60804で「(あーもう可愛いな!)」とかどうでしょう。
かわいい所…
部室に入ると青八木しかいなかったので、扉をあわてて閉めて駆け寄った。ちょうどロッカーの中を確認し終わったところだったらしい。パタンと閉めて「なんだ?」とぶっきらぼうに言うので、この先なにも予期してないんだなあと思うと、よけいに驚かせたくなってぎゅうと抱きしめた。
「なんだ!?」
「いやあ、愛しいなと思って」
「そういうのやめろ」
焦って不機嫌を見せるけど、強く抵抗しない。
「誰か来たらどうするんだ」
「俺らのことで今さら誰かが驚く?」
「1年はまだ慣れてない」
「多分、誰かがご丁寧に教えてるだろ」
誰かの予想は特には無いが、2年の二人のどちらかは言ってそうだ。指導のついでに、あの人達のことは気にするな、とか、言いそう言ってそう。
腕の中で少しもがいている青八木。肘で腹を突かれたっておかしくないのに、そういう嫌がり方はしない。別にいじめてるつもりはないしな。多分青八木もじゃれ合いとしか思ってない。けど、一応もがく。上級生としてそれはどうなんだと。
上級生が仲良く抱き合ったり肩組んだりしてたらおかしいか?
いや、おかしくないよな。
示しがつかないと言われたら、まあちょっと駄目だろうな。誰かが来たらすぐに、肩を組んだ体勢にしてから離れるつもりでいる。
「ほんのちょっとだけ癒やしがほしいんだって」
小さいため息のあとにおとなしくなった。
真面目だよなあ。いやいや、俺だって真面目だぞ。ただちょっとしたじゃれ合いぐらい構わないだろ。
「わかった。ちょっとだけだぞ」
うぅ、それ可愛い……。言えるわけないけど、かなりの頻度で俺は青八木を可愛いと感じている。好きの半分以上は可愛いで占められている。言ったら怒りそうだからあんまり言わないでいる。
ぐっと堪能して、より強く抱きついた。
「純太、痛い」
「わりーわりー、気持ちがたかぶってさあ」
「本気じゃないだろ」
「本気!」
「そうか……」
冗談半分になるのは、俺の悪い癖だとは思ってる。でも嘘じゃないからな。全部本気だよ。
「人の体温って安心するよなあ」
「……そうだな」
「安心する?」
「安心はわかる、が、部室だとハラハラする」
「戸口に誰か来たら離れりゃいい」
隠す必要をそんなに強くは感じてないけど、青八木が嫌なんだったらそうする。
「……誰か来るまでこのままなのか?」
「嫌?」
「そうじゃない、いつまでくっついてる気なのか心配になってきた。大丈夫か?」
まじめーーー!!
いや、もうちょっとしたら離れようと思ってたのに、俺の心配を始めたの可愛くてもう、俺どうしたらいいんだよ!
また力を入れ直した。今度は胸がきゅうっとしたので、頭に頬をなすりつけてぐしゃぐしゃにしてやった。
「だから、やめろって」
「あと1分でいいから」
「わかった。数えるぞ」
「数えんな、かわいいから」
さすがに一回ぐらいは言わせろ。
かわいい…?と疑問に思ってるのが無言から伝わってくる。
本人には分からないんだろうなあ。わからなくても全然困らないどころか、俺がいつまでも嬉しい。
誰かにこれをいちいちのろけたいんだけど、まあ、他の奴に分かられても癪なんで言わないで噛みしめている。
ああ、可愛い。