もう少しだけ期待しててよ。ずっとじゃなくても、一緒に居たいって思ってるから。」
人指し指を握る小さな力を振り払う気にもなれなかったのは、望み薄な明るい未来を口にするこの馬鹿が何処か泣きそうなのに優しい声だったからだ。
「……莫迦じゃねェの。」
笑ってはぐらかす気になれなくて、喉の奥が詰まったようで、ぼそ、と小さく呟く自分に彼女は少し笑って頷いた。
人の言葉を丸ごと聞き入れたのは、思い出す限りでは多分この一回きりだっただろう。
***
「来週の金曜日、空いてる?」
「あン?」
「なんかある?って聞いてんの。」
「……あ~~~、……。」
薄紅色に彩られた小さな唇が、数秒毎に口を開いてはサンドイッチに齧りつき、咀嚼を繰り返す様子を灰谷蘭はぼんやりと眺めていた。頭上から降り注ぐ真昼の日差しを遮るテラスルームの屋根が街路に暗い影を作って揺れている。
初夏に入った街中を通り過ぎる風は温かい。目の前で遅めの朝食を頬張る彼女が今朝方眺めていたニュースでは例年稀に見る気温の上昇が取り沙汰されていたことを、ふ、と思い出しながら携帯片手に風に揺られる毛先の動きを目で追っていたのだ。
二週間ぶりに、唐突に頭に思い浮かんで気まぐれに家を訪ねたこの女とはそこそこ長い付き合いだ。付き合いが長いと言ってもなにも最初からそういう関係だったというわけでは無い。すれ違ってもちっとも会話をしない時期もあれば、ひっきりなしに一緒に出掛けてはじゃれ合った時期もある。何しろランドセルを背負う年ごろからの知り合いなのだ。
そんな彼女であるから自分のこの性分をわかっていないはずも無いのに、『来週の金曜日』、なんていうかなりアバウトな予定を聞き出そうとしていることに蘭は何とはなしに一瞬違和感を覚えた。が、どうでもいいので彼は曖昧な返事と共に腰を預けた椅子の背もたれに伸し掛かるようにして背中を反らせると、低い天井を仰ぎ見た。
「オマエさ、今なにしてる?ってメールにマジメに返信するタイプ?」
「まあ、それなりにね。」
「あっそぉ。オレはしねェの。」
「はあ?」
「そういうコト。」
「意味分かんな。」
「あはは、お前に物わかりの良さ期待してねぇワ。」
「ていうか今時LINEもやってないってどうなの。」
「おぢさんは新しいこと覚えんの大儀なンだよ。」
蘭は人に予定を聞くならひとまずお前が先に用事を言え。とは言わないことにした。仮に彼女の用事を聞いたとして、その日実際自分がどこで何をしているかなどわからない。彼女の用事を聞いたとして、自分の出した答えがNOだとしてももしかしたら当日はYESかもしれないし、逆に今日はYESと答えても明日はNOかもしれない。そういう性分なのだ。その日になってみないとわからない。
明日の予定も定かじゃないのに『来週の金曜日の予定』なんて聞かれても蘭自身弾敵的な答えなど出せるわけもないのだ。
仕事も遊びも、それ以外の大事なことも、すべてはその日の気分次第。そんな生活を数十年も続けてきた自分に今更予定を聞くこと自体が馬鹿げてる。
せせら笑うようにして片手に持った携帯の液晶画面に視線を落とした蘭を凝視していた彼女は曖昧な答えにほんの少し眉を顰めながらも軽く息を吐いて、グラスに刺さったストローの先端に口を付けた。づづ、と中身を啜る小さな音が喧騒の中に微かに響く。
***
ふとした瞬間に、アイツ何をしてるんだろう、と考える瞬間がある。それが偶々今日だったというだけで深い意味はない。頭の後ろで腕を組んだ名前も知らない男の後頭部に銃口を押し当てたり、事務所の前に路駐しているやんちゃな車の運転手を運転席から引きずり出して顔の形がなくなるまで殴り続ける弟の後姿を眺めたり、そんな荒んだ生活を送っているからと言って、何かしらの感傷的な気分が自分の内に湧き出たわけではない。生まれてこの方寂しいなどと言う感情が頭の中に芽生えたのは数えるほどしかないから、シンプルにあの能天気で間抜けたツラを久しぶりに拝んでみたいと思っただけである。
手前勝手に彼女の家に訪れたのは朝の九時過ぎ。インターフォンも鳴らさず密かに作った鍵で忍び込んだリビングでは寝ぼけ眼でコーヒー片手にぼけっとテレビを眺める彼女が居た。
白いYシャツに裾の伸び切った黒いスウェット。以前自分が急に泊ると言い出した時、彼女がぶつくさ文句を垂れながら近所のコンビニに使いっぱしりで購入したものだ。結局着たのは三回ほどで、以降はどうやら彼女の寝巻になったらしい。
半分意識が飛んでいるのか、じっとテレビ画面を見据える両目は動かなかった。隣に人知れず上がり込んだ侵入者が居るというのにちっとも気づきやしない。少し居たんだ毛先を背中に垂れ流した横顔を蘭は彼女が自分の存在に気付くまでの短い時間の間ずっと見下ろし続けていた。何かに夢中になると、真一文字に結んだ唇が少しずつ尖っていく様子が存外面白いのだ。
『うわ…っ、居るならなんか言ってよ。』
天気予報が終わったあたりで、カップの中の液体を飲み干した彼女は、不意に視線を上げた。丸い目玉が自分の姿を認めた瞬間、びくりと細い肩が跳ね上がる。これが普通の女なら悲鳴の一つも上げて逃げ出すところであるが、いつものことと鳴れてしまっているのであろう彼女は、蘭が『遅ェわ。』と一つ憎まれ口を叩くと、ふにゃりと笑って『おはよう。』と言うだけだった。
『仕事は?』
『さっき終わった。』
柔らかく問いかけた彼女の質問に端的に答えを返すと、なにかのついでのように彼女が立ち上がる。飲み干したカップをキッチンに片付けるつもりだったのだろう。何の気なしに隣を通りすがろうとする二の腕を掴んで、背中を丸めて見つめてみると、不思議そうに首を傾げた彼女は恒例行事のように瞼を閉じる。ほんの少しだけ嬉しそうだった。緩く口角を上げた唇に、自分の唇を押し当てると、僅かに苦くて甘く、それでいて香ばしい味が皮膚の表面から口内に滲んだ。
それから蘭はシャワーを浴びるという彼女の背中を見送り、ソファでしばらく時間を潰した。ひじ掛けに頬杖をついていると、冷えた夜の空気に晒した身体が次第に温まり眠気を誘い瞼が重たくなっていく。
そうして、浅い眠りについた後、蘭が次に瞼を開けたのは洗面台で彼女が濡れた髪の毛を乾かすドライヤーの音が廊下の向こうから響いてきた頃だった。
『今日は何しにきたわけ?』
『オマエの中ではカレシは用事がなくちゃカノジョに会いに来ちゃいけねェの?』
『電話してくれたらもっと早く起きてたのに。』
『ヤダよ。面倒臭ぇもん。』
『勝手だなぁ……。』
起きて、とささめく声に薄く開いた目蓋を開ける。白い手の指がこめかみまで垂れた菫色の前髪を掬って耳にかける感触はくすぐったくて心地好い。『勝手、』と言う割にいつでもこの女は自分を本気で叱ることが無い。昔から、そんな感じで困ったように笑うだけだ。
そんな彼女の態度や欺瞞のような笑みに苛立ち心底嫌うこともあったが、結局自分は今も此処に居る。その事実は灰谷蘭という人間からすると、非常に奇怪でイレギュラーな出来事だった。
鬱陶しいと思うこともあれば、偶にこの上なく愛おしく思うこともある。指一本も触れられたくないと思うこともあれば、腹のうちに詰め込んだ臓腑の隅々まで手で探り一から十まで知ってみたいと思うこともある。あまりにも波のありすぎる感性は根本的に人と恒久的な関係を結ぶことに向いてない。灰谷蘭にとっては弟の灰谷竜胆と、その他数名の顔見知りだけ、という非常に狭いコミュニティで世界が成り立っているのだ。自分と周囲の人間、それ以外の人間のことなどどうでもいい。
弟の竜胆曰く『性格に難あり。』と評されるほど。
他人に心底興味が無い。ということは同じく他人を強く憎むことも無ければ否定することもない。そんな自分の態度は対人関係に関しては良い方向に転がることの方が多かった。なんなら自分で言っちゃうけれど顔が良いのも要素の一つであろう。ほんのわずかに笑みを作って見せるだけで、みんなどうしてか自分のことなどちっとも知らない癖に自分と友人関係にでもなったつもりでいる。しかし、そういう自分の質を取り繕う気も無いので、中身の無い態度をとり続ければいずれは関心なさも相手に露呈してしまうのだ。そのおかげか、どんな関係も長続きすることが無い。
顔を真っ赤にして頬を張られそうになったこともあるし、泣きながら『好きじゃないのにどうして付き合ったりなどしたのか。』と問われることもあったが、その問いに対する自分の答えは全て同じで、望まれたことをしただけであるの一言に尽きる。望まれたから気まぐれに好きな時に与えただけで、気が向かなければ与える義理など自分には無い。なぜ彼女たちはこんなにも当たり前のように人から何かを貰えるものだと信じ込んでいるか蘭は不思議でならなかった。
大多数の彼女たちにとっては自分が他人とセックスをしないことが誠意の現れであり、同じ時間を多く過ごすのが愛の証明であるらしい。
勝手だ。勝手だ。と口々に罵られはするものの、勝手なのはお互い様だ、この世の中の人間は他人に期待し過ぎる滑稽なヤツが笑えるほどに多い、
勝手に人に期待して、勝手に思った通りじゃないと怒り出す。蘭にとってはそういうヤツ等の全てが言葉の通じない宇宙人のようであった。けれど、大多数からするときっと自分の方が宇宙人に思えるのだろう。
***
腹が減ったと宣う彼女の訴えられるまま、珍しく外で食事をしたのも、結局のところは単なる気まぐれだ。普段なら彼女一人で行かせただろう。なんなら背広のポケットの中で転がる小銭でも持たせて煙草とコーヒーを買いに行かせたかもしれない。と蘭は頭の隅で考えながら、飲みたくも無いのに彼女の頼んだアイスティーに口を付けた。透明な厚手のグラスは汗を掻いて、握ると手のひらがびっしょりと濡れてしまう。
口に広がる茶色い半透明の液体はほんのわずかにミントの清涼感を孕んでいて、鼻から抜ける息がすうすうとした。
「まあ、いいや。いつものことだし。」
「そ、いつものことだろ?」
「覚えてたらでいいからウチ来てよ。待ってる。」
早々に会話を切り上げた蘭の態度を見て、これ以上は話したところで馬の耳に念仏だとでも思ったのだろう。彼女の口にする『まあいいや。』は大体いつもそんな呆れた調子の意味を孕んでいるのだ。無駄に言及し続ければ、自分の機嫌を損ねかねないというのをこの長い付き合いの中で厭と言うほど身に沁みてわかっているからできることで、あまり深追いされたことは無い。そういうところが、存外気に入っているのだ。
もくもくと小動物のように口に含んだサンドイッチをあらかた食べ終えた彼女は両手に付着したパンくずを払うようにしてぱちぱちと音を鳴らしている。寂しかったとか次いつ会えるのとか甘えてくればカワイイものだが、この女には一切そういう面が無い。{実際彼女にその手のネコナデ声を出されたら気色悪くて頭の病院を勧めてしまうだろうが。)
食事中に煙草を吸われるのを嫌う彼女が食べ終えたのを見遣ると蘭は懐から煙草を取り出し口に咥えて火を点けた。カチリ、と音を立てて火花を散らした炎が僅かに風に揺らめき燃えている。息を軽く吸い込みながら先端を炎の先に当てると、熱気と共に重たい煙が口から喉に入り込む。
どこか苦々しく笑う彼女が静かに目を伏せる光景が、口から吐き出す煙の向こうに見える。落ち着きなくストローの包み紙をテーブルの上で弄る様子は何か言いたげであるように感じたけれど、敢えて詮索などしない。
何も聞いてこない人。何処に居るのか何をしているのか詮索してこない人間関係は蘭には居心地が良いものだが、必ずしも彼女が自分と同じ意図を持っているとは限らない。余計な疑問を口に出せば、煩雑とした人の思考やそこに付随する悩みや不満を聞く羽目になる。その行為自体が蘭には非常に鬱陶しいのだ。面倒くさいことになるくらいなら最初から口を開かせないのが吉である。
静かに燃えて白から灰へと色を変えていく煙草の先の面積が数センチほどに及ぶと、蘭は人差し指と中指に挟んだそれを灰皿に向ける。とんとん、とリズムよく外壁に叩きつけるとはらはらと舞い落ちる灰の粒が白い陶器に散らばった。
「じゃあ、そろそろ行くね。」
顔を見てから半日も経たないというのに、彼女は空いた座面に置いたバッグを肩にかけると席を立った。能天気な阿保面を拝みたい。という願望はとうの昔に叶えられたので、蘭はいつになくあっさりとした彼女の申し訳なさそうな顔になんてことなく手を上げそれを見送ったのだった。
***
「あ、そういえばさ。」
「なンだよ。」
「誕生日おめでと。兄貴。」
「はあ?」
「いや、今日じゃん。あ、いや、もう昨日か。」
「………ああ、」
「え、なに。忘れてたの?」
「忘れてた。」
時間や日付、果ては曜日といった社会の動きと全くと言って良いほど関係ない仕事をしているせいで、灰谷蘭は非常に時間の感覚に疎かった。そもそも今が何月何日の何時何分何十秒であるかなど死ぬほどどうでもいいし、なんなら自分の誕生日だって興味ない。そもそも三十路を過ぎた独身男が一々自分の誕生日など覚えていられるものであろうか。実際、誕生日おめでとうなんて祝ってくるのは同じ血を分けたこの灰谷竜胆しかいないわけである。
突拍子もなく言い出した挙句自身の誕生日など全く忘れていた実の兄の言葉に呆れた笑いを零した竜胆は、港の端に止めた車の運転席のドアを開けるとシートに乗り込みながら『ツイてないね。』と囁いた。
横浜港の隅に位置する寂れた市場の建物跡でその日の仕事をこなしていた蘭と竜胆が、駐車している車に乗り込む頃には既に日付は変わっていた。
関東全域を牛耳る反社会的組織である梵天。そんな組織に所属する数人の幹部たちの頭を最近悩ませているのは、人知れず下剋上を企む反乱分子の存在だ。組織のナンバー2である三途春千夜曰く『裏切り者』という輩を見つけては始末をする鼬ごっこに明け暮れていていると、顔も名前も違うのだろうが同じように見える輩をひっ捕まえて脳天ぶち抜き死体を処理する一連の流れが板につき過ぎていて時間の流れも曖昧だ。毎日同じことの繰り返し。映画のワンシーンだけを再生しては巻き戻し、また再生しているみたいな不毛な気分になる。
水気を孕んだ潮風に長く当てられた背広は少し湿っているようで、肌に纏わりつくように張り付くシャツの感触が不快だった。助手席に乗り込んだ蘭は強張った首の筋肉をほぐすように、ごきりと骨を鳴らすと手慰みに煙草に火を点けようと背広のポケットに左手を突っ込んだが、如何せん取り出した煙草の箱の中身は空で、盛大に舌打ちが漏れた。
「あ~~。誕生日まで人殺しかよ。三途の野郎。」
「忘れてたくせに。」
揶揄うように唇の端を上げた竜胆は、エンジンをかけるとハンドルを片手で握り、ゆるりと車体を動かした。蘭は自動で流れるラジオの声に耳を澄ませると、窓の向こうでゆっくり流れる景色をやや暫くの間見つめ続ける。今日はこのまま事務所に寄らず帰っていいと言われてるから、他にすることもない。
十代の頃はまともに生きることに飽いていた、到底他の誰かと同じような生き方はできないだろうと感じていたが、自分と似た性質の人々の集まる場所に身を置く今も変わらず飽いている。退屈なのだ、何もかもが。
生まれた時から自分は空っぽだった。ヒビの入った容器に水を注いだところで、亀裂の入った場所から中身が零れ落ちてしまうのと同じように、何をやってもも満たされないし乾いてる。
初めて人を殴り殺した時。初めて行為に及んだ時。初めて拳銃というものを手にした時。心臓がうねる様な強い快感と興奮を求めていた。身を置く場所が危険であればあるほどそれを強く感じた。けれど、脳漿が弾けて爆散するような刺激や快感を感じるのはほんの一瞬で、いずれ息絶えていくように指先から血の気が失せて麻痺していく。自由であればあるほど不自由になる。何も無い日常を欠伸が出るほど退屈に感じる。当たり前のことながら慣れてしまえば、それ以上を求めてしまうが、突き詰めていった先にあるのはただ目の前に横たわる虚無だけだ。そう思うと何もかもが不毛な徒労のように感じられて、気付けば今だけ楽しむようになった。
「……ヒマ。」
「…呑み行く?奢るけど。」
「いや、いいわ。」
何の気なしに零れたぼやきを拾った竜胆の提案に蘭は軽く首を振り、ダッシュボードに置きっぱなしの携帯の電源を入れた。緑色を帯びた街灯の光が点滅するだけの車内は暗く、煌々と光り輝く液晶画面の証明がひどく眩しい。その輝きに顔を顰めた蘭は親指で待ち受け画面をスワイプしようとしたけれど、その手は画面に浮き出た数字の羅列を目にした瞬間止まってしまった。
”5月27日”
「……なァ。」
「なに。」
「今日何曜日。」
「……土曜。」
「……あっ~~~~…、」
丁度、都内のビルの隙間を縫うように進んだ車は自宅付近の住宅街までたどり着いた辺り。そんな時に思い出した出来事に蘭はひくり、と口の端を痙攣させた。
ヤバい。とまでは思わない。しかしながら、流石に何も思わないわけじゃない。突然隣で可笑しな声を上げ、額を抑えた兄の奇行に怪訝な視線を向けた竜胆を尻目に、蘭は最後に会ったあの日の彼女の言葉を思い出した。
『覚えてたらでいいからウチ来てよ。待ってる。』
そういうことか。とそこでようやく合点がいった。『覚えてたらでいいから。』という彼女の言葉通り、どうやら宇宙人であるらしい灰谷蘭はすっかりこのことを頭の隅に追いやっていたのだ。
「着いたけど。」
「竜胆。行き先変更。」
「はあ?」
「兄ちゃんからのお願い♡聞けるよな?」
携帯電話を仕舞い込んだ蘭はすぐさま竜胆の肩に手を置くと、短くそう告げた。当の竜胆はと言うと非常に面倒臭くて面倒そうな顔つきだ。けれど、自分が背中を丸めて上目遣いで微笑みかけると、この弟はいつでも『しょうがないな。』と頷いてしまうのを知っている。自分が弟に滅法甘いのと同じように、弟もまた唯一無二の兄貴に対して心底甘いのだ。
「……どこ。」
「アイツん家。」
「なに、兄ちゃんまた約束すっぽかしたワケ?」
竜胆が1度瞼を閉じると、浅くため息を吐く音がどこからか聞こえる車の走行音にかき消される。それから、白線に沿うようにして止めかけた車のハンドルを握り直す。何も答えない蘭に竜胆はその後たった一言呟いたきり唇を閉じた。
「ほんと、そういうとこだよ。」
つづく
意外と長引いたので続きはまた明日。
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202205282005
初公開日: 2022年05月28日
最終更新日: 2022年05月28日
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蘭ちゃんをちょっと書いてく
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