我が国には古い習わしにより、幼い頃から姫君には婚約者を定めることとなっておりました。その数はいくらでも。私の場合はそれは千となりました。
 幼い頃より定められた婚約者など大抵は興味も湧かぬものですが、なにせ国とは名ばかりの小さな村のようなものですから、いわゆる憎からず想う幼なじみのようなものでございます。素晴らしきところを千ほど述べるなどは容易く、食事時には世話役がもうお腹いっぱいだと言わんばかりの顔をしてもなお語ったものです。
 心素直に勇敢さを持ち合わせ、豪腕に驕ることなく勉学にも努め……長くなりそうなので、割愛させていただきましょう。とかくめでたき千の婚約者にひけを取らぬよう、私も日々鍛錬を積んだものです。お陰でそう。こうして姫としての煌びやかな衣など脱ぎ捨て、我が国の一兵卒としてもそれなりに動けるものなのですよ。
 青い草原は赤々と燃えていた。純白の衣を脱ぎ捨てた姫君の鎧も同様に赤々としている。それは炎の反射でもあったが、闖入者どもの噴き出した血液でもあった。同等に国の者も草原に伏せていた。連れ込まれた獣に裂かれて、一の身体は百にも千にもなっていた。
 汚い手をどけろと吠えた先にも同様に裂かれた身体があった。獣も多く道連れとなっていたが、数に押され、背中から裂かれたような無残な傷跡が残っていた。
 爪と刃で剣戟が繰り広げられる。幾度か打ち合う音が響いた後に、獣の首が落ちた。姫は滝のように滴る血にも顔色ひとつ変えず、倒れ込んでくる死骸を邪魔にならぬ方へと蹴り飛ばした。それから、既に顔だか何だか判別の付かぬものに口づけを落として、再び迫る遠方の影に鋭い視線を戻した。
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即興小説30分
お題:1000の彼
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【書く前】
千の風じゃなくて千の彼なん???彼が千人いる?千という概念の彼??
彼が千になってしまった?
1 姫の独白。彼は千
2 別々の素敵なところを千述べる(ような勢い)
3 立っている所は戦場
4 彼を千に裂いたてめえを無限に細裂いてやるよ系
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【書いた後】
語る系一人称って最近あんまり書いてない気がして語りから始めたけど、これはどうなんだ??? 健やかにSAN値削れてる感じ?
童話風短編としてならアリだけど、これを長編にするのは難しいかもしれない。どちらかというと、本編は別にあって、番外SSとしてのってるようなイメージ。中身としては15分でやってるのとあまり変わらないから、構成?テーマ決め?のところはもう少し時間割くなりフォーマット決めてみるなりでバリエーションが出るようにする?→でもこれやると自由感がなくなるから悩みどころ
書いた直後だとあまり振り返れてないのもあるから、一週間分まとめて振り返る時間設けたほうがいいかもな~
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向き
【即興】千の彼に千と誓い 2021-02-17
初公開日: 2021年02月17日
最終更新日: 2021年02月17日
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即興小説30分
お題:1000の彼