※3万文字が限度ということで、02に少し移行しました。
ーーー
 裏口から出て、進めば可愛らしいドーム型の家が洞窟内に立っていた。
 星柄で埋め尽くされた外壁は、おもちゃ箱を彷彿とさせる。
「ここに双子の神が……」
「はいですじゃ」
 俺の後ろには老婆が、少し離れてマルフィクが俺の行動を見守っている。
 俺は、老婆に呼ぶまで外で待っていてほしい。と言い、改めて扉を見据える。
 そして、ためらいなくその扉を開いた。
『あーあ、来ちゃったよ』
『っていうか、全然ダメージ受けてなくない?』
『えー、あのいーっぱいの罠、どうやって抜けて来たんだろ?』
 挨拶もなく、甲高い声が不満たらたらに飛んでくる。椅子に座って机の上でボードゲームをしていた双子の神は、口を尖らして扉を開けた俺を見ていた。
「罠は通ってない」
『えぇー!? もしかして裏口見つけられたの!?』
『うっそー! どんな加護もらってんの!?』
 二人はさきほどと打って変わって目を輝かせ、俺へと迫ってくる。
 俺は慌てて扉を少し開けたままになるように閉じた。
「それより、願い事だけど――」
『あ、そうだ。お兄さん加護がほしいんだよね』
『いいよ、あげるよ~! どんな加護がいいかな? 不死? 剣技とか、弓術とか、身体能力系もあげられるけど?』
『お兄さんにはどれが合うかなぁ』
『あんまり強くなさそうだしー、やっぱ剣技とか華やかな方がいいんじゃない?』
『馬術もありじゃない?』
 俺を置いて盛り上がる二人に、俺は大きく息を吸い込んで大きな声をかぶせた。
「願い事を変更させてくれ!!」
『『えっ?』』
 俺の言葉に大きく目を見開く双子の神。
「願い事の変更を要求する」
 俺は、もう一度はっきりと告げた。ここで突っぱねられたら、俺はもう打つ手がない。おとなしく加護をもらうしかない。
 けど、そうはならないだろう。俺はすでに”確信”していた。
『え、ちょ、ちょっと待って。なんで? 加護とか一番いいモノじゃん?』
『だいたい変更したいって、どんな願い事に変更したいのさ!?』
 俺はすでに願い事を決めている。
「ある人の話を聞いてほしい」
『『はっ?』』
 今度こそ、双子の神の開いた口は塞がらなかった。
「ずいぶん簡単な願い事だろ? 神なら簡単に叶えられるはずさ」
『そ、そりゃあ叶えられるけど』
『ここまで来たのに、本当にその願い事でいいの?』
 困惑しながら、何度も目を瞬いてみてくる二人に、俺は「いい」と一言だけ言って頷いた。驚いたように再度目を見開いた双子の神だが、二人で目を見合わすと頷きあった。
『わかったよ、その願い事叶えるよ』
『ある人って誰?』
「ポルックス。お前がよく知ってる人だよ」
 俺は、ゆっくりと目の前の双子の神の弟の名前を呼んだ。
『――っ! なんでその名前を!?』
 俺はポルックスに答えずに、後ろの扉を開いた。そこから老婆――アルヘナを招き入れる。
『アルヘナ……』
「ポルックス様……」
 アルヘナを見たポルックスは、困惑した表情を浮かべた。
 一方アルヘナは凛とした佇まいで彼を見つめている。
「さあ、俺の願い事を叶えてもらおうか」
『――!? アルヘナが僕に話……?』
 ポルックスの顔がさっと青くなった。あまりいい予想がつかないらしい。
『まさか、僕らを置いてくなんてことはないよね!? アルヘナ!』
 双子の神の化身が、彼の恐怖を口にした。アルヘナはポルックスの前にゆっくりと歩み出る。
「ポルックス様……わしはあなたを置いて行くことは決していたしませんじゃ」
『だったら、話しってなに!?』
 戸惑っているポルックスに、アルヘナは一度俺を見てほほ笑んだ。すぐにポルックスへと顔を戻すと、彼女は頭を下げる。
「どうか、どうかわしたち人間を許してはくれないじゃろうか……」
『――っ! 何言ってんだ! あんなに仲良くしていたカストールを、殺しておいて!!』
 ポルックスの激情があふれ出る。自分の兄を殺した相手へ向ける殺気と、死んだ兄への悲しみがこちらに伝わってくるほど。
 俺は一歩前に出て、アルヘナへと並んだ。
「殺したのはこの星の人間でも、今の人間でもない。過去の人間だ」
『人間に変わりはない!!』
 俺の言葉は即座に否定される。でも、俺はもう諦めない。
「本当に……? アルヘナも?」
『あ、アルヘナは……アルヘナだって、人間だ。もう、僕に愛想なんか尽かしてる!』
 一瞬戸惑った後に、ポルックスはぎゅっと両手を握りしめた。悲壮な、痛みを訴える金切り声と言葉にこっちの胸が苦しくなる。
 しかし、アルヘナは毅然として目の前の神を見つめた。
「わしは……ポルックス様も、カストール様も大好きですじゃ」
『!! でも、だって――!」
 彼女はしっかりとした声で言い切った。その言葉に、ポルックスはついに涙を浮かべる。
 俺と彼女は口をそろえて、彼に届きますようにと祈りを込めて打ち合わせた言葉を口にした。
「「民も、双子の神ジェミニを慕っております」」
『そんなことないっ! 僕が、ずっと、ずっと、虐げて――!!』
 ポルックスは頭を抱えてその場にうずくまった。
『嘘だ、嘘だ。僕はずっと、嫌いだったんだ。カストールを奪ったヤツが、人間が。だから、ずっといじわるした。苦しむ顔を見て、僕は楽しんだんだ!』
「ちがう。逃げたんだ」
『逃げ……た?』
 混乱して頬に涙を伝わせた小さな子どもに合わせてしゃがみこむ。彼は真っ赤になった目を不思議そうに俺に向けた。
「なんで、殺した本人をおいかけなかった?」
『だって、あいつはもういなかった。どこに行ったかもわからないで、追いかけようがなかった。どうしようもなかったんだ……』
 わかる。どうしようもなかった。でも、苦しみは収まらず、兄を失って傷ついた自分を慰めようとしたんだ。民へ恨みを方向転換して。
 でも、彼の楓色の瞳の奥は苦しみに染まっている。気が晴れたようにはまったく見えない。
「本当に、民を苦しめて楽しかったか?」
『た、楽しんだって言っただろっ!』
 明らかに動揺が走る。ポルックスの声が上ずって、視線もそらさられた。手は痛いほど握り込まれて、血管が浮き出ている。
 俺は、ポルックスの本音が聞きたい。だから、問いかけをやめるつもりはなかった。
「……どこが?」
『あ、あいつらの怯えた顔を見るのが、いいんだ……』
 民の表情を思い出したのか、ポルックスの表情は歪んでいた。
 たぶん、怯えた目じゃなかっただろう。俺が夢を語るのをやめた時に向けられたのは、悲しそうな瞳だった。だから、なんとなく想像がつく。
 ポルックスの表情は、言葉とは裏腹にまったく楽しそうに見えない。
「その顔でか?」
『っ……』
 ポルックスは唇を噛み締めて小さく震えた。もう、反論はなかった。
 もう、しらんふりはやめよう。
「自分の気持ちに気づかないふりはもう……やめないか?」
『っ……ぜっんぜん……』
 俺の言葉に目の前の身体が大きく揺れたかと思うと、ポルックスが顔をあげて俺を見た。
『ぜ、んぜん……たのしく、なかっ、た』
 楓色の瞳から、どっと大粒の涙があふれ出る。本当はポルックスもわかっていたんだ。こんなことしてもどうしようもないと。
『でも、でも、何かしないと、僕は、僕は、頭が、おかし、く、なりそう、で』
 ひっくと何度も喉を鳴らしながら必死に訴える。アルヘナが傍によりそい、そっと彼の背中を撫でた。
「皆、わかっております。ポルックス様……」
『うわぁああああ!』
 アルヘナの言葉に彼は大声をあげて泣き、彼女にしがみついた。
 これ以上、言葉を発するものはその場にはいなかった――。
ーーーー
 どうしてこうなったんだ?
「救世主様ばんざーい!」
 地下にある祭壇に座らされたのは、この星にきて二度目だ。
「ポルックス様ばんざーい!!」
 前回との違いといえば、隣では、同じように座らされて、祝いの食事を食べているポルックスと、その世話をしているアルヘナがいる。
 そして、もっというと民たちの表情は明るく嬉しそうだった。きっと彼らはずっとポルックスを待っていたのだろう。昔のように優しい彼を。
『じゃあ、これから加護の授与式を行うよ!』
 ポルックスは片手をあげてにっこり笑って、民に宣言した。うぉおおお! っと盛り上がりを見せる民たち。
 わかる。神の加護の授与を見れるなんて心躍るよな。
 うんうん。と頷いて、ヘレの時にしっかり見れなかった分、しっかり見ようとポルックスに視線を向ければ、彼と目が合った。
『救世主アスクに、僕の半分の加護を与えるよ!』
「はぁ!?」
「うおおおお! 救世主様ばんざーい!!」
 俺の驚きの声は、民の歓声に搔き消えた。
『ふふ、僕はもう兄弟から独り立ちするからね。アスクにあげるよ』
 あげるというのは兄を象った化身のことだろう。ポルックスは俺の手を取ると自分の額に触れさせた。眩しい光が辺りを包む。
 チカチカとした目がやっと見えるようになったのと、ポルックスが俺の手を離したのは同時だった。俺の手の上には彼にそっくりな化身が手のひらサイズになってちょこんと座っている。
『不死はないけど、彼は狩りが得意だからいざって時にアスクを守ってくれるよ。大きさは……アスク次第かな?』
 手のひらサイズのジェミニの化身は、たっと走り出すと俺の腕を使って肩までのぼってきた。
『よろしくー!』
 耳元で小さな鈴のような声が響く。
「え、加護もらっていいのか?」
『何言ってんの? 君は僕が信じる二人目の人間だよ? 加護を得るにふさわしいに決まってるじゃないか』
 不満があるの? と口を尖らせて圧力をかけられる。
 信じるという言葉に、思わず口元が緩んだ。素直に嬉しい。
『その腑抜けた顔やめてよ!』
「だって、うれしいんだから仕方ないだろ。みんなそうだ」
 この場にいるみんな表情は緩んで嬉しそうだ。心の奥が温かくなる。あの時、諦めないでよかった。ポルックスと話せてよかった。
『……僕も、とってもうれしいよ』
「ああ……」
 もう会場の盛り上がりはすごいことになっている。そのせいか神であるポルックスや俺への先ほどまでの注目は薄れていた。
 そこを狙ったかのようにフードを被ったマルフィクが近寄ってくる。
「……ずいぶン、仲良くなッたな」
「まあな」
 マルフィクは俺へ声をかけた後、ポルックスへと顔を向ける。
「オレは、オフィクスの加護を持つ者だ。それを前提に、双子の神ジェミニに聞きたいことがある」
「……いいよ」
 はっきりと言ったマルフィクに、一瞬悲しみの表情を浮かべたが、何かひっかかるところもあったのだろう、ポルックスは席を空けてマルフィクに座るように促した。
「過去の神殺しについて……詳しく知りたい。本物を見たのはアンタだけなンだろ?」
『そうだよ。正しくは僕と兄のカストールだけどね。あいつは……鉄色の髪に輝くような金の瞳を持っていた。無表情で、何を考えているかさっぽりわからない人間だった』
 金色の瞳という単語になぜか、夢に出てくる蛇を思い出して背中が冷えた。
「……どうして、その人間はアンタたちを狙ったンだ?」
『……さあね。僕にはわからないよ。僕たちはこの星で満足してたから、この星を出るとしても13の星々の神たちと集まる時だけだったんだもん。蛇遣いの星の人間がどうしてカストールを殺したのかなんて……わからない』
「何も心当たりはないッてことか?」
 食い下がるマルフィクに、ポルックスは悲し気に眉尻を下げた。その力のせいで兄は死に、自分が生き残ったことを思い出しているんだろう。
 彼の気持ちを考えろと、マルフィクのフードを引っ張って牽制する。
『……これは君に言っていいのかな? オフィウクスは言ったんだよ。彼は、自由がほしかったって』
「…………」
 マルフィクは真剣な表情で話をするポルックスを見つめている。
 自由がほしかった。それは、マルフィクが欲していた答えだったのだろうか。「過去のヤツもきっと知ッたんだ……と思う」そう言って黒い瞳を怒りに染めていた彼を思い出す。
 マルフィクと、過去の神殺しの人間は同じ思いだったのだろうか……?
『やっぱり、今オフィウクスの加護が与えれた人間がいるってことは、昔と同じ理由なんだろうね。彼は、人を尊重していた。神よりも』
 ポルックスは、そうとらえたようだ。そして、地下とはいえ古い建物の隙間から、ちらりと見える空を見上げる。
 どこか、遠い星を見つめるように。
『でもね、そんなオフィウクスだったから、蛇遣いの星は粛清された。今後、同じ間違いが起きないように』
 それが、蛇遣いの星が消された理由。初めて知った話に戸惑いが隠せない。
「それは間違いだッたと思うか?」
『……どうだろう。僕は、人間がこれ以上反乱を起こさないように自分の星を荒らした。その結果は……』
 ポルックスが目を伏せる。
『よくはないかな』
 彼にとっては、そのよくなかった時間が一番つらかっただろう。
「……話したくないことまで聞いた」
『ううん。君もいい子だよね』
「はッ?」
『だって、過去の人間と同じなら、どうやって”神を殺したか”を聞いてくるはずだからさ。でも、それにいっさい触れてこなかった……』
「……そンなン、殺された相手に聞けッかよ」
『うん、だからね。君にも話していいと思ったんだ』
「……ありがとうございます」
 神への敬意を最後に現したマルフィクは、フードを深くかぶって立ち上がった。
『あれ? もういいの?』
「はい、あとは自分で情報は集めるンで」
『そっかー』
 マルフィクは、ポルックスに頭を下げる。神殺しに肯定的な彼を知っている俺には意外だった。
 マルフィクは今度は俺を見る。
「師匠ンとこには、気が向いたら来い」
 強制ではない旨を告げる。それに戸惑っていると、彼は祝杯をあげる民たちの中へ消えてしまった。
「なんだ……あいつ?」
 口の中で呟いた声は喧騒に飲まれた。
『さて、アスクは何か聞きたいことある?』
 マルフィクのことを考えようと思った矢先、ポルックスが明るく問いかけてくれる。すぐにそっちに意識をもっていかれた。だって、聞きたいことはいっぱいある。
「……たぶん、俺の問いに答えてたら朝までかかるけど?」
『それもいいね。今夜は寝たくない気分だし。夢と……思いたくないからさ』
「じゃあ……双子の神について詳しく教えてくださいっ! ふだん何食べるんすか? いつもはどこに? あ、なんか風とか纏ってましたけど、あれってなんなんです? それから――」
 俺は、神への好奇心が止められなかった。話を聞くというテンションから敬語になり、早口になり、聞きたいことを連ねていく。
 あまりの勢いに双子の神ジェミニは固まったあと、盛大に笑い声をあげた。
『あっはっは、何それ。もっとオフィウクスのこととか聞いてくると思ったのに、全部僕のことじゃん!』
「オレは神についていろいろ知りたいんですよ! 双子の神の後にみっちり聞きますから!」
『ねぇ、これ、本当に朝までで終わるの?』
 けらけら笑いながら、それでもつきあってくれるらしい返答をもらえた。
「それは……」
『うん、まあ、いいよ。つきあうつきあう! とことん行こう!』
 陽気にポルックスと乾杯をして賑やかな宴会は続き、夜は更けていく。様々な話で盛り上がって――。
ーーーー
 双子の神や民と別れて、俺は草原に立ちながら地図を見ていた。
 もう太陽が真上のせいか、ものすごく眩しい。一睡もしていないが、俺は満足していた。双子の神が実は噂になっているほど傍若無人ではなかったことは、実際見てみないとわからないものだ。
 遊びに負けても、実際は治療してその星に返還していたらしい。ただ、口留めがいささか乱暴でものすごい誤解を受けることになったり、遊びが過酷すぎたせいで恨みをかったためあることないこと言われたりしてたみたいだ。
 まあ、もうそれも今後はなくなるだろう。こうやって荒野が草原に代わり、うさぎなどの動物たちがあちこちで見かけられるようになった。ポルックスが星を再生しているって言ってたから、やっぱり神はすごいんだなぁ。
 感動した。すごく感動した。
「――っと、朝までの話に思わず浸っちゃったな」
 それほど神についての話は面白くて、驚きの連続だった。
「地図によれば、双子の星の移動洞窟は全部で13。一つ、蛇遣いの星の移動洞窟はこちらから封鎖。あと、厄介な噂のせいで治安がいい星からは向こう側から閉鎖されてて――」
 ――ザシュ
 頬に強い風を感じたかと思うと、目の前の木に大剣が突き刺さっていた。
「へっ……?」
 間の抜けた声が出て、ぎぎぎっと、ゆっくり後ろを振り返る。
「アスク、貴様。オフィウクスの手先だったのか?」
 目の前には、艶のある金髪をなびかせ、青い瞳を釣り上げた――乙女の騎士が俺を睨んでいた。
「ち、ちがうっ!」
「それならば、なぜ嘘をついた!」
 慌てて否定するも、すぐに大きい声が飛んでくる。威圧がすごくて俺は後ずさった。
「ご、ごめんなさい……」
 どうやって説得しよう……まずオフィウクスの加護を持ってる時点で乙女の騎士には敵っぽいし。
 あれ? 嘘って……なんでバレてんだ?
「待ってください!!」
 聞きなれた声が耳に届いた。乙女の騎士の向こう側に、ふんわりとした淡いクリーム色の巻き毛、人懐っこい栗色の瞳が見えた。
「ヘレっ!?」
「アスク!!」
 それが幼なじみのヘレだとわかると、ヘレも俺を認めたのか駆け寄って体当たりをしてきた。よろめきそうになるが、なんとか踏ん張って受け止める。
「無事でよかった……っ!」
 嬉しさに込み上げるものがあって、言葉を返そうとしたとき――バチンと頬を両手で挟まれた。
「ねぇ、アスク。私がわかるよね?」
「え、ヘレだろ?」
「もっと詳しく!!」
「え、えぇっと? 見た目に反して結構気が強くて」
 俺の説明にヘレの眉がぴくりと動いたので、焦って良い方向の言葉を探す。
「頑張り屋で、今年の星まつりで神様へ祈りを捧げる役目をもぎ取った自慢の幼なじみ……だけど?」
 今度は大丈夫だったようで、ヘレはパッと明るく笑った。そして俺から手を離し、後ろの乙女の騎士へ体を向ける。
「ほら、アスクはオフィウクスになんか操られてません!!」
「……わかった。ヘレ殿に免じて、オフィウクスの手先でないことは認めよう。ただし――」
 乙女の騎士の目がすっと細められた。
「嘘をついたことに関しては、しっかりと説明してもらおうか」
 あ、これ逃げられないやつだ。
 たらりと冷や汗をかきながら、俺はさすがに諦めた。
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オフィウクスの謎―加護を受けたと思ったら存在しない神だった―1章02
初公開日: 2021年08月28日
最終更新日: 2021年09月02日
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牡羊の星から逃げ出したアスクが洞窟を抜けると、そこは双子の星―ジェミニ―だった。アスクは新たな神に出会う……。