またか、というのが最初の感想。ホシグマと二人で顔を見合わせる。先日の似たような部屋は出る条件が「性交」などというふざけたものだったと後にホシグマから聞いていた。今回の条件は何か、と部屋をぐるりと見渡しても前回と違ってベッドすらない。つまりは"そういう"ことではないというのを暗に理解してひっそりと胸を撫で下ろした。
「ホシグマ。そっちにはなにかあるか」
「……いえ、何も」
 床から天井から壁に至るまで真っ白な空間。平衡感覚すらおぼつかなくなってしまいそうだ。ぺたりと壁に触れてみても、何の変哲もなくひんやりとした無機物の冷たさが指先の熱を奪うだけ。剣で殴りつけてみても前回同様傷一つつかずに私のプライドだけ小さく傷つけた。
 さて、どうしたものか──条件が書かれているわけでもなし。ご丁寧に案内してくれるわけでもなし。自分の体にも異変はなし。手詰まりか、と嘆息しかけた時。
 視界の端。わざと隅に移動したとしか思えない不自然な場所で赤が舞う。不気味なほど真っ白い空間に鮮やかな色彩をつけたのは血液だった。──ぼとり、と肉塊が落ちる音。節くれた指も、傷のついた指輪も、気を遣った深爪も、覚えのあるものばかり。どうして、という疑問と焦りが私の頭を殴りつけた。
「……は?」
 私が間抜けな声を上げるのと、太刀が床に落ちてがらんと声を上げるのは同時だった。
 何が起こっている。彼女の足元には血の海が広がり始めていた。
 何をしている。落ちた片腕と太刀を見て喉がひしゃげた音を出した。
「ホシグマ!」
「っ、ぐ、ぁ……!」
「お、まえ、何を……!」
 残った右手を差し出され、それが何だと混乱しながら受け取る。包んでしまえるほどの小さな紙には「どちらかの腕を切り落とさないと出られない部屋」と書かれていた。カッと頭に血が上る。何の相談もなく、一言もなく、こいつは、何の躊躇いもなく自分の腕を切り落としたのだ。
 背中に、空気を読まない解錠の小さな音が投げかけられる。──うるさい黙れ。今はそれどころでは──その音に苛立つ私とは裏腹に、ホシグマは安堵した表情を浮かべたがその顔は失血で真っ青で気を失う寸前といったところ。
「チェン。よく聞いてください。おそらく私はすぐ気絶します。解錠は出来たようなので、腕と私を抱えて脱出してください」
 変なところで信頼されても困る。脱出した後に腕の接合を考えるのなら私でも──と、自身の身体の血液に何が混じっているのかを思い出す。腕一つ失うリスクと、長命種の人生の大半を奪うリスク。私には後者を選べない。
「ここから出たら、腕を持ってガヴィルさんとススーロさんのところに向かってください。腕はススーロさんに。私の方は重いでしょうから、ガヴィルさんに手伝ってもらってください。アダクリスなら、まだ持てるはずですから」
 腕一つ切り落とした人間がここまで冷静になれるのか、と頭の片隅の私が感心する。
「では、お願い……します」
 膝から崩れ落ちるように床へ倒れ込みそうになったホシグマを何とか抱き止めて、奥歯を噛み締めながら出口へ向かう。何の表情もない扉が実に腹立たしい。気絶した人間、それも、ただでさえ身長差が大きく、ガタイも良い彼女を抱えて移動するには非常に大変だ。それでも、それが何だとスラングを吐き捨てる。大変なだけならそれでいい。たとえエゴイズムだとしても私を綺麗なままで残し、逡巡もなく自身を犠牲とした彼女の覚悟と比べたら。
 扉を蹴り破って外へ出る。術師を捕縛しに行くのは後回しだ。彼女を助けてやってくれと心が逼迫する。一刻も早く夜戦病院までと、逸る心が肉体のリミッターを外す音が聞こえた。
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08:03
ななし@b60357
やった〜〜〜!!!楽しみにしています!!
10:09
ななし@b60357
般若でどうにかするのか、部屋にあらかじめ刀でも置いてあるのか、気になるところ。
10:37
ななし@b60357
刀!!!👏👏👏
11:04
ななし@b60357
まぁ、そうですねwww
28:50
ななし@b60357
🐊先生…!
29:18
ななし@b60357
きっと持てるはず…!!!
29:37
ななし@b60357
(うなづき)(うなづき)
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初公開日: 2023年01月05日
最終更新日: 2023年01月06日
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👹🐉 欠損 昨日のやつに肉付け
途中で止まったら終わるかも
チャット欄はご自由にどうぞ
思いついたところだけ
👹🐉 ・唐突に終わることをご了承ください。 ・チャット欄はご自由に。
suit
眠くなるまで
👹🐉 眠くなるまでちょっとだけ チャット欄はご自由にお使いください
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寄稿文
一次創作の二次創作
きょむい〜ぬ