※大幅な調整が入る場合があります。
 辿り着くと、そこは賑やかな街だった。人々が行き交い、市場では活気もあって砂漠で人がいなかったのが嘘のようだった。
 俺達は湖に面する宿で部屋を取り一息ついた後、各々必要なものを買うためにヘレとは分かれた。
「まさか、牡羊の星の通貨がそのまま使えるなんてな」
 昔はもっと盛んに星同士の交流があったんだから当たり前か。その名残で通貨は、どの星でも同じように使えるのだとヘレが教えてくれた。
 そして、ヘレが持ってきてくれた通貨をもらって俺は自分の服を一着購入した。と、いうのも、服が砂だらけで非常に動きづらかったからだ。すでに着替えたので、ゆっくりと市場を見て回ることができる。
「宝石の店が多いのは、牡羊の星で読んだ本の通りだな」
 蠍の星では、透き通った宝石がよくとれる。星の形成は神が好きなものが反映されることが多く、蠍の神はきらきらとしたキレイなものが好きらしい。砂漠も宝石を作るためのものだとか。原理までは書いてなかったから、どう作られるのかわからないけど……。
 あと、他の星に比べて日照時間が長く、小麦色に肌を焼く習慣があるらしい。これについては、蠍の神が褐色の肌を持ち、美しさで人を魅了すると言われていることから、憧れる人が多いんだとか。
「双子の星は、荒れてさえなければ牡羊の星に似てたからなぁ。ここまで別世界だと、テンション上がるなっ」
 双子の星ではテンションあげられるほどの状態じゃなかったっていうのもあるけど。
 本当に俺は神の加護を得て、別の星に来てるんだ……!
「そこの異星のおにいさーん、どうだい彼女に綺麗なネックレスでも買っていかないかい?」
 あまりに興味津々に辺りを見回してると、商店の一角から声をかけられた。完全なる客引きに、どうすべきか焦ってしまう。
「え、ええと……」
「ほら、さっき可愛い彼女と一緒にいただろ? きっと喜ぶよ~!」
 どうやら、ヘレと一緒にいたところを見られていたらしい。他の星から来てればそりゃあ目立つか。
 なんとか、息を吸って落ち着くと俺はひきつりそうになる顔をこらえて笑顔を作る。
「いや、間に合ってるんで……」
 そもそも彼女ではない。
「そんなこと言わずに、どうせここに来るの初めてだろ~? 旅の土産にぴったりのがあるんだ」
 まったく取り合ってもらえない。話がどんどん勝手に進む。
 あれはどうだ、これはどうだと自慢の宝石を次から次へと見せてくる商売人はたくましい。
 やばい、このままだと何かしら買わされそうだ。
「そうだな、さっき同じようなやつが向こうでもっと安値で売ってたぜ」
 焦っていると横から快活な声が割り込んできた。驚いて隣を見れば、金色の髪と瞳が眩しい青年がにかっと愛想よく笑ってみせる。掻き上げられた右側の額にある一筋の傷跡は目を奪われるほど印象的だ。
 うん、まったく知らない顔だな。
「異星のお兄さん、商売の邪魔はしないでくださいよー」
「押しつけはダメだろー。警備兵が来ちまうぜ?」
 商売人が文句を言うも、青年は笑顔のまま返す。すると、その一言で商売人はしっしっと手のひらを返した。
「んじゃあ、行こうか。まだ慣れてないんだろ? 買い物付き合ってやるよ」
「は、はあ……」
 青年は断れるとは微塵も思ってないらしく、俺の肩を軽く叩くと進路を示して歩き出した。俺もこのままここにいても決まづいので、青年の後へとついていく。
※ヘレ→スピカをタメ語にするのは、女子会の盛り上がり時で。
カット
Latest / 677:55
カットモードOFF
文字サイズ
向き
チャットコメント通知
オフィウクスの謎―加護を受けたと思ったら存在しない神だった―2章02
初公開日: 2021年09月09日
最終更新日: 2021年09月24日
ブックマーク
スキ!
コメント
双子の神の加護を得たアスクは牡羊の加護を持つヘレと再会。二人で蠍の星へとやってきたが……
1章のFIX稿は小説家になろうにUPしてあります。
https://ncode.syosetu.com/n1652he/
※文字数制限の関係上01と02に分割中。
神のまにまに弥栄、一陽来復春くりゃ笑え 後編
kwsk様の『龍のぎゆうさん』イラストから書かせていただいている最中の義炭。長くなったので後編です�…
オバ
OP夢 特殊設定女
いつまでたっても書き切らないのでケツ叩き先天性TS特殊設定怖がりの女とロロロア・ロロ、麦一味の話
みつき
満天の星と恋の光 12
現パロ中学生煉義8月編12話沢登り開始です。ネタがどんどん増えて終わりませんでした_| ̄|○
オバ