21時00分~22時00分予定です。
気が向いた方はリツイートとかアドレスツイートお願いします。
コメント、ハートは大歓迎です。言葉が浮かばない人は「キャー」とかかいてやってください、というのがいつものノリ。(書き終わり次第の反応になります。1時間待てる方は応援してやってください)
ネタを考えるところから始めるので最初はダラダラしています。
本日のテーマ
「新年」
「帰省」
「思い出」
ネタ考える。
新年かぁ
書きます
 ふんわりと甘いバターと砂糖、そして、アーモンドクリームの匂い。
 トレイの漂わせる、いつもの『柔らかく温かい』匂い。
 年が明け、また授業が始まる。実家に帰って新年を迎えたリドルも学園に戻った。
 お菓子を焼く匂いに、ホッとする。『帰って来た』のだと、思う。
(ボクの『家』はここじゃないのに)
 皮肉なものだ。苦笑して、小さく首を振る。
 気が弱くなっている。良くない。
 実家に帰ると、逆らえない、と本能的に思う。いや、考えたり『思った』と思うよりも早く、反射的に何かを飲み込んでしまう。
 不満も何も……感じることもできないように生きてきたのだと、やっと気づいた。
 同じ街から戻って来たのに、トレイとはタイミングが違ったのだろう。良い匂いがしているということは。
 ケーキを焼けるほど、そんなに遅くなったか、と思いながら時計を確認する。予定通りの時間。
 前日に仕込む事は出来なかっただろうから、わざわざある程度作ったものを持って学園に戻ってきたという事だろう。
 着替えてキッチンを覗くと、悪戯っぽい笑みを浮かべてトレイが待ち構えていた。
「ハッピーニューイヤー。来ると思ってたぞ」
「……なんだい、それ」
 意地悪だな、と思いつつ、挨拶はちゃんと返す。
「せっかくだから焼いてやろうかと思ってな」
「ああ……ガレット・デ・ロワだね」
 薔薇の王国ではない文化だけれど、存在は知っている。新年を祝う、縁起のいいスイーツ。
「休み前にリクエストされたから実家で仕込んで来た」
「そう……お店では出していないのかい?」
「手伝わさせられるけどあくまで『手伝い』だからな。俺の作りたいものを出すわけには行かないし……」
 苦笑して、トレイは『女王様のお茶の時間に間に合いましたね』と少し芝居がかった声を出す。そうだね。と微笑み返すと、ケイトがキッチンに入って来た。お茶の用意をするから談話室へと言われ、リドルは言われるがままに移動する。
 談話室にはエースとデュース、輝石の国の出身者が数人いて、嬉しそうに新年の挨拶をされた。
 そこから、彼らがガレット・デ・ロワをリクエストした、という話に広がる。
「トレイ先輩の作るの楽しみなんですよね」
「寮長は食べたことあるんですか?」
「文化は知っているけれど……習慣がないから食べたことはないよ。キミたちのおかげでボクも味わえる。いいリクエストをしたのだね」
「そうですね」
 嬉しそうに返されると少しほっとする。少しずつ少しずつ、力が抜けていく感じ。
「ローズハート寮長、ここに置いても大丈夫ですか?」
 デュースがガレットを持って目の前に来て、構わないよと応えながら視線でトレイを探す。てっきりトレイが持ってくると思っていたからだ。
「ほいっと。んじゃ寮長、切り分けるけど、何処が欲しい?」
 紙の冠をガレットの上に乗せながら、エースが尋ねてくる。
 トレイはどうしたのかと思ったら、普通に手ぶらで談話室に入って来た。
「どうしてキミが持ってこなかったんだい?」
 不思議に思いながらトレイを見上げると、いや、とトレイは苦笑した。
「俺が切り分けるとどこにフェーブが入ってるかわかってるからな」
「ああ、そういうことか……」
 トレイがサーブするとリドルに『王になる権利』を意図的に渡してしまうから、ということなのだ。
 紙の冠はエースが作ったということで、器用だね、可愛い、とひとしきり褒めてケイトが写真を撮りまくった後でやっとガレットは切り分けられる。
 これはイベントだから、とケイトの分もトレイの分も分けられて、せーのでフォークを沈めた。
 華やかな柄がついているガレットだが、味は素朴な味だ。シンプルなアーモンドクリーム。
 それでも、もし生まれた国が違ってもこんな習慣すら祝う事もなかっただろう。
 いや、砂糖とバターの入っていない味気のない代用品で祝ったかもしれない。
(ナイトレイブンカレッジで良かった)
 いや、ロイヤルソードアカデミーでも良かった。何にしろ『あちこちの国から人がやって来る』ような名門校だからこその経験できた味わいだ。文化を知ってはいるものの、食べたことがない、というまま、このままでいたかもしれないのだから。
「ん……」
 かつん。と、フォークの先に硬いものが当たった。
 慎重に取り分けると、ハートの女王のフェーブが出てくる。
「ああ……」
「あー、結局寮長が当たった! 王様が王様引いたらいつもどおりじゃん!」
 マジかーといいつつ、嬉しそうにエースは紙の冠をリドルの頭に乗せた。
「これで今年一年ツイてるってことで」
「良かったですね」
 自分の事の様なデュースにそうだね、ありがとうと応えながら、リドルは皿の上に転がったハートの女王を見つめる。
 寮長ということは彼女に例えられるという事だ。それは名誉なことで、嬉しい事ではある。
 子供の頃からグレートセブンには憧れてきた。薔薇の王国はただでさえハートの女王に所縁がある事が多いから猶更に。
 こうやって彼女のフェーブを引き当てるあたり、やはりそもそもリドルとは縁があるのかもしれない。
 特にトラブルがなく寮長として順調だったとしても、リドルが『女王様』と同じ立場でいられるのはあと一年だけれど。
「寮長、帰省する方が楽しくないでしょ?」
 トレイと話していたエースが、突然そういってリドルに話を振って来る。
「実家帰っちゃったらこうやってケーキだって食べられないんだし」
「まぁそうだね」
「えっ!?」
 自分で話を振っておいて、エースは驚く。
「なんだい。その反応は」
「いや、認めた、と思って……やっぱニューイヤーのごちそうとか無しっすか?」
「全くないというわけではないけれど……」
 言いながらテーブルを眺める。
「こういうガレットとか……ケーキなんかは……出ないね」
 リドルの地元だと、まず間違いなくトレイの家のケーキを選ぶことになるだろうし。というのは飲み込む。
 『あんなこと』が無かったとしても、元々母親はトレイの家のケーキなんて選ばないだろう。デコラティブで、砂糖もバターもたっぷり使っているのがわかるケーキ。
「リドル寮長もう、寮でホリデー過ごしたら? ここにも全く誰もいないってわけじゃないんでしょ?」
 監督生が、という話を聞いて、リドルは小さく頷く。カリムも残っていたらしい話は聞いている。
「そうだね。でも来年はちゃんと帰りたいけれど」
「えええ、そうなの!?」
 今度はケイトが顔を寄せてくる。
「帰らないと面倒だからとかじゃなくて?」
 ケイトはそうだからだろう。姉と顔を突き合わせると何を言われるか、こき使われる、と、休みのたびにぼやいているのだから、ケイトは『出来ることならば帰りたくない』のだろう。帰らないと『余計に面倒』だから渋々帰っているだけで。
「うん、来年はね……地元で花火が見れたらと思うよ」
「花火見ないうちに寝たとか言ってなかったっけ……」
 リドルのはっきりしない発言にエースは唸る。
 見たことが無いわけではないと言い、深くは説明せずにそう濁したけれど、リドルの家の事情だと思ったらしい面々は何も突っ込んでこなかった。
 いつものお茶の時間が終わり、トレイは『フェーブを洗ってやる』といってリドルを誘ってくる。魔法で汚れを取る事なんて簡単なのに。
「……話せたのか」
 母親と、だ。リドルは苦笑した。
「少しだけね。叱られたりはしなかったけれど、理解してもらえたとは言い難いかな」
「そうか」
 トレイはそれ以上踏み込んでこない。
 気遣いというよりも、踏み込む勇気もないのだろう。知っているけれど、指摘しようとは思えなかった。
「来年は……ホリデーに帰らないとキミには会えないだろうからね」
 綺麗に洗われたフェーブをトレイの手から受け取りながら、リドルは呟く。
 トレイは少し驚いたような顔をするので、その目を見つめた。
「……起きてるから、あの日みたいに窓から会いに来てくれる?」
 来年の冬は、眠らずに待っている。
 年が変わる瞬間に上がる花火を。
「ああ……」
 苦笑、に近い笑い方でトレイは笑う。
 彼が困るのはもう子供ではないからだろう。
 思い出の中のトレイは無邪気で、後先なんてきっと考えていない。
 けれど……。
(トレイ……)
 フェーブを握り締めるリドルに、困ったようなキスが降って来る。
 そう、だけど、リドルが来年会いにきて欲しいのは思い出の中の少年ではなく『今の』トレイなのだ。
◆おわり~。
すまん、一人になれる場所がないもんで。。。
 
Latest / 155:27
文字サイズ
向き
202010109トレリドワンライ 「新年」 「帰省」 「思い出」
初公開日: 2021年01月09日
最終更新日: 2021年01月09日
ブックマーク
スキ!
チャットコメント表示
「新年」
「帰省」
「思い出」
20210207イデアズワンライ「お揃い」
気が向いた方はリツイートとかアドレスツイートお願いします。コメント、ハートは大歓迎です。言葉が浮かば…
まぐ
20210206「バレンタインデー」 「進路」 「友達」トレリドワンライ
気が向いた方はリツイートとかアドレスツイートお願いします。 コメント、ハートは大歓迎です。言葉が浮か…
まぐ
kngn氷金「カフェオレトーク」
二次創作BL/完成しました(ブログ版はhttp://mblg.tv/sd18/entry/142/)
西堂