夏コミ戦利品レビューは紅楼夢までに終わりそう。多分。
・すずだんご総集編1(土露団子)
USBメモリやらテレホンカードやらソノシートやら予想外の同人作品を繰り出すサークルさんの総集編。東方枠ですが艦これ作品も収録されています。
それでは収録作品ごとに感想を。
・Dead or Alive
サークル「すずだんご」としての処女作。老いたかつての提督の回想という形を取った足柄との戦いの記憶。
実在の艦艇を題材にした艦これという作品の二次創作の特徴的な点として「過去と現在をつなぐ」があると思ってるんですが、本作は提督が孫娘に語る回想ということでそれがしっかり表現されていると感じました。また、舞台を現代の横須賀港で開催されているヨコスカサマーフェスタにすることで、同じ場所と違う時代というすれ違いによる切なさも感じさせてくれる良品でした。
個人的に好きなのがプロローグとエピローグの夏の情景描写ですかね。こういうのが上手いと一気に作品に引き込まれます。
・こいしひび
こちらは東方二次創作。タイトルの通り古明地こいしをメインキャラに据えてドグラ・マグラと組み合わせた一編。
ドグラ・マグラを知っているとなかなかニヤニヤできて楽しかったですね。そしてこうしたクロスオーバーは両作品の配分のバランスが難しいと思ってるんですが、本作はうまーく東方二次創作としてのバランスを保ちつつドグラ・マグラ風味に仕上がっていると思います。
特に、ドグラ・マグラ風味の展開に合わせて「サトリ妖怪の出自」という部分に踏み込んでいるのは考察的にも面白かったです。こうした雰囲気を全面に出した作品は、いわゆる「雰囲気小説」にとどまってしまいストーリーラインが最後まで曖昧・不明瞭なまま終わってしまうことも少なくないものですが、本作はこの「サトリ妖怪の出自」という背骨があるのでストーリーラインがしっかりしてたのは学ぶべき点だと思います。
・雪のち雷
こちらは再び艦これ二次創作。解体が決定した雷と提督の冬の逃避行を描いた一編です。
あとがきにある通り、劇中の2人の逃走経路は実際の当時の列車ダイヤに合わせて描写されているので、逃避行にリアリティと緊迫感を感じられました。この辺は自分ではかなりえーかげんにしがちな部分なので見習わねば。
ふたりのいっときとは言え任務や戦争といった柵から開放された旅路、そしてその旅路の行き着く先の切なさよ。逃避行というのは最終的な結末が見えていながらも……というのが醍醐味だと思っているので、本作のこの結末は非常に好き。
・秘封倶楽部は今日も養分
まさに怪作。
「秘封倶楽部がオカルトに挑む」というのは秘封二次創作の定番中の定番ではありますが、その対象がスロットって……。
まあある意味ギャンブルは最大のオカルトとも言えるので、スロットは秘封倶楽部が挑むにふさわしい相手だと言えないこともないのかも知れない。
しかしいっくらなんでも奨学金をギャンブルに突っ込むのはいかがなものか。わたくし読んでてかなり本気の「うわぁ……」が出ましたよ。
そしてあとがきによれば本作は筆者の実体験によるものだそうで、メリーがだんだん取り返しの付かない当たり台オカルトにハマっていくさまにはイヤ~なリアリティを感じられました。これほとんどホラーだろ。
「秘封倶楽部の活動は、まだ始まったばかりだ」じゃあないんだよ。
今日はここまで。