まず、最初に感知したのは、大雨だった。
しとしとと降り注ぐ、しかし私の知るにおいではない水の粒。
それを見て私は、ああ。なるほど、知らない場所に来たのだなと、おおむね事態を把握した。
空気の粒感から察するに、たぶん寒いところ。
そして湿り気から察するに、|山の向こう側。
恐らく水温はとてもひくいのだろう。氷漬けにされていないのがむしろ奇跡だった。
霙ですらねえぜ!すげえぜ!
閑話休題。
大雨の中、私は一歩、前に進む。
一歩、二歩、散歩。
一つ一つの動作を着実に。
しかし、無駄なく積み重ねる。
それを積み重ねていくといつしか、人はどこかにたどり着けるもので。
「―――――――――――――げ。」
そして、そのたどり着いた先がおぞましい自殺現場っていうこともまれによくあるっちゃあるのだ。
見つけたのは、人影。
場所は、横断歩道橋の手すりの上。
雨で滑りやすいということを理解してもなお確実に命の危険のある短く幅のない足場で、一人の少年が、命を断とうとしていた。
まあこんな車通りのない真ん中で、この程度の高さで死ねるかどうかはわからないが、確実に少年の将来に影響はあるだろう。大なり小なり。
そしてそれは、彼が大好きだった「 」|《それ》にも。
あ、と思った時には、手すりからずるりと足が落ちていて。
最後に理解できたのは、腹立たしいくらい綺麗な、かれの横顔だけだった。
「どっしゃい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ぐえっ」
正直言うと。
間に合ったの、本当に奇跡だった。
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