「この匂いが好きとかそんなこと言えない」
青八木視点
手嶋視点
どっちにしよう青八木がいい匂いしててもいいじゃない?
体臭、食べ物、風呂にゆっくりつかる、入浴剤…あっドラマCDじゃん!
体臭を決めるのは汗とか老廃物だけど、それは食べ物によるので
待って!匂いフェチなの書いた!別のことか
余計難しい
朝が来た。ベッドの上、純太はまだ眠っていて俺に抱きついたまま離れない。
無理やり引き剥がしても良いんだが、別に起きる理由もまだなくてそのままにしている。
二人とも一人暮らしを始めてからは、どちらかの部屋に集まって一緒にごはんを食べる。その方が安く済むからだ。と、言ったのは純太だが。そのまま泊まっていくことも、もはや当たり前になっていて、こうして抱きつかれていることは多い。
普段から心がけている、体のメンテのひとつは風呂は必ず湯船につかること。昨晩ももちろん、ユニットバスに湯を張って潜ったりした。ざっとつかるだけでもいいが、もったいないからそれなりに長風呂をしている。待っている純太は自由に過ごしているので、あんまり気にならなくなった。気を遣うなと、むしろ気をつかわれるほうが嫌だと言うので、ありがたく長湯につかっている。
だから、お互いそうだから体臭なんてそんなに意識しなかった。
ところがこうして羽交い絞めにあっていると、ほんのりと純太の匂いがする。汗のときの匂いとも違う。汗だって、トレーニングの時は水みたいに出てくるもんだから、爽やかなものだ。タオルで拭くだけで十分。帰ってシャワーを浴びれば元通り。
それが眠っているとタオルケットとの間で閉じ込められるからだろうか? 少し純太の匂いが強くなる。
嫌な体臭ではない。
ああ、近くにいるということが意識される。
体の匂いというものは、食べたり飲んだりしたものに左右される。水をたくさん飲んで、たくさん汗をかけばほとんど無臭でいられる。
今は、この少し生々しい肌の香り。それの元はなんだろうと考えた。
昨日だって同じものを食べて、同じものを飲んでいた。でも多分、俺の体臭とは違う匂い。だから感じ取れる匂い。
何の匂いだろう、と頭に鼻先を埋めてみる。頭皮、の匂いがする。髪の毛はシャンプーの匂いもあるけど、地肌の匂いがする。皮脂だ汚れだと言われるけど、全然悪い匂いとは思わない。
純太の体臭は、ほとんど俺には気にならない。いい匂いだ。
仲が良いことの条件に、互いの体臭が好みであること、というのを何かで見た。雑誌か、スマホだったか。恋人の条件を調べた時だった。自分たちはもしかして、恋人という間柄に近くないか?と疑問があって、それは通常どんなものかと興味深く読んだ。当てはまるような違うような、それらの条件の中に、お互いの体臭が気にならないといった項目があった。
それを思い出した。
むしろ好きな匂いだと言える、純太の匂い。
よく眠っているけどもう朝だ。目覚ましの時間まではまだあるが、早く起きてほしい。
いい匂いに埋もれていると思ったら、ちょっとさすがに、申し訳ない気がしてきた。
できれば、起きたらシャワーを浴びてほしいとさえ。