こんにちは、あるいはこんばんは。蒼穹めとろです。今回ワンライにチャレンジしてみようと思ったんですが、せっかくなので制作過程を記録して後から見返せるようにテキストライブさんを利用して書いていこうと思います。
お借りするのは『#ワドルディワンドロワンライ』のタグになります。毎週土曜日の22時〜23時、遅刻参加は次回開催までOKとのことです。タイムオーバーは計二時間まで。それ以上はタグ無し投稿となります。
10月29日開催の第12回お題は『フリー』。普段は特定のワドルディ+テーマを2つご用意されるようですが、第五土曜日はフリーお題となるそうです。
一応、どのワドルディで書くかと簡単なお話の内容は考えてきましたので、さっそく書いていきましょう。
***
「ねえ、どうしてそんなに強くなりたいの?」
 あるときふと、そんなことを聞かれたことがある。ある穏やかな午後の日のことだった。
 ひとりでこっそりしているつもりの槍の訓練はどうやらお城の他のワドルディたちにも筒抜けのようで、戻るとよく「お疲れさま」だとか「いつもすごいね」だとか、そんな言葉をかけられることも珍しくなくなってきていた。
 だから、そんなことを聞かれるのは初めてで、ぼくはちょっと驚いてしまった。
「どうして、って?」
「うん」
「ええっと……どうして、そんなことを聞くの?」
「え? うーん、なんとなく気になっちゃったからかなぁ」
 質問に質問で返すなんていうことをしたぼくを咎めることもなく、そのワドルディはこてりとぼくと同じ一頭身のからだを傾げながら不思議そうに言った。どうやら自分でもよくわかっていないらしい。
「どうして、かぁ……」
「わかんないの?」
「ううん。ただ、なんて言ったらいいかなって」
 頭に巻いたバンダナに手を当てて、うんうんと考え込む。
 しばらくそうしていると、目の前のワドルディが何かに気づいたようにぽんと手を打った。
「あ、そっか。バンダナくん、戻ったばっかりで疲れてるよね?」
「えっ? ぼく別にそういうわけじゃ……」
「ごめんごめん、気が回んなかったよ〜」
「わっわっ」
 どうやら疲れがたまっていると勘違いされたようで、ぐいぐい背を押されてそのまま近くのベンチに腰かけた。隣に同じように座ったワドルディが、りんごをひとつ取り出して差し出してくる。
「はいっ、どーぞ!」
「わぁ〜ありがとう!」
 つやつやぴかぴかの真っ赤なりんごに嬉しくなっちゃって思わず声を上げる。このぴかぴか具合は今朝採れたての新鮮りんごに違いない。りんごを持ってにこにこと笑うぼくは、きっとすっごく単純。でも、それでこそワドルディだよね。
 もうひとつ取り出したワドルディと並んで手を合わせ、甘い幸せの宝石に揃ってかぶりついた。
「おいしい〜!」
「とっても甘くてみずみずしいね!」
 からだを動かしたあとのフルーツはやっぱり最高! たっぷりジューシーなおひさま色の黄金りんごに舌鼓を打ちながら、さっき聞かれたことに対する答えを頭の中で考えてみる。
「『どうして強くなりたい』のか……」
「答えは見つかった?」
「うーん……答えとはちょっと違うのかもしれないけど、それでもいいなら」
「ぜんぜんいいよ! ぼく、答えが聞きたいんじゃなくてバンダナくんがなにを考えてるのか知りたくなっただけだから」
「そっか。じゃあ……」
 手の中の真っ赤なりんごを見つめながら、ぼくはそっと口を開いた。あざやかで、まぶしくて、きれいな赤色。あの日見た、勇ましい真っ赤な色。
 ──そもそもの始まりは、そんなに大したことじゃなかったと思う。たぶん。
 みんなと同じなのがイヤになったわけじゃないけれど、ちょっぴり特別な自分に憧れちゃうときって誰にでもあると思うんだ。いわゆる……『個性』ってものが欲しくなったのは、もうずいぶん前のこと。
 そう、このバンダナ。分かりやすいでしょ?
 あのときはちょっとした気分転換くらいのつもりだったんだ。ぼくの友だちに水兵帽を被ってる子がいて、それを羨ましいなって思ったのがきっかけ。
 えへへ、びっくりした? ぼくが一番最初じゃないんだよ。初めてはたぶん、あのこ。
 どうしてあのこがみんなと違って帽子を被るようになったのかは知らないけど……ともかく、ぼくはそれを羨ましいと思ってマネしたんだ。そのときは手頃な帽子が見当たらなかったから、近くにあったバンダナを頭に巻いて。
 気合を入れるみたいな意味もあったのかな? せっかくかちわり大会みたいなおっきい場に出るんだから、ちょっとでも背伸びしたかったのかも。
 最初はあのときだけで、すぐに外すつもりだったんだ。だけど、思ったよりみんなに「似合う」とか「それいいね」って言われちゃって……だんだんお気に入りになっちゃって。……極めつけは、大王さまが「似合ってるな」って言ってくれたから。それっきり外したくなくなっちゃったんだ。
 ふふ、単純でしょ? でも、大王さまに言われちゃったらしょうがないよね。
 それからはずっとこのバンダナを付けて過ごすようになったんだ。だからって何が変わったわけでもなかったけど。バンダナを付けたところでぼくはただのワドルディだし、しいて言えばちょっぴり大王さまに声をかけられることが多くなったくらい。
 たぶん、ひとめ見てわかりやすかったからじゃないかな? ワドルディがたくさんいる中だとこの青色は目立つもんね。
 そうしてなんとなく他のワドルディたちにも「バンダナのこ」とか「バンダナくん」って認識されるようになって……ぼく、なんだか自分が特別になったみたいで嬉しくなっちゃったんだ。自分がまるで『個性』を手に入れたみたいで。
 ただ見た目が他と違うだけで、ぼく自身はなんにも変わらないワドルディのままなんだけどね。
 だから、ぼくがほんとに特別になりたいと思ったのはきっとあのとき。
 すっかり大王さまのそばにいるのが当たり前になって、その日も大王さまの思いつきのお手伝いをすることになってた。だけどその日の思いつきはいつもの悪だくみとはちょっと違って、大王さまがカービィに逆襲をすることだったんだ。
 覚えてる? いつかメタナイトさんがやってたのをマネして、大王さまがカービィにいつもやられてるリベンジをしようってたくらんだ日。
 万全の体制をととのえて、カービィに挑戦状をたたきつけて、それでいざやらいでかって始めたんだけど……まあ、相手はカービィだからね。はりきってたみんなが次々に倒されちゃって、どうしようもなくなって出ていったぼくもあっさりやられちゃって、それでとうとう大王さまとの一騎打ちになったんだ。
 カービィが来るからってお城のみんなは避難しちゃったけど、ぼくは逃げなかった。ううん、悔しくて情けなくて、逃げることなんて考えられなかったんだ。
 どうしてカービィはあんなに強いんだろうって、どうして大王さまはあんなにカービィをやっつけたがるんだろうって、わかんないことばっかりで。だからぼくは答えが知りたくて、カービィと大王さまの一騎打ちを最後まで観ることにしたんだ。
 ぼくよりずっとずっと強い、カービィと大王さまのその強さの秘密を知りたくて仕方がなかったから。
 ふふ、知らなかったでしょ。ぼく、あのとき観客席にひとりだったんだよ。
 ……それでどうしたのかって? 次の日からだよ。ぼくが槍を持つようになったのは。
 あのリングはね、すっごく眩しかったんだ。眩しくって明るくってきらきらしてて、リングっていうよりなんだか舞台みたいだった。大王さまが用意した、カービィと大王さまの二人だけの舞台。二人のためだけの舞台。
 すごく激しい戦いのはずだったんだけど、ぼくが覚えてるのは二人の楽しそうな表情だけでね。……いいな、って思っちゃったんだ。
 あんまりにも眩しかったものだから、ぼくってばその眩しさに憧れちゃったんだ。あのとき見た景色がずっとずっと忘れられなくなって、ぼくもあの舞台に上がりたいって思っちゃった。あの二人の隣に並びたいって……えへへ、ワガママだよね。
 たぶんあの舞台に上がれるのはカービィと大王さまとあとメタナイトさんくらいで、ぼくなんかが上がれるはずないって心の中ではきっとわかってたと思う。
 でも、どうしようもなく焦がれちゃったから。一度見たあの眩しさを忘れるなんて──ぼくには、できなかったんだ。
「──だからぼくは、強くなりたいっていうより、あそこに並びたいっていうのが正しいかな」
「なるほど……!」
「あんまり上手く言えなかったけど、こんなのでよかった?」
「ううん、すっごくすてきだったよ!」
「ほんと? うれしいなぁ!」
「リングという名の舞台への憧れ……すごいなぁ〜!」
「カービィや大王さまやメタナイトさんに比べたらまだまだだけど、あのときに比べたら少しは強くなれたと思うんだ。だから……」
 ただのワドルディでも、変わりたいって強い思いがあればなんにでもなれるんだよ!
「もちろんきみだって!」
「すっご〜い!!」
「えへへ、きみにもなにか憧れが見つかるといいね!」
「ぼく……ぼくね、バンダナくんの話に感動しちゃった!」
「えっ、そうなの?」
「アツい戦いの繰り広げられるリング、大舞台に集う強者たち……! それぞれに戦う理由があって、だからこそあんなにも眩しく輝いている……!!」
「す、すごい……かっこいい! きみも一緒に訓練しようよ!」
「訓練……」
「あれ、そうじゃないの?」
「ぼく……ぼくは、戦うより観てたいな」
「観る? 観客になりたいってこと?」
「観客、ううん、それよりもっと……みんなのアツい戦いを盛り上げたい! 舞台の上のみんなが持つそれぞれのドラマ、そこから生まれる感動の物語!」
「実況ってこと!? すご〜い!」
「ぼくには、武器よりマイクの方がきっと性に合ってると思うんだ……! ねぇ、バンダナくん」
「なぁに?」
「これからも、ぼくにバンダナくんの舞台を見せてね!」
「ふふ、もちろん!」
end.
ぴったし100分。ここまでお付き合いくださりありがとうございました。
最初の注意書きに4分くらい使ったと思えば96分。だいたい一時間半ですね。それでは、軽く誤字脱字の修正を含め手直しをした上でぷらいべったーにて投稿しようと思います。
それでは、長くなりましたがこれにてワンライ終了となります。ここまで見てくださっている方がいましたら、ありがとうございました。
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ワンライチャレンジ
初公開日: 2022年11月01日
最終更新日: 2022年11月01日
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