それが嘘でも本当でも、伏羲×普賢
名前を呼ばれた。まるで迷いのない、まっすぐな声だった。戸惑ったのはこちらの方だし、それを彼もわかったようだった。もう決して呼ばれることのない音は、しかしずっと望んでいたものだとわかった。今の姿が仮のものでも、嘘でも本当でもね、望ちゃん。なにがおかしいのか、笑いを含ませて彼は言う。
僕にとってそれはあまり関係ないんだよ。僕にとっては道士の頃からよく知っていた同期で、いつも一緒に修行をしたり叱られたり、独房に入れられたりした思い出は消えないし忘れない。その人が実はこの星の人でなかったり、もっとずっと前からこの戦いを計画していたとして、僕たちが過ごした時間が変わるわけではないでしょう。
そんなに単純なものではないと思う。もしかしたら、彼の死にざますら、自らが企てたものだったかもしれないのに。ああやって笑い合ったのだって、眠れない長い夜を過ごしたのだって、なにもかもが嘘だったのかもしれないのに。
ああ、それなら。
こともなげに、彼は笑った。
僕だって、きみが想像した嘘の友人だったかもしれないね。だとしたら、それこそおそろいだね。気が合うはずだよ。なにもかも嘘同士、本当が何一つなくたって、僕らはあんなに楽しかったじゃないか。
それで彼はまた笑って空を指さした。
偽ものの望ちゃん、僕はいつだってきみと見る夜空がこんなにもきれいでよかったと思う。それでいいんじゃないかな。
それでいいのかと、声に出したとたん、なにもかもがよくなった気がした。心配事もなにひとつない、夜空はどこまでもきれいだった。
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20210606それが嘘でも本当でも
初公開日: 2021年06月06日
最終更新日: 2021年06月06日
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お題アンケinstantの伏羲×普賢「それが嘘でも本当でも」