頭に浮かんだことばをひたすら書いていく。自由連想文ってやつをやります。目安の時間は10分。
今回のはじめのキーワードは「繭」。
09「繭」
 繭に包まれていたい。やわらかく、清らかな繭に包まれて、穏やかに、心を乱すことなく、静かに眠りにつきたい。
 睡眠は三大欲求の一つだ。誰にも邪魔されることなく、そのたいせつな睡眠を貪りたいと、甘受したいと願うことは、生命体として当然のことではないだろうか。
 ぬくもりがほしい。やさしく己を包み、守ってくれる繭が欲しい。私は繭に包まれて、どろどろに溶けて、形を失って、そのまま、何をするでもなく、ただ繭の中を揺蕩っていたい。
 ゆらゆら。ゆりかごの中で。白いゆりかご。繭。まゆ。私だけの世界。
 誰にも干渉されない己だけの世界が欲しい。箱庭。繭。外界から隔絶された、あらゆる脅威から分断された、私の安息の地。あらゆる憂いが無意味になる場所。繭の中。白い絹のベッド。永遠にまどろめる場所。
 安心したいのかもしれない。私は。心穏やかに。何者かによる干渉も、いかなる交信も不要。ただ己だけがあればいい。他者は必要なのか? 人間は考える葦であるという。考えるこの意識さえあれば、それでいいのではないだろうか。
 人間が人間たる所以。意識。クオリア。私が私であると私が私を定義するもの。この意識。私は自分の内面に降り立ちたいのかもしれない。そのための繭。強固な城壁。外界との隔絶。己の内面と相対するために必要な、たったひとつの小さな部屋。
 一度でいいから、自分のことを知ってみたい。私自身が普段考えている自分ではなく、自分自身でも知らない自分の本当の奥底。そこに何があるのか? それとも何もないのか。潜っていった底に、何か一つでも手に取ってたしかめられるものがあればいい。
 あるいは、私は空虚な存在であるのかもしれない。
 己が実はクオリアを持たない、仮初の意識であるとしたら。こうして巡らせている思考に、何の意味もないのだとしたら。それでも、こうして今キーボードを叩いている私には、やはり何の意味もないのだろうか。
 たまに自分が本当に自分なのかわからなくなる。何を以って、俺は俺を俺であると認識しているのだろうか。次の日の朝に、仮に、もしも、俺が俺でなくなっていたとして、今の俺がそっくり失われてしまったとして、俺はそれを認識できるのだろうか。
 昨日の俺は俺ですか。睡眠の前後に、意識の連続はありますか。
 昨日のことが夢ではないと、どうやって証明できるのですか。
 今夜眠りについて、明日目覚めた後、今が夢ではないと、どうやって確かめることができるのですか。
 わからない。わからない。何もわからない。だけど、わからないことだけど、わからないことを考えることには、まだ何か意味があるんじゃないだろうか。
 わからないことをわからないままにするのではなく、もがいて、あがいて、その先へ。答えなどないのかもしれないけれど、それでも、答えを探すことに、きっと意味があると思う。
 思いたい。
 本当に?
 だんだん、自分がわからなくなってきます。
 おれは、だれなのでしょうか。
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09「繭」
初公開日: 2021年06月07日
最終更新日: 2021年06月07日
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