乾いた砂が辺り一面を覆っていた。時折吹きすさぶ風は、広大な砂丘の中でシミすら作らないほどに小柄な少年に吹き付ける。
 ちょうどあくびをしたタイミングが悪かった。口の中に入り込んできた砂粒をぺぺっと、吐き出し、これ以上ないほどに顔をしかめる。
「ねえ、この保全作業、いつまで続くんですか? 一年前も、二年前も、十年前も、僕ずっとここの修繕してる気がするんですけど」
「いつまでも続くよ。持ち主が帰ってくるまではずっとね」
「ずっとって……。というか、この修繕って本当に合ってます? 最初にこの建造物を見つけたときにはもっとシンプルな箱状のものだったと思うんですけど」
 少年は、期待した答えを返してくれなかった同僚──これもまた似たような少年の姿をしていた。──から視線を外し、何歩か下がって巨大な建造物を上から下まで眺める。
 豪奢な階段が二階の入り口まで繋がり、両端には魚を模した用途不明の像が佇む。地面と平行に設置されていた屋根は長年の補修によって、斜めに角度が付けられた立派な瓦屋根に変わっていた。天辺だけではなく、奇数階の縁にも似たような形状の屋根が取り付けられ、降り積もった砂がたまにごっそり落ちていく。
「僕たちが修理してるのって〝団地〟ですよね」
「そうだよ。たくさんの人間たちが住処を共にした巨大構造物」
「この形状、団地じゃなくないですかね」
「でも、たくさんの人間が住んでいて、有事には立てこもっていた建物の資料を見た感じ、こういう形状だったよ。あの魚は最後に金色の塗装を施すんだ」
「なんか、違う気がするんだけどなぁ」
 少年は腕を組んで首を捻ったが、答えは出ない。
 目の前には、やけに横長な日本風の城がそびえていた。
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即興小説15分
お題:急な団地
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【書く前】
急な団地とは!?
突然単身赴任が決まる。団地が変形ロボになって急に動く。旧人類の遺産として団地が崇められてる→それは旧な団地や
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【書いた後】
団地要素だけ残って、「急な」はどっかにいってしまった。
最近コメディしか書いてないから、ちょっとまじめなやつ書きたい
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Latest / 17:43
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【即興】現代遺産 2020-09-23
初公開日: 2020年09月22日
最終更新日: 2020年09月22日
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お題:急な団地