「んー……」
 クリスタリウムの居住館近くに植えられた木の上。そこに一人の青年の姿があった。
 彼の名はリ・カミレ・ティア。原初世界においては光の戦士、エオルゼアの英雄。第一世界では闇の戦士、と呼ばれている人物だった。樹上でうとうととしながら緑の香りと葉の擦れる音を楽しんでいると、かすかに自分を呼ぶ声が聞こえてくる。
「カミレ……カミレ……? ああ。一体どこに行ったんだ…?」
 カミレは樹下を覗き、声の主を確かめるとそっと呼びかける。
「水晶公……ここ、だよ~」
 その声に水晶公がびくりとして見上げ、カミレの姿を認めると、フード越しでも分かるほど慌てながら口を開く。
「カ、カミレ!? 倒れたと聞いていたがそんなところで何をしているんだ!?」
「あ~……部屋で寝てるといろいろ考えちゃって気が滅入りそうでさ。ここなら落ち着くから」
 普段と変わらぬ彼のおっとりした様子に、水晶公は呆れとも感嘆ともいえる思いを抱き、ふうと息を吐き首を振った。
「部屋にいないから肝を冷やしたが、まったくあなたらしいな。とはいえひとまず大丈夫そうでよかったよ」
 微笑む水晶公につられてカミレも微笑み、ごろりと器用にうつぶせになると彼にひらひらと手招きをする。
「ねえ、君もこっちに来ない? 葉っぱがかさかさ~って、いい音がしてよく眠れるよ」
「あ、あなたという人は……! ああ、いや。あいにく木登りは不得手なんだ。残念だが」
 
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