松/萩ワンドロワンライ、 第十六回目のお題発表します。
お題:絵本
日にち:4月23日 (21:00~22:00)
と、いうわけで。
久しぶりにワンライやります。現在時刻は2022年4月23日20時57分です。
フライング? 気にするな。
絵本ですね。
ちょっと考えてたんですがあんまり具体的な内容に言及するとただの私が好きな絵本の紹介になりかねんので
ていうかまつはぎ絵本とか読んでたのかな…ミニカーで遊んでそうなイメージしかない
うーんうーん
絵本っていうか 童話… いつか王子様が みたいな話は はぎわらはもしかしたら好きかもしれない?
絵にかいた世界はなんだって予定調和のようにうまくいく。
魔法使いのおばあさんが綺麗なドレスを着せてくれるし、鶴や亀を助ければ恩返しを受けられる。
『するな』と言われたことをやればしっぺ返しを受け、真面目に努力をすれば最後は必ず報われる。不幸な女のところにはいつか王子様が現れて、いつまでも幸せにしてくれる。そういうものだ。めでたしめでたし。
と、思っていたのに。
「何で人魚姫、泡になっちゃうんだ!?」
「知らねぇよ、王子を殺せなかったからだろ」
「殺して良いわけないだろぉ!? ひっでぇ!!」
わっと泣き出した萩原に、松田は辟易して頬を書いた。夏休みの読書感想文を書くにはまず読書、二人訪れた涼しい図書館はそれなりに居心地がいい。談話スペースで話しているうちに、話題が課題図書から脱線し、ふと絵本コーナーから持ち出した絵本は誰もが知っている悲恋ものだった。松田だって小学生になる前に一回くらいは聞いたことがある。あまり好きな話ではないが、泣くほどでもない。
しかし萩原、なんと初見だったらしい。絵本といえばハッピーエンド、しか知らなかった彼は当然のように人魚姫と王子様が結ばれるものと思っていた。そして、あまりの結末に衝撃を受けている。松田は呆れを隠し切れなかった。
「泣くなみっともねえ。アンデルセンってこういうの多いぞ。マッチ売りの少女とか」
「うう……俺もう二度とアンデルセン読まねえ……可哀そうな人魚姫……」
絵本を閉じ、本棚に戻した萩原はぐすぐすと湿っぽい。たかだか絵本によくもまあそこまで入れ込めるもんだと、からかい混じりに言ってやると、むっとした顔で睨まれた。
「絵本だからだよ。こんなに可愛い絵なのにひでえ話……裏切られた……」
「言うほどひどいか? 半分魚の女が人間に恋したってそりゃ無理だろ」
「半分魚の女の子が、苦しい思いしても陸に上がろうって思うくらいのもんだってことだろ、恋ってさ……」
はーっと息を吐いた萩原になぜかドキッとして肩が跳ねた。泣いて赤くなった鼻と目元から目が離せなくなる。その事実に無自覚なまま、松田はその色をじっと見つめながら言った。
「死んでもいいって思うほどのことか?」
「うん……なあ、陣平ちゃんは好きな女の子とかいねえの」
そう尋ねる萩原には多分、好きな女はいないのだろうな、と思う。そんなことあったら真っ先に松田に耳打ちしているだろう。松田にもいない。萩原の姉、千速との出会いはもう少し未来の話である。
松田は正直に首を振った。
「いねえよ」
「そっかー……。恋ってどんな気持ちだろうな……」
「けどよ」
どこか遠くを見るような目をした萩原が、松田に視線を戻した。その耳に口を近づけ、こっそりと囁く。
「お前みてぇなダチのためなら、俺は、死んでもいいぜ」
「……えっ」
「その程度のこと、別に恋じゃなくたってできるだろ」
要は天秤の問題だ。自分と相手を秤にかけて、どちらに傾くかというだけだ。
平然と言ってのけた松田に萩原はやや面食らった顔をしていたが、やがて緩やかに表情を変え、クスクスと笑った。
「さすが陣平ちゃん。かっけぇな」
「おうよ」
「そうだな……もし陣平ちゃんが、半分魚で、海の中でしか生きられないとしたら」
萩原がじっと松田の目を見た。なぜか緊張する。息ができなくなる。
「きっと、俺も、海の中に飛び込むぜ。海底で息ができなくても、喋れなくても、溺れても」
それでもいいって思う。
そう言った友人は眩しくて、格好良くて、絵にかいた王子様のようだなと思う。だがここは現実なので、松田も萩原も陸にいて、普通に息をして話すことができる。ので。
「そうして二人はずっと仲良く、十年後も二十年後も一緒に暮らしましたとさ」
「めでたしめでたし!」