【gr 陰にいた人】
『ねぇこの資料なんだけど…』
gr「なんだ?あぁ、これはだな…」
と資料を片手に話しかけてくるのは同級生の(名前)だ
(名前)は俺が次に出る生徒会選挙のために書類やポスター作成を手伝ってもらっている
彼女は吞み込みが早く、絵も何度か賞を取ったりしているため手伝ってほしいと声をかけたのだ
『分かった。今日中には終わらせておく』
gr「ありがとう。なぁ、だいぶ作業も片付いてきた頃だしちょっと休憩にしないか?」
『えぇー…グルさん一回休んだら再開するまで結構時間かかるじゃん』
gr「ちょっとだけ!ちょっとだけやから!」
『じゃ、これおわってからな』
gr「はい…」
それから休憩時間をとるのも忘れて作業に集中しいつの間にか今日の作業が終わった
gr「やった~!いつの間にか終わったんじゃ~!」
『はいはい、休憩取らず頑張りましたねー。はいこれ』
と(名前)はココアを差し出してきてくれた
『グルさん、甘い方が好きでしょ。前にコーヒー飲んでた時渋い顔してたし』
gr「あぁ…どうもコーヒーは俺の口には合わんのでな……」
『なんか意外だった。最初は怖いイメージがあったんだけど実際に話してみたら、ちゃんと笑うし、甘党だし…サボリ癖があったりね』
gr「最後はちょっとあれだが、大体は合ってるな。俺も(名前)も話していくうちにどんどん口調が変わっていったりな」
『ほんとそれ、最初は“私”だったのにいつの間にか“俺”になってたり、私もグルさん呼びになってたりね』
そんな会話をしていると気がつけば辺りは赤く染まり始めていた
『もうこんな時間だね。私たちもおいとましますか』
と彼女が立ち上がると何故か胸が締め付けられるような感覚になった
前まではこんなことなかったはずなのに
『じゃあ、私帰るね。そっちも早めに帰るんだよ~』
と彼女が優しく手を振って教室から出ていこうとした時
gr「……ちょっと待ってくれ」
と口から勝手にこんな言葉が出ていた
『どうしたの?私なんか忘れ物でもしてた?』
gr「いや……その…」
『?』
ええい、もうやけくそだ
gr「……もし、俺が生徒会長になったらさ…
俺の率いる生徒会に入ってくれないか」
『ほえ?』
と彼女は首を傾げた
違う、本当に言いたいことはこれじゃない。
確かに入ってほしい気持ちは十分にあるが……
少しの間があった後、彼女は口を開いた
『……ごめんね。その誘いは断るよ』
gr「…そう、か…でも、理由は聞かせてほしい」
『別にグルさんが選ばれないとは思ってないよ。てか、グルさんが選ばれると思っている
でもね、私…3年からこの学校に来れないの』
gr「えっ…?」
『私ねずっと絵を描くことが好きだったの。描いて描いて描きまくって……コンクールにも出したりしてた。
そうしたら、急に校長先生から連絡があってお偉いさんが私の絵を気に入ってくれたらしくて…
私の腕をもっと上げてほしいからってその人が有名な絵の専門学校を紹介してくれたんだ
その学校は私の憧れの学校でもあったし途中入学もできる。だから3年の春からに行くことにしたの
私の夢を叶えるために。』
彼女の目は真剣だった。本気で夢を叶えようとしているのだろう
そんな彼女の邪魔などできるわけもなく
gr「…そっか。でも、よかったな。夢叶えられそうで」
『うん…でも、グルさんが生徒会長になって活躍するとこ見られなさそうで少し残念だよ』
gr「…ははっ!こうなったら絶対に生徒会長になってやる!俺の雄姿を見れないことを惜しむんだな!」
『あははっ…!何むきになってるのー?さぁ帰るよ。暗くなっちゃう』
gr「あぁそうだな」
そんな会話もあったなか、俺は無事に生徒会長に任命され3年から本格的な活動をすることになった
3年に上がったころには(名前)の姿はなかった。
残っていたのは彼女の机の引き出しに残されていた黒の絵の具だけ。
その絵の具は今でも俺の引き出しに入っている
いつ彼女が帰ってきても絵具もこの気持ちも渡せるように。
頑張れ、俺の初恋の人
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