「ご覧ください! 外部との連絡手段がない絶海の孤島で起きた密室殺人の謎を見事解明し、犯人を突き止めたA氏です! 憔悴しているようですが、カメラに向かって手を振っています! まさに記念すべき人物です!」
ニュース映像の中では、アナウンサーが興奮気味にまくし立てている。カメラがズームすると、警官に囲まれながらヘリコプターから降りてくるのは、小柄な少女だった。
「長らく社会は探偵不在が原因で、不可能犯罪が横行する暗黒の時代となっていました。しかし、ようやく我々のもとに、事件の謎を解き明かし犯人を暴く力を持つ存在、探偵が戻ってきてくれたのです!」
このニュースは全国的な熱狂をもって迎えられた。
――当然公表はされていないが、この絶海の孤島での殺人事件はあらかじめ用意されたものだった。警察組織をはじめさまざまな関係各所が、過去に発生したすべての「巻き込まれた一般人が事件を解決したケース」から導き出した、「もっとも探偵が発生しやすい事件のシチュエーション」。それが今回の事件の舞台だった。
かくして「事件から探偵を出現させる」という試みは成功。この記念すべきを境に、日本列島の周囲には観光資源、あるいは別荘地と称して人工島が数多く建設され、富裕層の別宅や高級ホテルが設置されるようになっていた。そして、そこでは連日のように密室殺人が発生している。