もう、ずっと一緒にいるのに。
ずっと一緒に暮らしてるのに。
これが、お前のボディーガードだよ。と与えられて何年も経つのに
未だにその存在に完全には慣れない。
―――いや、違う。
慣れたはずなのに
彼の姿をつい探して
彼の視線をつい追って
彼の手が触れることに身体がこわばるようになってしまったのだ。
ここ最近から。
この家には私と彼しかいないから、毎日が淡々と、しかし私にとって濃密に過ぎていく。
それがとても幸福で、とても緊張する日々を送っている。
二人きりの生活が始まったのは、悲しいきっかけのせいだけれど。
それでも今の私は一人ぼっちでは無い。側に彼がいてくれるのだから、本当に幸福だった。
それだけで、良かった。
私は学校にも行ってない。
仕事も無い。
だからいくらでも寝坊できるはずなのに、どうしても朝は決まった時間に目が覚めてしまうのだ。
「起きたか」
起き上がった私に応えるように、静かな声が横から投げかけられる。
目を向けるとテーブルに分厚い本を置いて、シオンがそれをペラペラと眺めていた。
やたら分厚いので何を読んでいるのかと思ったら、植物図鑑だった。
「おはようシオン」
「ああ。おはようリナ。朝食にしよう」
私がベッドから抜け出すまで見届けること無く、彼は隣のキッチンへと移動する。
もう朝食を用意してくれていたらしい。
というより、私の起床とほぼピッタリなタイミングで完成させていたらしい。
相変わらず隙のない完璧超人だ。
完璧ではないただの人間である私は、髪を適度に梳いてからクローゼットを開ける。
ブラウス・カーディガン・スカートといういつもの格好に着替えて、ダイニングに向かうと、
シオンがてきぱきと朝食を並べてくれた。