「今日は姐さまとデートだ」
 鏡の前に立って、身なりを整える。
 寝癖はない。ちゃんと昨日姐さまにもらった髪飾りもつけた。
 準備万端だ。
「モカ。準備はできたか?」
「はい。行きましょう!」
 扉を開くと冷たい空気が吹きこんできた。
「はやく冬支度をしないといけませんね」
「そうじゃのぅ。手が凍りそうじゃ」
「手を繋いだら、ちょっとはあったかくなりますよ」
 姐さまの手をとり、ぎゅっと握った。
 綺麗な手はすでに冷たい。
「そうじゃのぅ。ありがとう、モカ」
 頭を撫でられる。
 子供扱いされているような気がする。
「私はもう15ですよ」
「そうじゃった。以後、気をつける」
「たまにならいいですけどね」
 頭を撫でられるのは嫌いじゃない。
 ただ、姐さまの恋愛対象になれない気がして寂しくなるだけだ。
「さっそく手袋を買いに行きましょう」
「それがいいのぅ」
 私たちは市場に出かけた。
「どれにしましょうか?」
「指は別れている方が何かあったときに対処しやすいのぅ」
「ならこの白の手袋とかどうですか? きっと似合いますよ」
 まぁ姐さまは何を身につけても似合うだろうけど。
 美人とはそういうことだ。
「たしかに良いのぅ。それにしよう」
「なら私はそれの黒にします」
「お揃いじゃのぅ」
「はい。素敵な姐さまと同じ物を身につけたいな、と思って」
「そうか。嬉しいことを言ってくれるのぅ」
 姐さまの反応も良さげだ。
 嫌がられたらどうしようと思っていたから一安心だ。
 会計をして、さっそく身につける。
「姐さま。似合ってます!」
「ありがとう。モカも似合っておるぞ」
「そうですか。ありがとうございます!」
 褒められて一通り舞い上がった。
 そして気がついた。
 姐さまと手を繋ぐ理由がなくなってしまった。
 こんなことなら先に別のものを買いに行けばよかった。
 だが後悔先に立たず。もう手遅れだ。
 諦めて並んで歩こう。
「人が増えてきたのじゃ」
 たしかに時間が経って、人の往来も増えてきた。
 迷子にならないよう気をつけなくちゃ。
「はぐれぬよう手を繋いでおこう」
「あ、はい!」
 姐さまから誘ってもらえた。なんたる幸せ。
「次は」
カット
Latest / 28:16
カットモードOFF