5月のお題は
【こどものひ/おめかし/写真】
【ひみつ/慣れ/花束】
花束 お墓参り 酒 フィガロ
午後、暑い南の国
 雲が少なくなってきて、変わりに照りつけてきた日差しは南の国特有の強さを持っている。空を見上げてみて、目を眇めた。
「晴れてきましたね!良かった」
隣のルチルがにこやかに笑う。
「曇りの方が過ごしやすいんですけど……」
「もう、せっかく久しぶりなんですから、晴れてた方が気持ちいいですよ」
これを聞いたら、彼は喜ぶのだろう。けれど俺に対してはどのみち驚くだけだ。フィガロの墓には何度か訪れているけれど、毎回驚いているんじゃないだろうかと思う。死者を弔うことに、ではない。ルチルとふたり、南の国に居るという状態が、変わっていないことに。
 並んで歩く道程は、少し坂になっていて暑さに拍車がかかるから、さっさと自分の周りを涼しくした。ルチルも涼しくなったが、気付くだろうか。甘やかしている自覚はあるし、本人は甘やかされ慣れたので。
「やっぱり、酒の方が良かったんじゃないですか?」
「花束、とっても綺麗ですよ?」
ルチルが手に持つ花束は、墓にはいっそ似つかわしくないような、それでもフィガロには何だか似合うような、濃いけれど優しい、目立つけれど派手じゃない、そんな花たちで纏められていた。
「あの人が好きなのは花より酒でしょう」
「呑めないんだったら意味ないですよ。お預けだなんてフィガロ先生も辛いです」
「花だって食べれませんよ」
「見れるからいいんです」
そんな話をしていれば、案外に早く目的地に着く。歩いて行くのは、子どもの頃からの癖だ、と以前にルチルは笑っていた。
 墓に、花束を手向ける。ルチルは最近あったこと、学校の様子、ミチルの様子、色々な話を飾った花束を見ながら喋る。ひとしきり喋ってからこちらを向いて、ミスラさんはいいんですか、という問いに、あなたが全部喋りました、と答える。一年に数回の、特別だけれど日常に組み込まれた、緩やかで厳かな時間だ。
「また来ます」
短く別れを告げる。今度、一人で酒を持って来ても良いかもしれない。北の国の酒を、月の明るい夜に。
タイトル
花 月 花より団子 愛をこめて花束を 酒 わが抒情詩 汲み出す 酌み交わす 婿と舅
「それを何と呼ぶかは知らない」
完成!
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29:26
涼藍
ありがとうございました。
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初公開日: 2021年09月15日
最終更新日: 2021年09月15日
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コメント
まほやく二次創作。ルチミスのいちねんさんからお題借りて書きます。(5月 花束)
とりあえず初めて使うので色々試してみたいです。