【gr 陰にいた人】
『ねぇこの資料なんだけど…』
gr「なんだ?あぁ、これはだな…」
と資料を片手に話しかけてくるのは同級生の(名前)だ
(名前)は俺が次に出る生徒会選挙のために書類やポスター作成を手伝ってもらっている
彼女は吞み込みが早く、絵も何度か賞を取ったりしているため手伝ってほしいと声をかけたのだ
『分かった。今日中には終わらせておく』
gr「ありがとう。なぁ、だいぶ作業も片付いてきた頃だしちょっと休憩にしないか?」
『えぇー…グルさん一回休んだら再開するまで結構時間かかるじゃん』
gr「ちょっとだけ!ちょっとだけやから!」
『じゃ、これおわってからな』
gr「はい…」
それから休憩時間をとるのも忘れて作業に集中しいつの間にか今日の作業が終わった
gr「よっしゃ~!いつの間にか終わったんじゃ~!」
『はいはい、休憩取らず頑張りましたねー。はいこれ』
と(名前)はココアを差し出してきてくれた
『グルさん、甘い方が好きでしょ。前にコーヒー飲んでた時渋い顔してたし』
gr「あぁ…どうもコーヒーは俺の口には合わんのでな……」
『なんか意外だった。最初は怖いイメージがあったんだけど実際に話してみたら、ちゃんと笑うし、甘党だし…サボリ癖があったりね』
gr「最後はちょっとあれだが…まぁ大体は合ってるな。俺も(名前)も話していくうちにどんどん口調が変わっていったりな」
『ほんとそれ、最初は“私”だったのにいつの間にか“俺”になってたり、私もグルさん呼びになってたりね』
そんな会話をしていると気がつけば辺りは赤く染まり始めていた
『もうこんな時間だね。私たちもおいとましますか』
と彼女が立ち上がると何故か胸が締め付けられるような感覚になった
前まではこんなことなかったはずなのに
『じゃあ、私帰るね。そっちも早めに帰るんだよ~』
と彼女が優しく手を振って教室から出ていこうとした時
gr「……ちょっと待ってくれ」
と口から勝手にこんな言葉が出ていた
『どうしたの?忘れ物でもしてた?』
gr「いや……その…」
『?』
ええい、もうやけくそだ
gr「……もし、俺が生徒会長になったらさ…
俺の率いる生徒会に入ってくれないか」
『ほえ?』
と彼女は首を傾げた
違う、本当に言いたいことはこれじゃない。
確かに入ってほしい気持ちは十分にあるが……
少しの間があった後、彼女は口を開いた
『……ごめんね。その誘いは断るよ』
gr「…そうか。でも、理由は聞かせてほしい」
『別にグルさんが選ばれないとは思ってないよ。てか、グルさんが選ばれると思っている
でもね、私…三年からこの学校に来れないの』
gr「えっ…?」
『私ね、ずっと絵を描くことが好きだったの。描いて描いて描きまくって……コンクールにも出したりしてた。
そうしたら、急に校長先生から連絡があってお偉いさんが私の絵を気に入ってくれたらしくて…
私の腕をもっと上げてほしいからってその人が有名な絵の専門学校を紹介してくれたんだ
その学校は私の憧れの学校でもあったし途中入学もできる。だから三年の春からに行くことにしたの
私の夢を叶えるために。』
彼女の目は真剣だった。本気で夢を叶えようとしているのだろう
そんな彼女の邪魔などできるわけもなく
gr「…そっか。でも、よかったな。夢叶えられそうで」
『うん…でも、グルさんが生徒会長になって活躍するとこ見られなさそうで少し残念だよ』
gr「…ははっ!こうなったら絶対に生徒会長になってやる!俺の雄姿を見れないことを惜しむんだな!」
『あははっ…!何むきになってるのー?さぁ帰るよ。暗くなっちゃう』
gr「あぁそうだな」
そんな会話もあったなか、俺は無事に生徒会長に任命され3年から本格的な活動をすることになった
三年に上がったころには(名前)の姿はなかった。
残っていたのは彼女の机の引き出しに残されていた黒の絵の具だけ。
その絵の具は今でも俺の引き出しに入っている
いつ彼女が帰ってきても絵具もこの気持ちも渡せるように。
頑張れ、俺の初恋の人
【tn 保護者的な存在】
tn「ふへぇ~…疲れた…」
とそんな小言を言いながらおぼつかない足で職員室まで書類を運ぶ
そうして、最後の角を曲がろうとした時
『きゃっ…!』
と誰かとぶつかってしまった感触がした
しかし、俺の体は少しの衝撃でシャットダウンしてしまうようになっていたようだ
そのままその誰かに声をかけられながらも俺は意識を手放した
tn「…ん…ってあれ?」
気がつくと俺は保健室のベッドの上に寝かされていた
見える範囲内に持っていたであろう書類の姿がなく俺はやってしまったんじゃないかと焦り始める
すると俺が起きた時に気付いたのか誰かがカーテン越しに話しかけてきた
『あの…大丈夫ですか?』
それは鈴の音のような可愛らしい声だった
tn「えぇまぁ…」
『そうですか…!よかったです!あの一応、体の状態を確認したいのでカーテン開けてもよろしいでしょうか?』
tn「ええですよ」
『失礼します。今、ご気分はいかがですか?』
と姿を現したのは俺より随分小さい女の子…同じ学年の(名前)さんだった。手にはカルテのようなものを持っている
確か、(名前)さんって隣のクラスの保健体育委員だったな
tn「だいぶ楽ですね。あのところで俺が持ってた書類ってどこに…?」
『あぁそれなら、私が職員室に持っていきましたけど…あのダメでした…?』
tn「いやいや!全然!てか、ありがとうございます…すいません重かったですよね」
『大丈夫です!これでも力には自信があるので!』
と彼女は腕を持ち上げて力こぶを作るようなポーズをとったが俺には細い腕にしか見えなかった
『取り敢えず、まだ眠たいんだったら休んでもいいですよ。近くに待機しておくので何かあれば呼んでください』
tn「何から何まですんません…もう大丈夫なんで戻りますね」
『分かりました。また何かあればいらっしゃってくださいね。放課後は大体ここに仕事でくるので』
と笑う彼女は優しく笑い俺を見届けてくれた
そのあともよっぽど俺の隈がひどかったのか、俺のことを気にかけてくれるようになり定期的に生徒会室に様子を見に来てくれるようになった
『まぁ~たこんなに仕事して…今何徹目ですか?』
tn「まだ三日目です」
『はい、もうこれは強制送還ですね。他の方々にもやるように言っておきますので三十分でもいいですから横になってください』
tn「でもまだ残って」
『トントンさん?』
tn「わかりました……」
と気がつけばいつの間にか彼女に押し負けるようにもなってきた
俺が寝ている間にはできる限りの書類の整理や書類運びをしてくれているようで俺的には大いに助かっている
そんな彼女に惹かれていったのはそう時間もかからなかった
tn「(いつ…ゆおっかなぁ…)」
今日も保健室のベッドの上で俺は一人悩む。
【os フルーツサンド】
キーンコーンカーンコーン
と四時間目のチャイムが鳴り、皆が待ちに待った昼休みが始まった
昼休みにはお昼ご飯を食べる時間も入っているため、教室で持参のお弁当を食べたり、食堂に行って頼んだりする人もいる
そんな中俺はいつも売店でお昼ご飯を買っている
os「(名前)ちゃーん!いつものー!」
と売店に顔を出せばいつも売店で働いてる(名前)ちゃんが奥から出てきた
『あ、オスマンさん!ちょっと待っててくださいね!』
と言い残し再び奥に戻ると彼女の手には俺がいつも頼んでいるフルーツサンドが添えられていた
『はい、いつもの!いつもありがとうございます!』
とにっこりと笑う彼女に会うのも俺の小さな楽しみの一つでもあった
彼女は学生の身でもありながら妹や弟のために少しでも働かねばいけないのだ
しかし、この学校はバイト禁止のため、外で働けないが学校側に無理を言って昼休みの間だけ売店で働かせてもらっているらしい
os「いやぁ…ここのフルーツサンド、他のとは違うねん!クリームもくどくないし、カスタードも重すぎず、軽すぎず…フルーツも丁度いい甘さで…」
『ふふっ、そう言っていただけると作ってる身として嬉しいです!』
os「てか、そろそろ敬語外さへん?同学年なんやしよくない?」
『いやいや、同学年でも生徒会に入ってる方ですし、何せ今はお客さんですし!』
os「別にいいんやけどなぁ…」
とそんな会話をしているとどこかの窓が開いていたのか冷たい風が入ってきた
肩をブルっと震わせるとより一層冬を感じさせられる
『もうすぐ卒業ですね』
os「そうやな、大学受験もあるし嫌やなぁ…」
『そっか、大学受験…私は卒業したら就職ですかね。大学入るお金ないですし』
os「てか、卒業したら(名前)ちゃんの作ったご飯、食べられへんやん!」
『え』
os「“え”って…俺、結構フルーツサンド以外でも(名前)ちゃんが作ったご飯好きやで?
俺一人暮らしやけど、(名前)ちゃんみたいに作れへんし…毎日でも食べたいぐらいやわ」
『…そうゆうことは他の人にいってくださいね~きっとオスマンさんに言われた女性はイチコロですよ!
ささっ!もう早くしないと昼休み終わっちゃいますよ。早くそれ食べてくださいね!じゃあ私はこれで!』
と彼女は急ぎ気味に去っていったが彼女の耳が先まで赤くなっていたことに俺は気が付いてしまった
…あれこれ、俺結構なこと言ったんじゃね…?!
そのことに気づくと同時に俺の顔も熱くなっていくのが分かった
ht「マンちゃんどうしたの?なかなか帰ってこなかったから迎えに来たんだけど…」
os「ありがと!でも大丈夫!大丈夫めうぅ!」
ht「?」
その熱を冷ましながら教室に戻り俺はフルーツサンドを頬張った
そのフルーツサンドはいつもより甘酸っぱかった気がした
【kn 忘れ物】
「何度言ったらわかるんだ!!」
「あなたこそ私のことわかってないじゃない!!」
…あぁまただ。また始まった
朝っぱらから大声を出しているのは俺の両親、正直言ってこれが初めてじゃない
小さい時から見てきたし最終的には俺のせいにされることもある
kn「はぁ…最悪や…」
俺はいつも通り彼らを横目に、冷めた朝食をとり支度をして学校へと向かった
いつものように授業を受け
いつものように生徒会室に顔を出し
いつものように仕事を終えて家に帰ろうとしたが今日の朝の出来事を思い出した
今はまだ家に帰りたくない。
あいつらは何をしでかすか分かったもんじゃない
そうだ、忘れ物があって帰るのが遅くなったことにしよう
そう思い、自身の教室を覗くと
教室の片隅の席に座り窓の外を見ている
クラスメイトの(名前)の姿があった
あいつも俺に気づいたようだったが少しこちらを見ただけですぐに外の方に目を向けた
彼女は成績は優秀なのだがあまり人と絡もうとはしない
いつも教室の片隅で本を読んでいたり勉強をしていたりしている
周りも話しかけたいがあまりにも静かなので話しかけずらいらしい
そんな彼女を気にせず俺は自分の席に座りただぼぉっとしていると
『…なんで戻ってきたの』
と話しかけてきた
kn「…なんでもええやろ。邪魔して悪かったな」
『…いや、そうゆうわけじゃない。』
kn「そうか、てかあんたもなんでおんねん。もう下校時間やぞ」
『そっちこそなんで帰らないの』
kn「……ちょっとばかし帰りたくないねん。ほっとけや」
『そう…』
と彼女の短い返事の後、少しの間があったと思えば頭に少しの重みを感じた
彼女の方を向くと彼女は無言で俺の頭を撫でていた
kn「……え、ちょっ、なんや?!」
と俺が動揺を隠せないでいると彼女も我に返ったのか慌てたように手をひっこめた
『ご、ごめん…!あのその…
私に似てたから…本当にごめん……じゃあ私はこれで…!』
と言い彼女は逃げるように去ろうとする
“私に似てたから?”
kn「なぁ…それどうゆうこと?」
と少し大きめの声で止めたのか彼女は少し怯えた表情でこちらを向いた
その顔は約一年間、一緒にいる中で初めて見た表情だった
『…っ!ごめんなさい。気、悪くさせたよね…
これは私の勝手な妄想なんだけど、コネシマ君と私…似てるような気がするんだ
私の家ね、親がちょっと厳しくて少し怖いんだ…だから人そのものが怖くなって…話し方も接し方も分からなくなった。
そんな時にコネシマ君と同じクラスになったんだ。最初は明るい人だと思ってた。
でも、違った。明るいけどたまに凄く悲しそうな怒ったような顔する
私に似たような感じがしたんだ。で、さっき頭触ったのはまたあの顔をしてたから…
少しでも元気になって、ほしかったからっ…』
そう話す彼女は微かに震えていた
でも、さっきの手は本当に温かいものだった
彼女は断然俺より強い子だ。たった一人で頑張ってきた強い子。
kn「…大丈夫や、話してくれてありがとう。それとなんやけど…」
『?』
kn「よかったら、また俺があの顔になっとったら今日みたいに慰めてくれへんか?」
『…逆にいいの、私なんかがしちゃっても』
kn「おん、(名前)やったら安心できる気がするわ」
『分かった…なんかうれしい』
その後、そのまま教室の残っていると見回りの人がやってきて二人共々怒られましたとさ。
【ut 自分自身】
ut「…ん?なんやこれ」
と机の中をガサガサすると何枚かのメモ書きがあった
ここは移動教室、他のクラスの生徒も使っているので忘れ物をすることも珍しくはない
少し見てみると筆記的に女子の文字でそこにはぬいぐるみやクッションなどの設計図的なものが書かれてあった
不思議に思いながらもそのまま授業が始まり、そして眠たい目をこすりながら受けているといつの間にか終わりのチャイムが鳴った
軽めのあいさつの後、俺がノロノロと片づけをしていると
『すいませんっ…ここにメモ入ってませんでした?』
と息を切らして俺に訪ねてくる違うクラスの(名前)がいた
ut「メモ…あぁあれか。ならここにあるで」
と持っていたメモを彼女に渡すと少し安心したのかホッとした顔つきになった
『よかった~…持っててくださってありがとうございます!これ、友人たちと今度作る予定のもののメモだったんで見つかってよかったです…!』
とふわっと笑う彼女は幸せそうにそれをポケットの中にしまった
ut「それ何に使うん?普通に作るんだったらこんなに細かな詳細書かなくてもええんとちゃうかと思って…」
『あぁ!これはですね、今度の文化祭の出し物として出す手芸部の作品の設計図なんですよ。せっかくみんなで考えたものだったのでなくしたと思った時は焦りました…
でも、せっかく拾ってくださったんだし当日来て下さった時には一つサービスしちゃいますね!
じゃあそろそろ次の授業が始まるので私はここで!ありがとうございました~!』
と嵐のように走り去ってしまった
なんだったんだあの子は…
いつもだったら口説いてたと思うのに口説くスキがなかった
いや、出来なかったといった方があってるかもしれない
それから彼女を廊下などで見るたびに見てしまうようになった
俺は今まで本当の恋など経験してこなかった。
いつも周りには自分だけを見てと言わんばかりに化粧をしてきたり香水をつけてきたりする女子がいたから
でも、彼女はそんなこともせずいつも“彼女らしい”恰好をしてる
自分や他の女子とは違って
ut「わっかんねぇな…」
俺は今日も己を騙す、本当の気持ちに気づかないように。
【sha 夕日の裏の表情】
sha「…ッハ、ッハァ……!」
「もう一周追加!!」
「「ハイッ…!」」
と少し静かな放課後の学校でそんな掛け声が響き渡る
自分は野球部に所属しており始まる前には必ず校舎周りのランニングをしているのだ
最初はかなりきついと思っていたのだが三年生にもなってくると軽めの準備運動にしかならない
そんな中、顧問がこんなことを言った
「今日から一週間、陸上部の先生がいないので合同で部活をすることになった。
お互いにアドバイスしたりしてこの貴重な一週間を無駄のないものにしよう!」
おいおい…いきなりやな…
でもあいにく喋る相手もいるし陸上部から足が早くなるやり方でも教えてもらおう
そうして、野球部と陸上部の合同活動が始まった
陸上部の方も始まる前にはランニングをするようで一緒にやることになったが…
…なんやあれ!早過ぎやろ!
流石は陸上部。俺たちとは違って足が早いし体力も凄い…!
「ランニング、終了!10分休め~!」
と顧問の声がかかった途端、野球部のメンバーはその場で座り込んでしまった
sha「ヒィー…流石、陸上部…」
「で、ですね…」
と俺が息を切らしていると
『ねぇ、大丈夫?』
と後ろから声をかけられ振り向くとそこには同じクラスの(名前)さんが立っていた
手にはスポーツドリンクがあり、ずいっと渡された
『はい、暑いんだからちゃんと水分補給してね。この後、野球部の練習メニューをやるんだって
気になってたからちょっと楽しみ』
と彼女もグイっと飲み物を飲み汗を拭った
『お、そろそろ時間だって。さ、いこう』
と座り込んでた俺の手を引っ張り後半の練習が始まった
……少しして今日の練習が終わった途端、彼女は息を切らして座り込んだ
『ま、まさか…こんなにきついとは…!』
sha「そうか?俺らはいつもやってるで」
『まじか…すげぇな、シャオロン君』
と持っていた飲み物を再び勢いよく飲み、息を整えた
その時にはもう他の部活も片づけ始めており空が赤くなってきていた
『もうこんな時間か…何だか前より夕陽を見るのちょっと寂しくなったかも
あと、どのぐらいだろうね。このユニフォームを学校で着れるの』
sha「あと、二ヶ月ぐらいかな。いや、時間の流れって早いな。気づいたら三年やったもん」
『マジでそれ。てか、そっちはなんか大会的なものはまだあるの?』
「おん、あるで。来週末に最後の試合があるんや」
『そ、っか…頑張ってね。ちゃんといい結果残すんだよ~!』
と彼女はすくっと立ち上がり俺の背中を軽く叩いた。
『じゃ、私もそろそろ帰るね!そっちも気を付けて帰ってね~』
と夕陽越しに笑う彼女の表情は少し寂しそうな悔しそうな顔をしていた
あとから聞いたのだが彼女も最後の大きな大会に出るはずだったらしい
しかし、下校中に不慮の事故に遭ってしまい走ることはあまりできなくなってしまったそうだ
そんな彼女の表情の理由も知らなかった俺は「任せろ」をいう簡単な返事しか出来なかった
今でも彼女のあの夕陽越しの表情を俺は忘れない
【zm 危ない人】
やっぱりここは寝心地ええわ……
と寝転んでいる俺は授業をサボり学校の屋上に来ている
サボってはいるがちゃんと成績は取っているし大丈夫だろう
とウトウトしていると屋上の扉が開いた音がした
…珍しいな、こんな時間帯に人が来るなんて。てか、今授業時間のはずやで…?
と珍しい来客に少し驚いたがどんな奴か気になり扉の方を覗いてみるとそこには
片手を前に突き出し今にも柵から乗り出してしまいそうな少女の姿があった
zm「ヤベッ…!」
と気づいた時には俺は彼女に向かって走り出し、彼女の腕をつかみ思いっきり引っ張った
zm「おいっ…!お前何してんのか分かっとんのか?!あともうちょっとで危なかったんやで!?」
と彼女の腕をつかみながら怒鳴ると彼女は俺の方に振り返った
『なんだ、なにかいいMVのアイデアでも浮かぶと思ったのに』
その少女に俺は見覚えがあった。
彼女の名前は(名前)。同じクラスの同級生だ
そして、俺が今気になっている人。
いつもは本を読んだり友人と話していたりする明るくてごく普通の女子学生のはず
でも、さっきのは聞いたことのない冷たい声だった
彼女は俺の存在にやっと気が付いたのかハッとしいつものような笑顔に戻った
『…っあ…ははっやっぱりここに居たんだね。先生が探してたよ。さぁ戻ろう』
と屋上の扉に向かって歩き出した
zm「ちょっ、ちょっと待ってや…!さっきなんで…」
『……あぁ、気にしないで。ちょっと考え事してただけだから』
と俺の方に振り返りあの笑顔で応えていたが声は、目は笑ってはいなかった
そうして俺たちはそのまま教室へと戻ったが俺はあの時に見た顔が忘れられない
その後、何とか彼女と話して自身がMVを趣味で作っているとは聞いたが…
でも彼女は今日も皆の前で楽しそうに笑っている。いつものように接している
俺は彼女に本当の顔で過ごしてほしい。あんな悲しそうな顔はもうしてほしくない
だから、この俺がお前を
(名前)を今まで見せたことのないとびっきりの笑顔にしてやるわ
【rbr 反対側にいる人】
俺は今、とある人を目で追いかけている
「(名前)ちゃーん!これ持つの手伝ってー!」
『もちろん任せて!』
と彼女は頼んだ方より多めの量を持つ
その様子を見て流石に申し訳ないと思ったのか頼んだ方がそっちを持つと言い出すと
『だーめ。そっちは身長私より小さいし、第一か弱い女の子にそんな重たいもの持たせるわけないじゃん』
とイケメン的なことを言い放ち、そのまま目的地まで向かっていった
彼女の名前は(名前)。クラスのリーダー的存在だ
彼女は女子の中でも背が高く、スラッとしたスポーティな体型をしている
そして、何よりさっきのようなイケメン発言をサラッとしてくるのだ
当の本人はためらいなどなさそうだし、きっと無自覚でそんな言葉が出てくるんだろうな…
男子には気さくに話しかけていくしノリもいいので男子側からも女子側からもとても好かれている
それに対して俺は
kn「やーいチビィ」
rbr「チビちゃうわ!!」
と言われるぐらい背が低いのだ
彼女の背丈と比べたら彼女の方が十センチぐらい高いので話すときには見上げなくてはならない
俺からしたら彼女は反対側にいる人なのだ
そんなある日
次の授業教室に移動するために階段を下りていると
『それでさ~…ってうわっ!』
と近くにいた(名前)さんが足を滑らせ前のめりになった瞬間
rbr「あぶなっ…!」
と咄嗟に手を伸ばすとギリギリ届き、そのまま自分の方に引っ張り上げた
『あ、ありがと……!』
rbr「はぁ~ほんまに危なかった…!大丈夫…ってご、ごめん!」
気がつくと会談の段差もあるせいか俺の腕の中には(名前)さんがすっぽりと埋まっていた
驚いて慌てて離すと彼女はいつもの笑顔で
『だ、大丈夫!助けてくれてありがと!』
と言い彼女はすぐに俺から離れそそくさと移動教室へと向かっていった
やばいやばいやばい……!
俺結構なことしてもうたんじゃ……!
その時はまだ知らなかった。
(名前)さんも俺と同じくひどく動揺していたことを
「『どうしよう……!!』」
その後、両方が片想いしていたことに気付くのはもう少し後のお話。
【em 紅茶に合うお菓子は】
しまった……
放課後、あまり人のいない静かな図書室でドカドカッと大きな音が響いた
そして奥から少し焦ったように扉を開け
『エーミールさん!だから、あれほど気を付けてっていったじゃないですか!』
と救急キットを手に持ち自分に駆け寄る一人の女子学生、(名前)さんが出てきた
彼女は私と同じ図書委員長で約半年、共に活動してきた
これまでこのようなことは度々あったので彼女もパターンが分かってきたのが大きな音がするたびに救急キットを持って私の元へと駆け寄ってくる
『まったく…本の整理なら私に任せてくださいよ。ただえさえエーミールさんは他の仕事をしてくれてくださってるんだからこうゆうことは私に言ってくださいね!』
em「ははっ…すいません。でも、(名前)さんだって部活の大会練習で忙しいんでしょう?なら、少しでもお役に立ちたいと思いまして…」
『いやもう結構助かってますよ。これぐらいしないと図書委員長としてまずいと思うんです…!練習の方もしっかりやってますしこれぐらい大丈夫ですよ!』
と話しながら救急キットを片づけ彼女は散らばった本を片付け始めた
『あ、そう言えば、新しくエーミールさんが好きそうな本が入ったんですよ。もし、よかったらこれから読みますか?』
em「え…!いいんですか!あの本、読みたかったんですがなかなか読み機会がなくて…でも、まだ残ってる仕事があって…」
『大丈夫です!その仕事って図書委員に関係するものですよね。だったら私に任せてくださいな!』
em「では、お言葉に甘えて…!」
『はい!あ、せっかくなんで紅茶入れましょうか?飲み物もあったらきっと集中して読みふけれますよ』
em「じゃあ、お願いしましょうかね」
というと彼女はすぐさまティーポットに向かい温かくいい香りの紅茶を入れてくれた
『お待たせしました~あと、これもどうぞ』
と彼女が差し出したのは少し小さなマカロンだった
『本を読むには不向きかもしれませんがこの紅茶と合うと思うのでもしよかったら!』
em「ありがとうございます!」
『いえいえ、ではごゆっくり!』
と言い残し彼女は遠くの部屋へと向かっていった
……どのぐらいたっただろうか
気がつくと辺りは赤くなり始め、グランドからの声も少なくなってきた
余った紅茶もすっかり冷めてしまい、マカロンは手を出されていない状態で置かれていた
そろそろ終わりにしようかと思い次のページをめくると
“マカロンの意味は「貴方は特別な存在」”
と書かれていた
ふと本から視線を外すと彼女がおいてくれたマカロンが視界に入った
特別な存在…
そのあとの文にはまたは愛する人に渡すなどとつづられていた
……まさか、ね。
テーブルの上の冷たくなった紅茶の香りと甘いマカロン香りと共に紙のにおいは私の鼻をくすぐった
【shp 目を開かない奴】
『くぅ……くぅ…』
と静かに寝息をたてている隣の席の奴、(名前)はいつも寝ている
shp「おい、起きろ」
と彼女の頭を小突いても少し目をこすって前を向くだけであまり目を開かない
しかし、これでも彼女は成績トップクラスの奴だ
一体いつ勉強しているんだ?と思えるぐらいだ
そんな彼女を見ていると昼ご飯の後だろうか自分まで眠たくなってくる
気がつくと俺は机の上で意識を手放していた
shp「んぁ……」
どのぐらい寝ていたのだろうか、やっぱり机の上で寝るのはダメだな。枕にしていた腕が少し痛い
とそんなことを考えながら体を伸ばしていると
『あ、やっと起きたんだ~おはよう』
と聞き覚えのある(名前)の声がした
彼女の方に振り向くと彼女は窓の外を見ていたようで顔が見えなかった
『まったく、君が六限目が終わっても寝てるから教室のカギしめられないじゃん』
shp「ごめんって、てか俺より寝てるのあんたやん。人のこと言えないと思うんですけど」
『ははっ確かにそうですな。でも、ここの席、丁度お日さんが当たって気持ちいいんだよ』
shp「確かにそれはわかる。春っていう丁度いい季節やもんな」
『分かってるね~』
と笑う彼女は今まであまり見たことがなかったので少し新鮮だ
『もうそろそろ、桜散っちゃうね』
shp「そうやな…もうこの学校に入ってから二度目の桜やな」
『そう言えば、一年の時も同じクラスだったけどあんまり接点なかったね』
と楽しそうに話す彼女の横に立ち窓の外から花びらになっていく桜を見る
もうここに来てから一年が経ったとは思えない
俺も彼女も去年と比べてあまり変わってない気がする
『……ねぇせっかく隣の席なったんだし改めてこれからよろしくね』
shp「そうやな、よろしく……」
と言いながら彼女の方に振り返るとそこには
綺麗な光の入り桜の花びらが反射され、黒の中に若干ピンク色のような瞳があった
彼女の瞳は普段はまったく開いて無かったので始めて見た
それを見て俺は思わず引き込まれそうになった…いや、もう引き込まれているのかもしれない
『…どうしたの?』
shp「いや…!な、なんでもあらへんで」
と少し動揺してしまった
『もしかして、この目?』
と彼女は自分の瞳を指差し俺に問いかけた
『やっぱり、気持ち悪かった?こんな目、自分でも気持ち悪いと思うからあんまり見せないようにはしてたんだけどな……気ぃゆるんじゃった。』
と悲しそうに笑う彼女に向かって咄嗟に言った
shp「…いや、めっちゃ綺麗やで」
『…ほえ?』
shp「いやだから、綺麗ってゆうとるやん。俺はその目好きやで」
『ほぉ~ん……あのクールで女子からも人気のあるショッピ君がそんなこと言うんだ~』
そう言われて改めて俺が言ったことはとても恥ずかしいことだと気づいた
……最悪や…
『君が言ってくれたからちょっと自信付いたわ、ありがとう』
と彼女は恥ずかしがる俺を見ながらそんなことを言った
その時に彼女の瞳は今まで見たことのない
花びらの舞う晴天のよう透き通っていた
【ci 憧れの後ろ姿】
「なんで…!お前なんだっ!!」
という罵声と共にゴッと鈍い音が体育館裏に響いた
「こんなに優秀な俺を差し置いてなんでこんな奴が生徒会に誘われてんだよっ…!」
と俺を腹いせに殴る彼は文武両道、成績優秀で有名だったので彼が生徒会に勧誘されると思っていた
しかし、実際に誘われたのは俺だった
そのことが気に食わなかったのか彼はここ最近俺を体育館裏に呼び出してこうやって殴ったりして鬱憤を晴らしている
俺も最初は助けを求めようとはしたが彼にはぶ厚い信頼があり、このことを公表してもあまり変化はないと思ったのだ
何より俺のせいで他の生徒会メンバーに迷惑をかけたくなかったのだ
だから今日も黙って彼の暴力を受けている
彼も息が上がり始め、しばらくすると拳が止まった
やっと終わると思い顔を上げると
「まだ反省してない奴には…!」
とニヤッと邪悪な顔をしている彼の手にはレンガが握られていた
これはほんまにヤバい…!と思った時にはもうレンガは俺の頭上に迫ってきていた
来るであろう衝撃に耐えるために俺は力強く目を閉じた
……が一向にその衝撃は来ない
確認するために少し目を開けるとそこには
二つ上の先輩の(名前)さんが立っていた
『何してるの』
と言い放つ彼女の声には隠し切れない圧を感じ、彼も咄嗟に持っていたレンガを下した
「いや、なんかチーノ君がここで落とし物しちゃったらしくて…えへへ……」
と彼は弁解をするが彼女にはまったく響いておらずさっきと同じように圧を出し続けている
彼女の反応を見て堪忍したのか彼は彼女の方に近づき
「……さっき見てたこと、他の人に言わないでくださいね。先輩だって僕のこと、知ってるでしょ?
だったらこんなこと忘れてさっさとどっかに行ってください。自分の身が可愛いとおもうなら……ね?」
と彼女に近づき、持っていたレンガをちらつかせる。
そして、彼女の手を掴んだ途端
彼の体は宙を舞った
ドッ!という重い音がした後、俺は思考が停止した
彼もあまりのことだったので口をぽかんと開けて困惑しているようだ
『触らないでくれない?私はあんたみたいな男には興味ないから』
と冷たくあしらう彼女の目はカエルを見る蛇のよう
彼も彼女に逆らってはいけないと直感したのか素早く立ち上がりその場から立ち去った
『まったくなんだあいつ…君、大丈夫?』
ci「は、はい…ありがとう、ございます」
『あんな奴、気にしなくていい。君はきっとあいつより強い子だ。だってあのグルッペンが認めた子だもの』
ci「グルッペンさんが認めた…」
『そう。だから、自分に自信を持って胸を張ればいい。
大丈夫、きっとみんな君の頑張りを見つけてくれるよ』
とさっきまでとは違う優しい笑顔で声をかけてくれた
『さ、取り敢えずは保健室いこっか。立てる?』
と手を差し出す彼女は特撮ドラマみたいでかっこよかった
その後、彼が俺にやってきたことは明るみに出され彼の信用はがた落ちし、俺は無事前のような学校生活に戻っていた
あれから彼女には会ってない。でも、いつか立派な姿を見せたい
俺を救ってくれたヒーローに
【あとがき】
どうも初めましての人は初めまして、今回の合作を主催をさせていただきましたわみんです。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
始まりは私が青い鳥で「がっさくしたーい」と叫んだところ
REO様が声をかけてくださりました…!アリガトウゴザイマスゥ…!
前からやってみたかったんですよね、合作。
なので、今回尊敬するREO様と共にできてとても嬉しかったです!
学パロもましては恋愛ものも書いたことなかったのですっごいグダグダになってしまったのが心残りですが、また今後再チャレンジしたいなと思っています!
REO様、今回は本当にありがとうございました!
【今回の参加者の作品一覧】
二週間も待たせてすいませんでした…マジでREO様の執筆速度が速いんやぁ…