帽子のついた、特別な宝物だった。ママから貰った小さな木箱に少しずつ溜めていった宝物。今すぐ家に帰って、それを持ってすぐに逃げなきゃいけない。
 真っ赤で熱い空気は既に街のほとんどを灰にしてしまっていた。僕の家は街から遠い。まだ魔女の炎は届いていなかったけれど、僕の足と炎の足のどちらの方が速いだろうか。
 考えるのと、足が動くのとどちらが早かっただろう。切る風はいつもの冷たく厳しいものではなくて、生暖かい舌のようだった。赤からは少し距離があったけれど、少しずつその差は縮まっていく。家に着く頃には首元を熱い手が掴もうとしていた。見慣れた家はなかった。
 家があったはずの場所には大きな木が植わっていた。三つの樹が絡まったような、奇妙な形の樹が青々と茂っていた。
「あの、ママ、魔女の炎が……」
 家だったはずの樹に向かって歩きながら、姿の見えないママに話しかける。宝物はどうやっても持ち出せそうになかった。
 ほんの少し足を緩めた間に、生温い風は熱さを増していた。走って逃げることは難しそうだった。でも、急にその空気に涼しさが加わる。いつの間にか、後ろは赤ではなく緑に覆われていた。
「ごめんねぇ~、時間かかっちゃったぁ~」
 頭の上から聞こえてきたのはママの声だった。その周りには、集めていたはずの宝物がふわふわと浮いている。
「なんとかなるから大丈夫大丈夫~」
 ママのその声と共に、赤は緑にかき消されていった。
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即興小説15分
お題:僕とぐりぐり
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【書く前】
ぐりぐり……どんぐりぐり?妖精さん??
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【書いた後】
『ママ』は魔女みたいな。『僕』が人間かもわからんし、『ママ』が親なのかもわからない不思議系世界観? 『ママ』がいい魔女ってわけじゃなくて、魔女同士の争いに基本的に人間は巻き込まれてて、それぞれ自分に利益がありそうなほうについてるとか。火の魔女なら鉄鋼とかそういう。
新しく世界観生み出すときはもうちょっと長く書きたいから、30分の即興小説にそろそろ変えても良い頃合いかも知れない
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