銃声と共に吹き飛ぶセイバーさんの体。
広い荒野を、土煙を上げながら吹き飛ばされるセイバーさん。
ダメージが入った、と思われる音。
その様子に、思わず俺は点心さんの方を見た。
既に肉眼で確認するのは困難な位置にいるが、おそらくはあっちでもガッツポーズをしているのだろう。
「あっちか」
そして、俺は自分の失態に気づく。
吹き飛ばされたセイバーさんは、俺の方を凝視していた。
何故か。
もちろん、自分に攻撃を与えた相手を確認するため。
恐らく攻撃された時点で方向の目安は付いていた。
そして俺の視線を確認して、確信した。
そんなところだろう。
「クッ」
思わず喉から変な音が出ながらも、俺は走り出す。
もちろんセイバーさんは、点心さんの方に向かう。
同じ速度だからギリギリ間に合うくらいか。
それにしてもどうする。
先見の瞳スキルは、このような逃げの状況だったりに弱い。
攻撃に自動で反応するのは良いのだが、それ以外では発動されないというのが問題。
だから現状は先見の瞳スキル無しでセイバーさんを止めないといけない。
それに俺の主戦力であるパリィスキルも攻撃に反応するスキル。
ったくなんでヘイトを買ったままにして置かなかったんだよっ!
「くっそぉ!」
そこで大声を出した。
本心からの言葉を、喉がちぎれんばかりの大声で。
苦し紛れ。
必死。
そんな言葉が思い浮かぶこの行動に、セイバーさんは何をしたいのかを考える。
それで良い。
別にこれに明確な狙いはない。
今からこれに意味を付け加えていく。
今大声を出したのは、セイバーさんの思考を止める。
後……あ、点心さんへの警告にもなったか。
それと……
セイバーさんの背中を追いながら、自分の大声から今何をすれば良いのかを必死に考える。
「Gに逃げろぉ!」
苦し紛れな作戦を思いつく。
「そこなら人がたくさんいる!」
要は人を隠すなら人の中作戦。
「セイバーさんは特定の人にヘイトを持っているわけではない!」
「確かに」
追っている最中のセイバーさんの背中から、同意の言葉が聞こえる。
いやいや、同意しないでくださいよ、セイバーさん。
追いつきそうな背中を前にして、タックルの容易はできているが、しようかどうか悩んでいる。
体勢を崩すには、体同士が触れていれば簡単だ。
けど、セイバーさんはSTRも高い。
そのSTRで俺をふっとばされてしまえば一巻の終わり。
それに俺としてもあんまり接近するとパリィができなくなる。
だけど、このままだと点心さんに追いつく。
視界に点心さんを捉えた。
……というか、あれ本当点心さんか?
ネームタグの隠蔽とフェイスマスクのせいで何もわからない。
本当に点心さんなのだろうか。
それならセイバーさんも止まってくれ……
「っとあぶねぇ!」
「……何かスキルを使ったかな?」
考え事をしながら、セイバーさんの後ろを付けていると、急に振り向かれた。
そのままの横薙ぎをしゃがんで躱す。
ちょっとひどい交わし方だし、先見の瞳スキルガンガン使ってるけど、人間急に止まれない。
見上げながら交わす視線。
セイバーさんは死んだような肌色をしながらも、その瞳には何かを考えているかのような姿が見える。
……いや、何考えてるとかはさっぱりなんだけど、何か考えてない? この人。
「ほっと!」
「っぶない!」
その瞬間、横薙ぎしたはずの大剣が頭上から降ってくる。
なんつうSTR。
そんなもん軽々と振り回さないで欲しい。
なるべく先見の瞳スキルに頼らないように回避する。
「何をしているのかはわからないけど、なにかしているのは分かった」
「……急に俺に対してヘイトですか?」
「ははは。
僕は別にキミたちでなくてもいい。
しかも今の状態は自分を自分だと証明できる。
だからこそ、すぐそこで起きている騒ぎの中に入れば、簡単に僕は蘇生できる」
「……確かに」
「それで考えた。
今急ぐことと、キミの能力を解明すること。
どちらが優先順位が高いのか」
「……初心者の俺なんかの能力を解明して何しようってんですか?」
セイバーさんは、俺の言葉に肯定するように大剣を構える。
その姿はまさしく騎士のような、凛々しい立ち姿。
俺が女だったら惚れてる。
荒野に立つ騎士と、初心者装備の俺。
明らかに対面しちゃいけない組み合わせだけど……
「その初心者を、僕は倒せていない。
僕に対して攻撃が効かないあたりと、SPD振りのような立ち回りと、今まで見せていないスキル構成」
セイバーさんはこちらをじっと見つめる。
……惚れないからな
「そして思い出した。
パリィスキル。
攻撃を弾くスキル。
産廃と言われたクソスキル筆頭」
「……パリィスキルはクソスキルですよ」
「ははは。
君が言うなら本当にクソスキルなんだろう」
セイバーさんは、前に体重を傾ける。
来るのが分かる。
攻撃の軌道がもう見える。
……勝てるか?
「だからこそ、君を知るんだよ」
……無理そう(無理そう)
連載している小説(なろう)の更新分を書きます。
チャットにはなるべく反応できるようにします。
ゲームにイベントにて、死者蘇生イベントの最中、トップなプレイヤーから狙われた主人公はなんとかしてくぐり抜けようとしている。