再燃する落下と魔導の断章
基本的な魔力については、卵の修練と言うものがあったらしいが、それは失われて久しい。人間が集う魔導教会は、おおよそ風の魔法から学ぶことになる。
入門者は加減を知らないので、全ての魔力を噴き出して気絶したり、逆にまったく風が起こらない。魔法を見たことがあるならば、覚えも早いが、放浪する魔導士には滅多に出会わない。彼らは世界の秘密を探すのに夢中で、ひとつの場所にとどまらない。
風の魔法の扱いは歌唱と似て、ろうそくが用いられることがある。火を消さずに風を送って灯を大きくできれば、見習いと認められるだろう。消し飛ばしてしまうようでは、まだ修業が足りない。
魔法の修練は本だけでも可能だが、よりよい本でなければ、どういった魔法の姿なのか分からない。古い本は強力な魔法が描かれているが、時代とともに遍歴する文字の性質によって、まず読む鍛錬が必要となる。辞書や紙片があればよいが、ほとんどの場合、手がかりは少ない。
人間が扱いやすい魔法は、火の他にない。天よりの熱のない火によって、大地が燃えるのを見て以来、人間は石や木で火を起こす方法を先に得たと伝えられている。今では火の元素を手に取る方がたやすいので、石による発火はもっぱら土の民たちの技術に近い。
風の魔法の熟達者は、空を飛ぶという。風で自らを押し、また周囲の風を従わせ、能力があるものほど葉が吹き上がるように浮く。また渦巻く風のごとく、あらゆるものを押しのける魔法を好むものもいる。いずれにせよ、風の魔法の本質は、魔力を従え、操る事に通じる。多くの魔導士がそうであるように、遠くのものを拾い上げたり、触るために魔力そのものを押す。
風と火に通じれば、火の勢いは増すというもの。手のうちに生じさせた火種を、膨らませるなどたやすい。伝承によれば、火に通じた魔導士が、世界の構造に挑み、出来たのが天上の陽であるという。
人間に限って、水の流れを掴める魔導士は優れている、とされた。魔法を使わずとも川の流れを変えることは出来る。原初の水の魔導士は、砂の大地から現れたとされる。水が風の中にあると知れたのは、何もないところから水を生じさせたかの者の偉業となった。
土について。これはもっぱら作物の知識として知れていたが、土の民のうちでは、石から声が聞こえるのは当然であった。彼らと人間が通じるようになるまで、土には魔法がないとされていた。土の民に、表面の柔らかい土についての知識が与えられ、人間に地下の硬い土についての知識が与えられたとき、石の声がすなわち魔法の根源であるとされた。
四元素の知識が人間にもたらされた後、それらは同一であると位置づけされた。すなわち土は音なくささやく風であり、風はとどろき漂う水であり、水は奪い去る流れる火であり、火はすべてを止める揺らめく土であった。
いずれかの魔法を会得すれば、他の元素の働きが分かる。
人間の時間では、ひとつの魔法を会得するにも足りない。
魔法でないものについて語り、魔法がなんであるかを知る。魔法に対抗しうるものは、魔法にほかならないが、やいばの民たちは魔法を断ち切る事ができる。始祖の刃の民がもたらした刃は、継承がかなわなかった。石も技術も人も、他の場所から現れたゆえに。
刃の民たちは、あらゆるものを断つ鍛錬を経て、とうとう魔法を斬る術を得た。刃の民は、おのおのが同じ名の刃を持つ。我ら一体と、刃の名を得る。
始祖の刃に似せた、片面だけを磨いた剣があり、それを用いるのを好むが、彼らはどんな刃でも魔法を断つことが出来る。たとえそれが木でできたものだとしても。
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再燃する落下と魔導の断章
初公開日: 2021年11月15日
最終更新日: 2021年11月15日
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