装着者を失った聖鎧は機能を停止。それを確認したネグザルツは機首を再び目的地方向へ向け――その鼻先を身を灼くほどの熱量がかすめた。
「逃さん……貴様だけは……!」
レインディアは戦意を失ってはいない。流れ去っていく聖鎧を一顧だにせずその機首にエネルギーを集中させた。渾身の疑似太陽剣が一閃し防護フィールドを貫通、ネグザルツの装甲表面を削り取る。
ネグザルツの持つ真正の太陽剣に迫る「練り」がエネルギーを収束させ、執拗なまでの正確さでネグザルツの未来位置を薙ぐように振るわれる。
太陽剣に抗する手段は太陽剣のみ。しかし、太陽剣を使用するたびに生命力(ライフ)が削られる分だけネグザルツが不利だ。加えてレインディアの業(わざ)の冴えは、聖鎧を失ってなお、あるいは失ったからこそ増していた。
レインディアの執念そのものとなった疑似太陽剣が、真正の太陽をも凌ぐ熱量となってネグザルツに襲いかかる。大上段(フォワード)から振り下ろされた一刀を受け流そうとするが、レインディアは斬撃とともに巧みに位置を変えて次の瞬間には別角度から斬り込んでくる。
持久戦になれば、太陽剣の仕様によって生命力を消費するネグザルツが不利。従ってネグザルツが勝つには、会心の太刀を叩き込む刹那の見切りが必要となる。
ネグザルツ、レインディア共に全てのエネルギーを太陽剣の使用に回しており、通常武装である粒子弾すら使う余裕はない。交錯する剣閃の中、ネグザルツは意識を集中。レインディアの攻撃の隙を伺う。
幾度目かの交錯。レインディアが次のひと太刀を繰り出すために星間物質(エーテル)を吸入した瞬間、ネグザルツはほとんど反射的に太陽剣を抜いていた。レインディアの受太刀は――間に合わない。
ネグザルツの太陽剣がレインディアの二次装甲に食い込み、一瞬にして融解させる。しかし、太陽剣がその直下の一次装甲に達する前にレインディアは強引に機体を捻り太刀を外した。同時に下方に振り抜いていた疑似太陽剣を返し、逆袈裟に斬り上げる。
瞬間、ネグザルツは太陽剣のリミッターを解除。レインディアの疑似太陽剣を受けたネグザルツの太陽剣が――爆ぜた。
「ぐううおおおおお……ッ!?」
ジェネレーター臨界駆動(オーバードライヴ)。出力を倍加した太陽剣の輝きが、ネグザルツ自身の装甲をも灼きながら爆発的に増大する。
大太陽剣、発現(アクティベート)。