書いていたら二次創作になってきたので、これは二次創作ということにする。
最近、この星に新しい住人が増えた。
ひとりは背中にボロボロの赤い翼を持った男で、もうひとりは大柄だが片腕のない男。どちらも人型種だ。名前は知らない。二人は地球という星からやってきたらしい。我々の前に姿を見せることは稀だが、白い湖の向こうに一隻の小さな船が停まっていることは知っている。とても小さな船だが、二人で宇宙を飛ぶのには苦労しないだろう。
「なぜこんな星に?」
ここでは一日のうち、三時間ほどしか日の光は地上を照らさない。その他の三十時間は、ただ凍えるほどに寒い夜が続くだけだ。だからどうしてこんな星を選んだのか、不思議だったのだ。たとえ恋人同士だったとしても、バカンスには向いていないだろう。
「たくさん眠れるから」
赤い翼を持つ地球人は、そう答えた。よく見ると、彼は傷だらけだ。どうやら戦いの中で負ったものらしい。
「ご存じですか? 地球人のヒーローってのは、朝が来たら起きなきゃいけないんですよ。明るくなったらベッドから出て戦いに行かなきゃならない。日が上ってからもベッドの中で眠る贅沢なんて、なかなか許されないんですよ」
彼は朗らかに笑っていたが、体中に残る傷跡が戦いの激しさを物語っていた。少しの睡眠と、それに見合わない長い戦いは、こんなにも穏やかに見える彼の心でさえも、正しく疲弊させたらしい。
「眠りたいから」
なるほど、理由としては申し分ない。なにしろこの星は、いつも暗くて寒い。外を歩き回るのには、とことん向いていない星なのだ。
ここは昔、ずいぶんと栄えた星だったらしい。元は人型種の住む星だったのだが、技術の発展と共に近隣の星々から移民が移り住むようになった。そのうち多くのいざこざが起こり、戦いがあり、奪ったり、奪われたりを繰り返しているうちに、すっかり環境が変わってしまったらしい。地軸がずれた今、一日のほとんどが夜になり、元の住人たちはすっかりと姿を消した。
もちろんこれは聞いた話なので、どこまで本当かはわからない。もしかすると、最初の最初からこの星は「こう」なのかもしれない。別に私はどちらでもいい。今になってこの星を訪ねる者の多くは、そんな昔話には少しも興味を示さない。けれど今、この星よりも静かに眠れるところは、どこを探しても見つからないだろう。
「外は寒いですね」
赤い翼を背負った男のほうが、明るい声で挨拶をする。顔を合わせるたび、「寒い寒い」と口にするこの男は、必要なものを調達するとすぐに船に帰っていく。私は知っている。「寒い」と口にできるのは、船の中が暖かい証拠なのだ。何も彼らだけではない。ここの連中はみな、たまに寒い外を好きに出歩き、暖かい船に帰っていく。それでいいのだろう。
本当か嘘か、繁栄と滅亡は常にセットだ。
だからこの広い宇宙が、隅から隅まで平和になる日は永遠に訪れないだろう。だから近いうちに、彼らはどこかに行ってしまうのだろう。自分たちではなく、顔も知らない誰かのために。
けれど今、この星は出歩くには難しいほどに暗く、起きているのには難しいほどに寒く、いつも静かに雪が降り続いている。
おおおおおおおおわり!