実際のところ自分の体がどうなっていたのかはわからない。
ただ、瓦礫を除けて現れた自分の体を見て、ああこのままでは死ぬんだろうなということだけは理解できた。なにしろ人間の体というのは非常に脆いのだ。
腹の皮が破れ、内臓のどれかがこぼれている。
いつの間にか目の前にいたレオが、俺に向かって、何かを必死に叫んでいるが、聞こえない。
俺があんまりぼんやりしているからか、レオが俺の腹を両手で抑え込んだ。血は止まらない。俺の体は完ぺきに人間を模しているから、きっとこのままでは死ぬのだろう。
それもいい。それでいい。
人のまま死ねるならそれでいい。
俺はふとそう思った。
ここを終わりにするのが良いのかもしれない。
今までの俺は、ずっと学習を続けるつもりでいた。
いかにして人間らしく、人間のようでいられるかを研究して、実践を続けることをいわゆる生きがいにしてきていたが、それを突き詰めたら最終的に、人間らしく死ぬ、というところに行きつくのはわかっていた。いや、今わかったのだ。
もし俺が本当に人間だったのなら、その過程に基づくのならば、俺は今ここで死ぬのだ。
俺がどうして、何によって死ぬのか、そんなことはなにもわかっていない。だがもし俺が人間だとするのなら、そのまま、何もわからないままに死ぬのが正解だ。
なんというか、友達に死を惜しまれてるのだけはわかるし、このまま死んでもいいかなあ、と俺は人間らしくぼんやり考えていたのだ。
だが、俺はレオの背に迫る、刃を見た。
どうせ死にかけているのなら、視界もなくしてしまえばよかったのに。――いや、やはり失くしていなかったからこそよかったのか、それはもうわからない。
このままではレオの首が、間違いなくその刃によって切断されてしまうのだろうと、見てわかってしまった。
俺は手を伸ばしたが、その刃は人智を超えたスピードだった。
人類では止めることのできない必殺だった。
到底間に合わないことを悟って、そのうえで、俺はあきらめた。
つまり、人間でいることを、あきらめた。
「自らに課した約束も守れないこの俺を、どうか嫌いになってくれ」
それを言ったか言ってないかでさえ、人間か人間でないかもわからない俺にはわからなかった。
人間でいることをやめた俺は、この街でなにが起きているかを正確に把握することにした。
はいはい、ああそう、それは俺がかつてこの街について、そういえば漫画で読んでいたなあということを思い出す手助けにもなった。
ブラッドブリードという種族がここには存在するのだった。
あんまり詳しく理解したところで、今の俺には関係がない。
だから大雑把に言えば、人間を大きく上回る力を持った種族だ。
それを殺す手段を今の人類は知らず、ただ名を知ることができれば、封印することができるかもしれない、そのくらいの対処法しか存在しない、人類が対処するには理知外に強すぎる種族。
なんつーか、そういうのが普段行ってるカフェに攻めてくる確率ってどんくらいなわけよ。
札束の数は数えられても、そういう確率を数えるのはかったりいんですけど。
だがどちらにせよ、現実に起きてしまっているのだから、今更数えたところで何も変わらない。
この地球に来てから、戦おうと思ったことなど一度もなかった。
人間の中に戦うタイプの人間がいることは知っていたけれど、そういうタイプに擬態しようと思ったことがなかった。なんというか、ありていに言ってしまうと、怖かったからだ。
例えばどのくらいの力の強さで殴れば人を殺さずに済むのかとか、殺されそうになった時に人がどの程度怖がるのかとか、そういうことを真剣に考えること自体が恐ろしかった。
だが、正直言って今の俺は結構、ヤケになっていたので、もうあんまり考えなくていいかなと、あきらめた。
先に感じたのは、いわゆる殺気とか、そういう類の感覚だったのだろう。
俺はレオを安全な場所に移動しなければと、とりあえず大丈夫そうな場所に放り投げた。
だが、レオの首が今まさに刈られようとしていたのを見たその時に、いやこれレオを宝利投げるんじゃなくて、レオを殺そうとしているやつを放り投げたほうがよくね? とようやく気づいたのである。
人外生活が長いとあんまり何が常識かわからなくなるから嫌よね。人間のフリをし続けては長いはずなんだけどね。
レオの首を刈ろうとしている生き物を分析した結果ブラッドブリードだとわかったので、首根っこ掴んで引きはがした後、自分の体を変形させて俺の手から抜け出そうとしたのもすぐに納得できた。
なにしろ自己改造というのは俺にとっても十八番である。自分を好きな形にできるというのは上位存在にとっては当たり前のことだ。
だから俺も自分の腕を好きな形に変形させて、ブラッドブリードの動きを封じようとした。
あ~も~これ全然人間じゃねえ、というあきらめにより俺の顔がどんどん真顔になっていく。
このHLという街はとてつもなく愉快なので、俺が腕の形を網のように変形させても、まあそういう人間もいるか……で納得してくれる人々も多いのかもしれない。
だが、人間とは一線を画し、より高位なことを知覚できる彼らブラッドブリードにとっては、そういうのもいるか、では済まなかったようだ。
「お前、何だ」
人以外についての研究は遅々として進んでいないため、彼がその言葉に込めた感情は理解できなかった。その質問に誠心誠意答えてあげようという親切心も沸いてはこなかった。
俺はただぼやくように、いつものように適当なことを言った。
「俺は人間が好きなんだ。こんなに本気で人間のフリをして、人間のフリしたまま、人間みたいに死のうって思う程度には大好きなんだ」
ようやく取り戻してきたはずの時間間隔において、数億万年の時間を過ごしたこの生を、この場で手放してしまおうと思う程度には、この一瞬を愛していた。
「俺みたいな人間の偽物より、やっぱり本物の人間の方が好きなんだ。だからこうして、とてつもなく嫌なのに、こんな姿を晒している」
自分で言っているけれど、適当を言っている感覚はあるので、自分でも納得できなかった。だからとか言ったけど、結局どうして今俺がこうして恥を晒している理由について説明できないというか。
「なあ、レオナルドは俺の友達さ。そこの瓦礫につぶれされかかっているクリスティアーノも、お前がさっき風圧で飛ばしたケイコも、ディーンも、みんな俺の友達だ」
もやもやとしていた自分の思考が、徐々に形になっていくのを感じる。
「死ぬのを黙って見ていられないよ。自分の意志薄弱さに反吐が出る。なんとかできるからって、なんとかしちゃわないようにしようって思っていたんだけれどな」
それは俺が人間のフリを始めた最初の頃に、自分自身に約束したことだ。俺は人間でない以上、人間より多くのことができるけれど、それをしてはにんげんではなくなるから。だからやめようと、そう決めていたはずなのに。
「俺が人間みたいにあっさり死ぬのはいくらでも想定したくせに。人間が人間みたいにあっさり死ぬのを、どうしてか許せない。ただ、俺の友達だからって理由だけでさ」
言葉にしてようやく、ああそうだったのかと納得できた。
理由と言うのはそれだけなのかもしれない。理論が通っているかは関係がない。そう、人間というのは、理論が一番大事ではないと俺は学んでいるから。
「上位存在ってのはみんなイカレてるが、お前はとびきりだ」
手のひらのなかブラッドブリードが俺に言う。
「ありがとう。お前はずっと正気だね。だからその程度のままなのかい」
それが彼にとっての堪忍袋の緒だったらしい。
額の付近にビキビキとひっ勘が浮き出るのが見える。わかりやすい怒りのサイン、まるで人間のようだ。――羨ましい。
「殺す」
「やれるならやってくれよ。死んでやってもいい気分だったんだし」
彼がレオを殺そうとしなければ、そうなっていたかもしれない未来だ。
だがそうはならなかった。
俺は死ねず、レオは死なず、俺は恥を晒している。
理論なんかはどうでもいいな、というのが、人間のフリを長く続けて思ったことだ。
これがこうしてこうなって、というのはあんまり深く突き詰めてはいけない。
多くの人間たちが、物理演算だとか、化学法則だとか、なんなら四則演算でさえ、きちんと認識せずにも生きていっていることから学んだ。
あんまりすべてを知っていると人間らしくない。人類は全知全能ではないからだ。
だから俺は何をどうなっているか深くは考えないまま、ブラッドブリードを己の体の中に溶かした。
これは人間に例えれば消化というやつだが、俺は人間ではないので詳しくはわからない。わからない方が人間らしいので、わからないでいいかという気分だ。
「クソッ、クソッ、クソォッ」
「君らブラッドブリードが死ねないというのは欠点じゃないか? 上位存在だからって皆が不老不死ってわけじゃないんだよ。終わりを設定した方が存在としての格が上がる場合について考えてみたことはある?」
俺はJとしてのいつもの癖で、わかっているような適当なことを言った。
人のフリをあきらめた今となっては、本当にわかってしまうこともできただろうけれど、それはやめた。
「まあいいか。せめておやすみ。死を失った君にとって、せめてもの安寧は、なにも考えないことでしか与えられないだろう」
ともかく、このHLで暴れるブラッドブリードがいなければ解決するはずだ。
ブラッドブリードをひとまず消し去ってしまってから、俺はこれからどうするか考えた。
なんつーかさ……まず瓦礫をどかして下にいるかもしれない生存者を捜して……とかを考えなきゃいけないのかもしれないし、それより先に、俺が来るまでブラッドブリードと戦っていた人たちに対してかける言葉を考えなきゃいけないのかもしれない。
俺は未練深く、Jであったときのように、あまり常識というやつを考えない振る舞いをした。
つまり、ちょっと呆然と、あるいは俺を大層警戒している人たちに向かって、親指を立てた。
「おつかれ!!」
ついでにウインクもした。
ウエストコートを着た紳士だけが、ぺこりとお辞儀を返してくれた。
「お疲れ様です」
「おい!? いや、おいでいいのか……?」
向こうも混乱しているようだ。俺も混乱しているのでおあいこだ。
人間のフリができなくなったのだから一刻も早くこの場を去るべきだと考える己と、どうせバレてしまったのだからできる限りのことをしてからでもいいんじゃないかと考える己がいる。
わからない。とにかく今にでも瞬間移動して消えてしまいたい気持ちがあって、俺にはそれを実行する能力があるから、今にそうしても後悔しないように、これだけは言っておかなければ。
「友達でいられて本当に良かった、レオナルド」
「何、言ってんすか。過去形じゃないでしょ」
「だが……」
思いのほかすぐに返ってきた言葉に、俺はやっぱり困惑して、続きを言えなかった。
ヤジが飛んでくる。
「アホかオメー、どうみてもその辺の異界人とは格が違ェ邪神クラスのクソヤバ概念だろうが、とっとと逃げろや陰毛野郎」
「アホなのはあなたですよ、レオくんの覚悟を少しは想像したらどうですか」
どっちも言っていることは最もなので、最もだったので、俺はやっぱり困惑した。
「ええと、俺が今まで学んできたところによると、嘘と言うのは嫌われるもので、俺は君にずっと嘘をついてきたということになると思うのだけれど」
「俺がアンタに一度でも人間ですかって聞きました?」
「聞かれてないなあ……」
「じゃあ嘘つかれてないですよね?」
「ついてないかもォ……」
「じゃあそういうことですよね?」
「そういうことかもォ……?」
もっときれいにまとめられる気がするけど頭まわんね~~~ヒュ~~
8割は形になった気がするし今日はこの辺にして頭が回ってるときに詳細確認するぜ!
あざっした!!!!!!!!!!!!!!!!!!