執筆記録、開始します。
どうぞよろしくお願いいたします。
先ほどまで、ビクともしなかった重厚な門は、その力を失ったかのようにユウと井上坂に開け放たれた。
重たそうに門を押し開けていくユウに、井上坂は外から引いて手伝う。
普段、力仕事など全くしない細身の井上坂だが、そこは体格の差だろうか、いとも簡単に開く。
「大丈夫か!?」
「あ、井上坂さん……すいません。ついていくのが遅くて――」
申し訳なさそうに頭を下げるユウ。
その姿に、井上坂は息をのむ。
頬を伝い滴る赤い雫。
激しい戦いに耐え切れなかったボロボロの服。
夏の空を映し出す澄んだ海のように綺麗だった青い髪が、無残にも赤黒く染まっている。
文字通り、全身真っ赤であった。
「ケガ……ってか……大丈夫、か?」
心配を通り越して、おぞましさがこみ上げてきそうだ。
労わる言葉も、それに呑まれてうまく声にならない。
「あの、ボク大丈ぶっ……」
ユウが言うのも聞こえないようだ。傷がないか確認しつつ、彼は袖で顔を丁寧に拭う。
「こんなに血まみれで……! おまけに服もボロボロじゃないかっ! こっちが精神的に大丈夫じゃないっ!」
「ふ、ふいまふぇ……」
子供特有のやわらかいほっぺをぷにんぷにんと拭われ、うまく喋れないユウ。
拭いている方は、血の量に青ざめている。
「門の中で何があったかは訊かないが、ここまで酷いのは初めてだ!」
拭う手が震えている。それはユウにも感じ取れた。
「だ……大丈夫です。ボクなら大丈夫です」
ユウは、井上坂の手に自分の小さな手を添えて、たどたどしく言った。
「えっと……心配してくれて、ありがとうございます。ボクなら、大丈夫ですから……
それより、服を汚してしまって……ごめんなさい」
「服なんて洗えば済む! けど君は――」
言いかけて、口をつぐむ。
ユウの身体は、全身が血にまみれていた。それだけだった。
怪我が一つもない。
先ほど見た時は、少なくとも手足は切り裂かれたような跡があった。
途中ですが、この辺で執筆終了します。
執筆記録にお付き合いいただきありがとうございます。