うま煮。
八宝菜。
ミルフィーユ鍋。
ホワイトシチュー。
自家製の浅漬け。
「正義、こちらは? ロールキャベツではないのですね」
「あ、分かるか? そうなんだよ、キャベツじゃなくてロール白菜!」
面白いレシピを見つけて、と頷く顔はこちらが食べる一口目をいつも楽しみに待っている。
本人はこっそり覗き見ているつもりなのかもしれないけれど、何か新しいことを取り入れた後の彼の気配は明るくて楽しい。実際にお世辞などでもなく非常に素晴らしい食卓が、彼の気配で一段華やぐように感じていることを彼は知っているだろうか。
「近頃は白菜料理に凝っているのですか」
「そうなんだよな。今すごく安くなっててさ。飽きた?」
「いいえ、まったく」
「よかった。実はまだやってみたいレシピがあって……リチャード、付き合ってくれるだろ?」
向かい合ったテーブルの先、楽しそうな正義の顔を見ながら食事を共にするこの時間がとても好きだ。
かけがえのない時間を提供してくれる、彼が好きだ。
喜んで、と答えたはずだったのだけれど、もしかしたら違う言葉が口から出たのかもしれない。
ゆっくり瞼が上下して、少し泳いだ目線と口元を隠すように当てられた指。
ちらりと伺い見るようにして戻ってきた目がこちらの視線と交わって、少し赤くなった目元が緩む。
俺も、と差し出された笑顔の中に、同じように蕩けた青色が見えた気がした。