タク武の設定を練ってみる ※試し書き
・東卍幹部軸(タクヤ×リープ前みっち)
俺の幼馴染である武道は、東京卍會の最高幹部の一人に名を連ねている。俺はその下に付く部下の一人であり、タケミチと共に東京卍會に入った構成員の一人だ。東京卍會は日本の裏社会に於ける巨悪であり、今現在最も勢いのある反社会的勢力である。所謂、暴力団等とは異なり、組織化されては居るもののその本体は半グレ集団そのものである。元々、東京卍會は同名の名を冠する暴走族が母体となっており、そこに合流する形で数多くの暴走族が吸収され、膨れ上がった組織である為か、構成員の殆どが若年層に偏っており、古いヤクザという名の極道集団とは袂を別っている。
組織の金を動かしているのは、その昔、黒龍という暴走族に属していた”金を作る天才”九井一であり、幹部はそれぞれが表のフロント企業を隠れ蓑として様々に下から上がって来る上納金や犯罪で得た黒い金によりその地位に相応しい振る舞いを求められていた。
俺の上司であり、東京卍會の最高幹部である武道が任されているのは、主に風俗店の経営や集金係であり、俺自身も幾つかの店を任せられ、その監視に当たっている。武道が管轄している風俗店は、その殆どが表通りから外れた老舗と呼ばれる店ばかりで、はっきり言って年齢層が高めな為か、或いは元々の地代が然程高くはない、立地の良くない店ばかりな為か、上納金は然程多くは無い。
けれど武道は風俗店に於ける所謂闇営業を殊の外嫌っている為に、確実に、堅実に上納金を得る為にある程度締め付けを緩くしている為か、長く勤める従業員が多く、これによって安定した集金を可能としていた。ただ、やはりそれだけでは最高幹部としての顔を立てる程度の金額には至らない為、俺達『溝中五人衆』と呼ばれるメンバーは、下っ端を特攻として用い、今現在の東京卍會を率いる頭でもある、代理なんて大層な肩書きを持つ稀咲の指示に従って他組織との抗争に兵隊として貸し出したり、東京卍會の威光を用いて粋がるガキ共を締め上げて犯罪集団として作り変え、様々な場所で詐欺と恐喝を繰り返させていた。
何て腐った生活。何て暴力的な世界かと、昔ならば考えられない程に黒く闇に染まった自分と武道を想うと、いつかこの落ち着かない生活から抜け出す事が出来るのだろうかと、そんな夢物語にも似た未来を想像しては、そんな紙切れにも似た下らない妄想を破り捨て、それならば武道と二人、たった二人だけでも逃げられはしまいかと夢想し、そして一人悦に浸る。
きっと武道は口汚く俺を罵って、「今更逃げてどうすんだよ!」なんて正論を吐き出すのだろう。武道は最高幹部となってすっかりとその立場を変えた。身なりを整え、口調を変え、部下を従える武道は確かに昔の弱気な姿からは想像も出来ない程に立派で堂々とした態度に変わっただろう。昔の武道を知っているのは、俺達溝中五人衆と武道の右腕である千冬だけになってしまったが、それでも武道の心優しい根っこは腐り堕ちる前にやんわりを保護されている事を俺達だけが知っている。
「なあタクヤ、お前今日誕生日だったよな? ほら、これやるよ」
ポンと手渡されたそれは、俺が欲しいといつか溢していた腕時計だった。
「お前、こんな安モンが好きなのか? もっとお前に相応しいモンがあるだろ」
「……いや、これが良い。武道が選んでくれたこれが、俺にとっては大事なものだから」
付けても良いか? と問えば、煙草を吹かしたまま御座なりに頷いた武道を見て、そっと箱から取り出した。滑らかで美しいバングルにも似た腕時計をそっと自身の手首に嵌めると、武道が指先で俺を手招くから、そっとその椅子に近寄った。
「付けてやるよ」
そっと俺の左手に触れた武道が右目を眇めて優しく腕時計を付けてくれる。
「……ありがとう、武道」
「どういたしまして」
ふっと微笑んだ武道は椅子に座ったまま俺を見上げ、ゆっくりと俺の頬に指を滑らせた。その満足そうな微笑みに頬を朱に染めた俺は、武道の足元に跪き、その膝に甘えるように右頬を乗せた。
俺の長い髪を優しく緩やかに撫でる武道は、喉の奥でくぐもった笑い声を上げ、けれども飽きる事無く俺を甘やかしてくれる。
武道だけが、俺を生かす理由であり、その存在こそが俺を導く光だ。それを失う事がないようにと祈りを込めて、俺は武道の脛に唇を寄せた。