頭に浮かんだことばをひたすら書いていく。自由連想文ってやつをやります。目安の時間は10分。
今回のはじめのキーワードは「土」。
31「土」
 土ってすこし温かいと思いませんか。今の時期はもちろん、冬だってそうです。土をスコップで掘って、その中に埋まってごらんなさい。きっとあたたかいはずだから。
 気温にあまり左右されないというべきでしょうか。いつだってそこに、変わらずにあるんです。どっしりと。なんだか今日はタイピングの制度が良くない。今ちょっとキーボード見ちゃった。変換も間違えている。ダメだなこりゃ。
 ダメな日ってのはあります。間違いなく。仕事でも趣味でも、どちらもそう。ああ、今日はダメな日だな、ってのは必ずある。ぜんぶうまくいかない。何をやってもしっくりこない。そんなときは素直に全部諦めて昼寝でもするのがよろしい。あいにく今はもう夜だけど。
 それか墓穴でも掘ってみたらいいんじゃないか。土を掘るんだよ。大きな穴を掘って、その中に入って空でも見上げてみるといい。何が見えるかな。土の底から見上げた空は、きっときれいだろうな。
 見上げるから空は綺麗に見えるのだと思う。高度一万メートルから見下ろす空は、すこし違う顔をしている。雲海が嫌いなわけじゃない。むしろ美しいと思うし好きでもある。だけど、地上から見上げた空ではない。あの空はどこにあるのだろうか、と、航空機の小さな窓から探してみたりする。
 地上から見上げた空は、上空からは動作がしたって見つかりやしない。不思議なことに。どうしてだろうね。
 むしろ深く土を掘って、深く潜って、たくさんたくさん掘り続けているうちに降った雨がたまって、底にできた水たまりにぷかぷか浮かびながらみあげたら、きっと、ずっと、今見上げたよりももっときれいな空を見つけられるような気がする。根拠はないけど。
 自分の直感を信じてやりたい。センス。理屈立てて考えるよりも、きっとこっちに良いものがあるはずだ、なんて無根拠で無意味な感覚に従って、もっときれいな、輝きを秘めた何かを探しに行きたい。どこかにあるんじゃないか。理屈じゃ見つけられない何かか。きっと今でも自分はそれを探しているのだと思う。
 みつかったかい? 十年後の自分に問いかけたら、なんと答えてくれるだろうか。今の自分が十年前の自分の問いにまったく答えられない現状を鑑みるに、ロクな結果にはならなさそうだ。そのうち何かを手にできればいいのだけれど、それはいったいいつになるやら。わからない。何も。先のことなど。
 できることといったら、精々目の前の土を掘ることくらいだろう。意味があるのか。知らん。ただ手を動かす。がむしゃらに。徒労なのかもしれない。ただ穴を掘って、埋めなおす行為を延々と繰り返しているだけなのかもしれない。けれど掘り返した土の中に鈍いきらめきが混じる幻想を手放したくない。何かの証が欲しいんじゃないか。
 本当に何かを求めるのならば、掘る場所だって考えなくちゃ。がむしゃらになったところでうまくいくわけがない。ヒトの武器は知性だ。頭を使えよ。でなきゃ腕力任せのチンパンジーと変わらないぞ。
 人として、スコップを握った僕は、はたして何を掘り当てることができるのでしょうか? この広大な土の中から。
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31「土」
初公開日: 2021年08月04日
最終更新日: 2021年08月04日
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頭に浮かんだことばをひたすら書いていく。自由連想文ってやつをやります。目安の時間は10分。
今回のはじめのキーワードは「土」。