警告遅れました!
これより先は仮面ライダー龍騎の致命的なネタバレを含みます!
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怪物が潜む鏡の前。そこに蛇の目をした男が一人、立っている。怪物の瞳が憎悪に光り、忘れもしない男の顔を睨んだ。愛らしい外見に反する凶悪な牙から唾液が滴る。口内に殺意が迸る。
仇。相棒の、仇。膨大な食欲すら霞むほどの黒い感情が、怪物の全てを染め上げていた。
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自らに襲い掛かっていた怪物を手懐け、従えた手塚海之は、その従えられた怪物から見ても不思議な男だった。怪物を時々憎悪の眼差しで見ていた。その一方で時々気遣われもした。共に過ごす時が増える度、後者の時が増えた。その事に苦しみ葛藤する事も増えた。だが、それを決して外に出す事はしなかった。だから、そういう姿は怪物しか知らない。手塚は孤独な男でもあった。
真面な人間のものと比べると残念な怪物の脳と心では、それらの背景を全て推し量る事は難しかった。語られる事が無かったのもあるが、単純に理解が出来なかった。だが、微かに情緒もあった怪物が彼に興味を持つには十分だった。これ以降怪物は、この男に無自覚な友愛のようなものを寄せていくようになった。
まあ、せいぜい。戦い疲れて死ぬくらいまでは付き合ってやろう。そんな軽い気持ちだった。この男の傍に居れば食いっぱぐれる事もない。敵の事は基本的に引き受けてくれるし、まあそれで死んだなら自分が食えばいいだけ。だから死ぬまでは。死ぬまで――。
「おい・・・嘘だろ?止せよ・・・なあ、目ぇ覚ませよ手塚・・・。手塚!」
真司の叫び声は、鏡の向こうの怪物にまで響いていた。それどころか、怪物は鏡の前にいた相棒の死に様を見届けてもいた。死んだのか。もう。こんなに、呆気なく。怪物は静かに動揺した。彼等に御馳走を持ち去られて暫く経つまで、その事に気付かない程に。
正気を取り戻した怪物は、御馳走の匂いを追った。近隣の病院の霊安室。恐らく真司が自身を警戒してそうさせたのだろう、鏡の少ない部屋。その中で微かに鏡となっていた金属の燭台から抜け出て、ご馳走と化した相棒を見下ろした。
ライダーとしての鎧に守られたお陰か、ご馳走は綺麗な形を保っていた。血も殆ど流れていない。時間が経って白くなった顔を除けば、まだ生きて眠っているかのようだった。怪物にはそんな些細な違いは理解できないのだが、この部屋の異様な静けさで鼓動と呼吸が無いのだけは判断できた。
だから、まあ。もう死んでしまったのだから。どの道食べるつもりだったのだし、このままじゃ他の奴等に取られてしまうかも。そうだ。だから、このご馳走はさっさと食らってしまおう。また独りの狩りに戻るだけの話なのだ。独りの、狩りに。
怪物が同族のそれと比べると小さな口を開く。どこから食べてしまおうか。散々自信を踏んづけてくれた足か。不快な眼差しを向けて来た目玉か。自分のカードを弄んだ指か。それとも――。
「・・・」
怪物がくるりと身を翻した。先程出て来た燭台の中に舞い戻る。——時間切れだった。どこから食べるか悩んでいたから、消え始めていたんだ。足りない情緒の中、何かに対してそう言い訳しながら、ある場所に向かって真っすぐに飛翔した。ご馳走から――相棒からどんどん離れていった。
違う。解っている。人のような心など怪物にはないが、それでも彼とは確かに相棒だった。あれはご馳走などではない。自身を信頼し体重をかけてくる足、複雑そうにしながらも時々気遣うような視線を向けた瞳、自分を呼び出してくれた指。全部好きだった。
でももう、あれはご馳走になってしまった。怪物たちにとっては格好の獲物であるただの肉塊に。寧ろそれなら良かったと言うに、もう怪物は彼を食料と見做す事は出来なくなっていた。だからただ、あれは動かないだけの肉塊だった。もう、何もできない。何もしてはくれない。近くでまじまじと眺めて、呼吸音も心臓の音もしない部屋の静寂を聴いて、ただそれだけを痛感させられた。勿論それを理解する事はやっぱりできないのだが、唯々身の内を焦がす熱のままに、”奴”の匂いを追う。
――ユルセナイ。
緑色の瞳の奥に憎悪の炎が灯る。食欲すら焼き尽くすそれに体の全細胞が突き動かされているのが本能で理解できる。あいつだけは。あいつだけは殺してやる。その為なら飢えて死のうが構わなかった。それで、大切な相棒の仇が取れるのなら――。
もう二度と会う事もない相棒への想いを抱え、邪悪な潜水者は星屑の海を駆けていく。空を覆い尽くす星の道を横切って、鏡の外とは反対の一で輝くアルタイルには目もくれず、ベガの横を素通りして、一直線にウヌクアルハイへと駆けて行った。
さよならアルタイル
今回は一旦ここまで!
お洗濯もの取り込んでからシブに掲載いたします!
やべえあと1時間!急がねば!
では失敬!
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向き
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龍騎妄想
初公開日: 2024年07月21日
最終更新日: 2024年07月21日
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コメント
昨日やらなくて申し訳ございません。
今回はピクシブ100週連続投稿記念で新しい不定期短編オムニバスシリーズを始めます。
本日は今月7日に命日を迎えたのをすっかり忘れてた()あの人の小噺。
Attention!
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