松/萩ワンドロワンライ、第四回目のお題。
お題:ハロウィン 
日にち:10月23日 (21:00~22:00)
現在時刻は10月23日21時1分です。
ハロウィン 何かこうかと思ってたら急に公式が魔法使いだの海賊だの
松田を着せ替えしてくれて ビックリですね はぎもやってほしい
まあでも 公式の供給がないならないで 妄想の余地が無限大でそれはそれでいいんですが
海賊パロはワンライに収まらないので
ハロウィンにかこつけて 松田を着せ替える萩原の話にします
 今年の学祭はみんなでハロウィンの仮装をして、お菓子を配ったり悪戯したりしよう。
 そんなことを最初に誰が言い出したのか、今となっては記憶が曖昧だ。何せ夜中の研究室で突発的に始まった宴会でのことだ。少なくとも萩原は言い出しっぺではなかったが、『面白れぇじゃん、やろうぜ』と最初に乗っかったのは間違いない。ハロウィン文化が世に浸透して早数年、雑貨屋を当たれば安価で手軽にその手の仮装グッズは手に入る。余興としてはちょうどいいと、賛成多数で実施に至った。
「とはいえ、せっかくだから、ちょいと本格志向にこだわってもいいと思うワケよ」
「はあ」
 鏡を見ながらそう言うと、背後から気の抜けた返事があった。日曜日、午前中。空き講義室の一角に姉から借りてきたメイクセットや買ってきたペイントセットを広げ、萩原は自らの顔面に器用に筆を走らせていた。目の下に赤い星型の模様。我ながらうまく描けたと自賛し、後ろに座る松田を振り返った。
「どう?」
「いいんじゃね」
「せめて見て言えっつの」
 欠伸混じりに図書室から借りてきた論文を読んでいる松田の返事はつれない。一瞥もせずに頷いた彼に、意図して声を低くする。
「陣平ちゃんは何の仮装するんだよ」
「さぁな。当日のお楽しみだ」
「いいじゃん教えてくれても……あ、そうだ」
 機嫌を損ねた、ちゃんと構え……そんな意図は伝わったようで、松田は顔を上げて萩原を見た。顔についたペイントを見ても何の反応もなかったが、一応、自分のことは考えているようだ。案外マメな男なのでそれなりの準備はしてくるだろう。
 それはそれとして、ちょっと試してほしい衣装がある。
「じゃーん! 演劇部から借りてきました! どうこれ? カッケーだろ?」
「帽子、眼帯……なんだそりゃ、海賊か?」
「剣もあるぜ!」
「いやハロウィン仮装かこれ? ただのコスプレじゃねぇか……」
 作りものとはいえ、その辺で売っている衣装よりは生地も小物もよほどしっかりしている。裁縫上手な部員がこだわって作ったと言うだけあって、細部までしっかり作り込まれている。
 呆れ顔の松田に萩原は満面の笑みで言った。
「こないだ見に行った劇の衣装だったんだけど、一目でピンと来て無理言って借りて来たんだよ。陣平ちゃん似合うと思ってさぁ」
「は? 俺が着んのかよ!?」
「そう。な、着てみようぜ、一回だけ! 試すだけでも!」
「いや何で俺が……」
 青いジャケットを押し付けながら迫る萩原に、松田は顔を引きつらせて身を引いた。何でと言われても理由は今言ったことがすべてだ。衣装を見て、松田が着たら似合うだろうなと思ったので、着てみてほしい。それだけだ。ちょうどハロウィン仮装の話があったのでそれにかこつけて着せてやろうと思ったのだ。
 絶対似合う、格好いいと思う、とひたすら褒めそやしてその気にさせようと頑張っていると、困惑顔だった松田が不意に表情を変えた。
 ニヤリ、と。
「……そんなに言うなら着てやってもいいぜ」
「お、やった。じゃあこれ、衣装」
「ただし」
 鼻先に人差し指が突き付けられる。海賊衣装が似合いそうな男が、それらしい顔で、値踏みするように萩原を見据えた。
「お前も今度、俺の選んだ衣装着ろよ」
「え? いいぜ、別に。何でも」
「よし。忘れんなよ」
 軽く頷いた萩原に満足げに頷き、松田は衣装を受け取った。こだわりの衣装だけあって着るにもやや手間がかかる。何だかんだと手伝って、着替えさせ、期待以上の出来栄えに喜んで萩原は写真を撮った。松田も褒められて悪い気はしないようで、サービス精神旺盛にポーズを取ってくれた。もはやただのコスプレ撮影会だが、萩原は楽しかった。満足した。
 そして後日、とんでもない衣装を持ってきた松田に『ホントは嫌だったのか?』と困り果て、『別に怒ってねえ、ただの趣味だ、何でも着るって言っただろ』と海賊さながらの悪い顔で迫られ、窮地に陥るのだった。
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20211023MHワンドロワンライ_枕木音
初公開日: 2021年10月23日
最終更新日: 2021年10月23日
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