ひらひらと、窓の外を雪が舞っていた。
それを眺めて、ぼんやりと、今は自室に篭って受験勉強に追われているであろう可憐のことを考える。
去年の夏、あの日、本人も意識していなかったのであろうタイミングで告白されてから、半年以上が経過していた。
あの後、可憐から避けに避けまくられた時は流石に堪えて俺もなんらかのアクションをするべきかと頭を抱えたものだが、修学旅行から帰って来た可憐は、どこか吹っ切れたようなさっぱりとした顔をしていて、俺を避けることも変に意識しているような所も無くなっていた。
可憐本人も、国士も何も言わなかったが、修学旅行先で確実に何かがあったのだろう。
気にはなったが、流石に本人に聞くのも憚られたし、国士にこっそり聞くにはもっと微妙な話だろうと考えてソワソワしつつも何も聞かないまま、今日に至る。
そういえば、ここ一ヶ月くらい可憐の顔をまともに見ていないな
特に今週は受験前の最後の追い込み期間で、それなりに偏差値の高い大学への進学を目指している可憐にとってはまさに正念場というやつらしい。
いつどんな時でも、今のような大学受験のような大きなイベント事の時ですら普段のひょうひょうとした態度を崩さないウチの末弟とは違って、可憐は人並み以上に緊張してしっかりと何重にも備えをして挑むタイプの子だから、それぐらい頑張らないと逆に落ち着かないのだろう。
けれど今まで自分の家よりもウチにいることの方が圧倒的に多かったことを考えると、なんだか不思議な気分だ。
高校受験の時も自分の家で勉強をすると言って篭っていた時もあったが、なんだかんだご飯時になると顔を出していたので、そこまで顔を見ないことはなかったからここまで長い間顔を見ないのは実はここまでの長い付き合いの中で初めてかもしれない。
そんなことを考えていたら、何か、無性に彼女に会いたくなってきた。
むずむずとした感覚が迫り上がってくるのを誤魔化すために手にしていたマグカップを傾けてコーヒーを飲もうとして、その中がすでに空になっていることに気がついて苦笑する。
いつ無くなったのか覚えていないくらいぼんやりとしていた自分に馬鹿だなぁなんて笑いながら自室から出てコーヒーを入れ直すためにキッチンへと向かった。
そいえば、可憐はちゃんと休憩をとっているのだろうか。
コーヒーを淹れる準備をし始めた時にふと思いついて、さっきから自分を追い立てているむずむずとした感覚が強くなったのを感じる。
根を詰めすぎるきらいのある子だから、もしかしたら必死に机に齧り付きすぎて休憩どころか今日の昼食すらまともに取っていない可能性もある。
考えすぎだ、とは言えない前例を何度か見てきた身からすると、結構真剣に心配になってきた。
その口実の上なら、彼女の顔を見るぐらいは許されるか?なんて、ずるいことも頭の隅にちらりとよぎって、これは、一度せめて顔をみるだけでもしないと落ち着かなくてソワソワして何も手につかなくなりそうだ、と判断して、深くため息をついて、コーヒーを淹れる為の水をいつもより多めに火にかけた。
「……こんなもんか」
キッチン周りをひっくり返して探してみて、お菓子が一つも出て来ないのに驚いて近場のスーパーで慌てて、あの子の好きそうな洋菓子系を買ってくるという一幕がありながらもなんとか準備を済ませて、たくさん淹れたコーヒーを大きめの保温ボトルに詰め込み蓋をして、一つ息を吐いた。
可憐がウチの家に来なかった一ヶ月の間に、お菓子が枯渇しているとは全く思っていなかった。
思えば、いつもそれを用意していたのは甘い物好きのあの子だった気がする。
自分達はいつもその恩恵に預かっているだけだったんだな、なんて謎にしんみりしてしまって、そんな所でもあの子の存在が恋しくなってしまって、そんな自分のもう一度深くため息をつく。
ともかく、彼女の家へ行く為の準備は出来たのだから、さっさと行こう。
このままではおやつどきを逃して変な時間帯に突撃する羽目になってしまう。
よし、と気合を入れて
休憩