「陽介って、リップも塗らないの?」
衣装の試着の合間に、京子が尋ねる。陽介は「うーん」と悩む仕草をしたあと、両手をぱっと開いて見せて。
「塗ることもあるけど、大抵はリップクリームにするかなあ」
「まあ、塗らなくても血色が良すぎるんだよな……」
仮にもオレは塗りたくないけど、と京子は苦笑いするが、美月が思い出したように鞄からリップを取り出すと、その表情が引きつったものへと変わる。
「大丈夫大丈夫、男性用リップクリームだし、きれいな色になるよ」
「え、めっちゃ銀色だけど」
「変わるよ?」
「変わるんだ……」
ふんふん、と鼻歌を歌って上機嫌な陽介が見守る中、そのリップクリームを塗って貰う京子。手鏡で口元を見せられると、意外そうな反応をした。
「あ……悪くない」
「でしょ、僕も気に入ってる」
「あたしもおすすめする!」
その後はわいわいと、美月流の身だしなみの話、しっかりとメイクをこなす陽介の話で盛り上がる三人。揃って小腹が空いた頃に、カラーシュガーののったパフェを添えて。