※コメントあまり見れませんがご容赦を…
※ファンタジーです(多分)
たたん ……たたん、たたん
ようやく顔をあげると、車内には人っ子一人いなかった。
〈次は、……駅、……駅、その先、止まりません――〉
自分の鼻をすする音で、駅名は聞き取れなかった。どれくらい乗っていたのか、思い出せない。耳がぼわんとしている。長い間肘をついていたせいで、膝が丸く赤くなっていた。じいん、とした痺れ。
「よう」
間の抜けた声が、斜め上から降ってくる。
車内には人っ子一人いなかったと言ったが、この、無遠慮で能天気なおさげ頭は数にいれていなかった。もう少し顔をあげると、目が合った。にこりともしない、どころか口をへの字に曲げて、ただ彼はこちらを見ている。ふらふらと揺れるつり革につかまりながら、遊んでるみたいに、立ったまま電車に揺られている。
どうしたんだっけ、どうして、こいつと一緒に電車に乗っているんだっけ
ぼんやりとした頭で、あかねは考える。だって今日は平日のはずだ。ゆっくりと瞬きをしながら自分を見下ろせば、空色の制服と、傍らには通学カバン。いってきますと、いつものように朝、家を出たことは覚えているのに、その先が思い出せなかった。
今、いったい何時だろうと、不安な気持ちであかねは慌てて体を捩って窓の外を見た。
「わ……」
時間を確認しようとしたことも忘れて、あかねは視界いっぱいに広がる風景に、しばし見とれた。田に、畑に、かわいらしい形の色とりどりの屋根に、太陽の光が降り注いで、きらきらと光っていた。そのほんの少し向こうで、一層光るのは、川だろうか、いや、あの大きさは――
「海……?」
煌めく水平線に、あかねはそう呟いていた。夢か何かだろうかと、目をこする。そうして、自分の目の周りが腫れていることに気が付いた。腫れぼったい、かさついた涙のあと。
「降りるぞ」
その涙の理由がなんだったのか思い出そうとしたそのとき、頭の上から落ちてきた声にはっとする。
気づけば電車は止まっていた。ぶしゅう、という蒸気のような音がして、ドアが開く。車内の床に、オレンジ色のシートに、太陽の光が差し込んだ。そのドアから、彼はひらりと飛ぶように躊躇うことなく降りていった。数秒ぽかんとしていたあかねは、何度か瞬きをしてから、慌ててその背中を追った。
誰もいない、トタン屋根の無人駅。最後に人が座ったのがいつなのかわからない、古びたベンチが二つ。コンクリート打ちっぱなしの武骨な壁に貼られたポスターは、日に褪せてしまって、なんて書いてあるのかわからなかった。もしもこのまま日が暮れてしまったら、一本だけ立っている古ぼけた街灯では、とてもじゃないが安心できそうにない。人が来る気配も、行き来している気配も痕跡もない場所だった。
けれどその背後、青く澄んだ海が、空とつながってどこまでも広がっている。
ざざあ、ざざあ、と風の音と交差する波音。潮の香りのするやわらかく湿った風が、あかねの全身を打った。また、強い風が吹く。巻き上げられた長い髪と、膨らんだスカートを慌てて抑えた。
駅の裏手は背の高い青々とした草が生い茂っているが、その間を縫うような細い道がある。人が一人やっと通れるようなその道を視線でたどっていくと、ずんずんと進んでいくおさげが見えた。よく見ればあかねの足元には、ブロックでできた小さく簡素な階段がある。お構いなしに進んでいくおさげと、自分の足元を何度か見比べて、あかねはぐらつく階段をおりた。
それは道というべきか、人が何度も歩いたせいで、ただ草が生えなくなってしまっただけにも見える。ところどころに大き目な石があって、ローファーでは歩きにくかった。両側の背の高い草は、あかねよりずっと大きい。
(勝手なんだから)
視線が低くなったせいか、階段を降りるとおさげ髪は見えなくなった。
どれだけ自分が遠くに来たのか、まだわからない。電車に乗ったことも、その理由も、思い出すことができなかった。けれど、憎たらしいけれど、あのおさげ髪が一緒だと思ったら、なぜだか不安な気持ちは薄らいでいた。しかし、その背中が見えなくなった途端、胸の端はざわつきはじめる。
はあ、はあ
息があがる。思っていたよりも距離があった。額に浮かんだ汗を手の甲で拭う。肩にまとわりつく髪がうっとおしくて、乱雑に一つに結びなおした。鬱蒼と茂る草が体に当たって、少し痛い。夏服から覗いている両腕やふくらはぎに、細くてかすかな傷ができる。
一瞬、戻ろうかと思った。戻って、彼を待っていた方が、疲れずに、傷つかずに、すむかもしれない。だけど、進んでいく彼をとっつかまえて、文句をいってやりたい気持ちがほんのわずかに上回っていた。
ふと気づけば、地面の色が、灰色から、淡い白へと変わっていた。そして、足を進めるたびに波音が大きくなっていく。あかねは歩を速めた。ほとんど、駆け出していた。
開ける視界は、一面の青。
突き抜けるような透明な青と、白い砂浜の間に、赤いチャイナが立っている。
波打ち際、背を向けていた彼は、ゆっくりとこっちを見た。
「来いよ、あかね」
名前を呼ばれる。ひときわ強い潮風が吹いた。慌てて髪をおさえて、はっとする。私、いつ、髪を切ったんだっけ――
胸がひどく高鳴るのは、走ったからだろうか。どきん、どきん、と痛いくらいに心臓が鳴る。
帰り方もわからない、誰もいない砂浜は、怖いどころか眩しいくらいに輝いて見える。それがなぜか、あかねにはわからない。だけど、呼ばれた声に、ただ答えた。
「待ってよ、乱馬!」
歩きにくいローファーを脱いで、裸足で駆け出した。青く透明な海の向こう、入道雲が見えた。
謎の話すぎて
終わった?終わって無くない?何これ
学校をさぼる二人が書きたいなって思ったんですけど
なんとなくファンタジーな感じにしたくなって
最初のあかねは髪が長いのですが、乱馬を自分の意志で追いかけていくようになってから
傷つきながらも、過去の泣いていた自分と決別できたみたいな
なんで海?? なんか乱あっぽいじゃん海。ごめんな雑で……
もうちょっとブラッシュアップして、まとめてからアップしようと思います!
お付き合いいただきありがとうございました!
♡めっちゃくるwwwありがとうwww
おしまい!