「ねえ、これ覚えてる?」
アルバムの中、覗き込んだ先に並んだ写真を指差し、あかねは笑う。言われて見れば、正門の前、懐かしい背丈の仏頂面の少年と、空色の制服の少女が卒業証書を手に持って、ぎこちない距離で立っていた。
「乱馬、変な顔」
失礼な、と文句を言いつつ、確かにどこを見てるんだかわからない視線と変に曲がった口がおかしくって、つられて笑った。
乱馬は真面目な写真が苦手だ。ふざけた写真ならどうということもないのだが、背筋を伸ばせだのもっと笑ってだの言われてしまうと、途端にどんな顔をしたらいいのかわからなくなる。
「慣れてなかったんだから、仕方ねーだろ」
幼い頃から放浪の旅を続けてきた乱馬にとって、物心ついてからきちんとした写真を撮った記憶はなかった。だから、天道家に来てから節目節目で写真を撮る風潮に面食らっていた。
いちいちそんなもの残す必要性が、今ひとつ乱馬にはピンとこなかったからだ。
卒業式だって、いいと言うのにカメラを持った早雲の、鬼気迫る顔面に押し負けたのだ。
「お父さん、写真好きだから」
愛おしむような指でページをめくるあかねとアルバムと、見つめながら乱馬は思い出していた。
天道家に来てすぐに、早雲からあかねたちの大量のアルバムを見せられて、かわいいだろうかわいいだろうと、数時間離してもらえなかったことを。
あの時、なんつー親バカだと半分辟易していたけれど、今は少しだけ、その気持ちがわかる気がした。
「――あっ」
柔らかく綻んでいた瞳が、ぱっと開かれる。
「どうした?」
「……今、蹴ったかも」
言われて、乱馬は慌ててどたばたと世にも優しく膨らんだそこに、おっかなびっくり手を添えた。
「やっぱり、男の子かな」
残念なことに、またもや元気に育つ我が子の蹴りは逃してしまったらしい。昨日も逃して悔しい思いをした。代わりに、ぺた、と丸みに耳を近づける。
目を閉じて、優しい鼓動にさらに耳を澄ました。
(夢中ね……)
心音を聞くのに集中している乱馬の頭を、そっと指先で撫でる。
昨日届いたたくさんの荷物の中に、やけに高そうなカメラがあることを思い出して、あかねはまた、バレないように微笑んだ。
――――
タイトル思いつかんwwwwwwwww
写真慣れてない乱馬が、天道家に来てから写真たくさん撮ってもらうようになって、今度は写真をたくさん撮るお父さんになる話。
でした!!!!