夏コミ後の体調不良もなんとか回復してきたので、早速サンサン劇場に行ってきました。
都合1週間くらいはへばってたせいで見てない作品が溜まってるので、サンサン劇場以外の劇場にも脚を運ばねば。
というわけで、今日見てきた1本目はこれ!
舞台はアメリカの片田舎、オクラホマ。オタクの青年ショーンとその友人ヴィクラムは、スクールカースト最底辺の退屈な田舎暮らしの中で日本のオタク文化を楽しんでいました。そんなある日、ショーンは日本の特撮映画監督オガタ・ダイスケが製作したレアな特撮映画作品「虹の世紀末大決戦」のDVDを手に入れます。ショーンとヴィクラム、そしてホームステイに来た日本人の少女ミキは3人でこのDVDを見ますが、それがきっかけで3人は世界の命運をかけた戦いに巻き込まれてしまうのでした。
作品をけなすいわゆる常套句として「金のかかった二次創作」という言葉がありますよね。わたくし人形使いはこの言葉はけなし言葉としては非常に的外れだと思ってます。なぜなら全ての創作作品は本質的に二次創作だから。誤解されがちなことですが、完全な「ゼロ」から作品が作られることはありません。どんな作品にも元ネタやオマージュが存在し、それらの源泉は一言で言えば「各々の好き」です。それは一次創作も二次創作もかわりませんし、一次創作が上、二次創作が下という序列もありません。
しかるに本作を評するなら、「金はあんまりかけられなかったけど『好き』が十分伝わってくる二次創作」だと言えるでしょう。本作を製作したエリック・マキーバー監督の名前は寡聞にして存じ上げませんでしたが、本作からは日本のオタク文化、特に特撮作品への「好き」が随所に感じられました。本作はたくさんの「日本のオタク文化」のかけらを散りばめた星座とも言うべき作品だと思います。
しかし、創作をしたことがある人はわかると思いますが、創作作品というのはただ単に「好き」を並べ立てただけでは成立しません。そこで重要になるのが調理過程です。本作はこのオタク文化を散りばめた作品を、ショーン、ヴィクラム、そしてミキという3人の「それぞれなんらかのコンプレックスや焦燥感を抱えている人物」というキャラクターの「激変する日常」という主軸を配置することで調理しています。
作品への感情移入度はその作品を魅力的にする大きな要素の一つですが、これらのキャラ造形はこうした映画作品を好む我々のようないわゆるオタクが非常に自己投影しやすい。なので一気に作品世界に没入できました。まあこんな作品リア充は見ないしな。
創作作品のキャラクターには作中でのポジションや属性、役割があります。本作はその配置も非常に上手い。ショーンは自信のなさ、ヴィクラムは退屈な生活への不満、ミキはアイデンティティの拠り所がないといった欠落を抱えています。そして彼ら3人が共通して持つのが「非日常の希求」というオタクが必ず持っている欲求なんですね。なので、観客としては彼らに非常にスムーズに感情移入できました。
そして映像面。たしかに本作の映像は、CGバリバリのハリウッド超大作に比べると見劣りするチープなもの。しかしこのチープさこそが本作にふさわしい。本作は実写作品ですが随所にアニメーションも取り入れられており、これがまたいい味を出しています。おそらくはアクションシーンなどをすべて実写で撮影するのは費用がかさむから……といった世知辛い理由もあったでしょうが、このアニメーションのシーンがまた往年の日本のアニメ作品を思い出させてくれてとてもいい。あと本作の実写からアニメーションにシームレスに移行するシーンはけっこうすごいので地味に見どころかも。
そして間髪入れず次はこの作品!
公開から一部界隈で話題をかっさらい続けるこの作品、やはりというべきか塚口でやってくれてたので見に行きました。
「サメ映画」というジャンルはもはやなんというか無法地帯の類義語と成り果てている感じですが、そんな無法地帯についに日本が殴り込み!
本作は純国産サメ映画ということでSNSを席巻、そっち方面の作品が好きな人たちの盛り上がりでとんでもないことになってます。
わたくし人形使いはサメ映画についてはそれほど造詣はないんですがバカ映画は大好きなのでさっそく見に行きました。
舞台は日本のS県暑海市。温泉の名所として知られるその街では、温泉客が次々と姿を消す謎の怪事件が頻発していました。やむなく捜査を開始した警察署長は、その過程で市の地底に古代のサメが生き残っており、一連の事件はすべてそのサメによるものであることを突き止めます。
折しもサメ騒ぎで一躍有名になろうとするyoutuberやサメを一目見ようと詰めかけた見物客で港が大騒ぎになる中、温泉地VS古代ザメの大群の前代未聞の大バトルが始まる!
で、本作の感想なんですが、なんかこれ……特撮映画として妙にちゃんとしてていわば「バカ映画方向に舵を切ったガメラ」って感じです。
いや、確かにバカ映画ではあるんですよね本作。そもそも「温泉地人食いザメが出る」って設定がバカですし、人がポンポンサメに食われる描写もちゃんと雑(?)ですし、サメは「シャーッシャッシャッシャ」って笑うし。
しかし本作、「温泉地に出現した人食いザメ事件に対処する」って点ではB級映画的トンデモを織り交ぜつつもけっこう真剣に事態に対処していて、ちゃんと「怪獣映画」としての面白さがある。
例えば、「温泉で襲われたはずの被害者の遺体がなぜ海で発見されるのか」「サメはどのようにして温泉と海の間を移動しているのか」といった各種の謎をちゃんとひとつひとつ解決していくし、その過程でまた新たな謎が浮上するという展開もしっかり織り込んであります。
わたくし人形使いが思うに、怪獣とは巨大な謎です。しかるに人間は、その最大の武器である「知恵」でもって巨大な謎たる怪獣を解明し、解体し、そして打ち倒すわけです。これが非常に顕著に現れてるのがみんな大好き「ガメラ2 レギオン襲来」なので良い子のみんなは夏休みの間に見ようね。
しかるに本作はサメ研究の専門家として呼ばれた女性研究者である巨勢真弓博士がまたいいキャラしてて好き。事態解決の鍵を握るのが女性研究者というのもガメラと同じですよね。そして最初は頼りなかった市長が覚悟を決めて温泉シャークとの戦いに赴くのも好き。怪獣映画では忌避されることも多い人間ドラマの部分が、本作では特撮部分の邪魔にならない配置と大きさでしっかり作品の中に収まっています。
いやーなんというか予想外にちゃんとした作品だったので面白いとかつまらないとかいう以前に困惑が先に来てしまいました。いやちゃんとバカ映画だったしちゃんと怪獣映画だったし、チープなところはちゃんとチープだったので非常に出来のいいB級映画だったんですが、なんか想定してたのがキラーカブトガニとかあそこらへんだったのでもっとキッツイのが来ると思ってたら意外なくらいまともなのが来てしかも普通に面白かったので……。
後半のあつみ丸VS温泉シャークの大群とのヤケクソ気味なラストバトルや最大の謎であるマッチョなど突っ込みどころはあるものの、特撮作品として順当に面白い作品に仕上がってたので意外に楽しめました。これで懲りずに続編を作ってほしい。