直後、ずっしりと体に掛かる重みまでは、いつも通りだった。
「・・・う、あ・・・」
声にならない声をあげながら、大きく息を吐いた。
いつの間にか強く握って皴になってしまった枕から手を離し、顔を伏せた。
体から力を抜いて、背中に圧し掛かる重みが離れるの待つ。
目を閉じて、数秒。いつもならそろそろ退いてくれるけど、今日に限っては、なぜか離れようとしてくれない。
ていうか、全然動かねぇんだけど。
「・・・アキ?」
名前を呼んでも反応がなく、振り返ろうにも重石になっている体が邪魔をする。
だんだん不安になってきた。それは、俺の顔の横に置かれた手が、ぴくりと無意味な動きをしたことで確信に変わった。
「アーキ!」
「あ!?・・・あ?」
「あ?じゃねぇ!重いっつの!」
素っ頓狂な声の後、呆けたような声が聞こえた。
間違いねぇ。寝ようとしてたな、こいつ。
俺に全体重を預けたまま。
「い ま す ぐ ど け」
「あ、悪い・・・」
寝ぼけているときはいつもより素直なアキは、ごろりと俺の上から転がり落ちていく。
やっと体を起こして隣を睨みつけたら、俺の怒鳴り声に少しは目が覚めたのか、ばつの悪い顔をしていた。
「寝落ちするくらい疲れてるときはやめろって言っただろ!」
「悪かったよ・・・もう少し耐えられると思ったんだが・・・」
「こういうの、なんか悲しくなんだろ。わかんねえ?」
「でもなぁ、こればっかりは本能的なものだからな。お前こそわかんねぇ?」
確かに、アキの言い分もわかる。わかるけど、ここは譲れねぇ。
気持ちがどうのとか言うつもりはないけど、これだけはなぁ。
勝手に盛って、勝手に気が済んで、勝手に寝ちまうなんて。
「こういう時のお前、ただでさえマイナスイオン出てんのに、程よく疲れてるときにその上に乗っかっちまったら、もう、な?」
「まいなすいおんって何」
「お前がいるだけで俺は癒されるってことだよ」
じっと見つめてくる瞳に、ため息を吐いた。たぶんこれは本心だろうし、悪気はないからタチが悪い。
ったく、こういうときのアキ相手だと、どっちが年上かわかんねぇな。
「・・・もうやめろよ」
「あぁ、大丈夫、もうしない」
「どうだかぁ?」
「なんなら試してみるか?眠気も飛んだし、気合なら十分だぞ?」
じりじりとにじり寄ってきた体に、またため息。
俺も大概だな、と思いつつも、伸びてきた手にゆっくり目を閉じた。
終